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よしなしごと

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日常に思う「由無し事」だったり働き方を考える「善しな仕事」だったり、諸々のよしなしごとを綴ります。 (マガジン「雑記帳」より改題)
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記事一覧

顧客が本当に欲しかったもの

先日、酒席の雑談で、高齢化と車社会の話から、こんな会話が出た。 話は「オヤジが91歳でまだ運転しててさ、オフクロはもう免許返納してるけど」みたいなところから始まった。3人とも、生まれ育った街とか慣れ親しんだ土地とか好きな場所を終の住処にできるべきだと思ってるし、郊外に住む自由が車移動と切り離せないとも思ってる。 それでも、BとCはまったく違うことを考えてる。Bは車が不可欠な生活の用(買い物とか病院とか駅までの移動とか)だけを足すことを考えている。ゴールは運転しない郊外生活

夏に向けたベッドマットレス

僕もそろそろ体のあちこちが痛むお年頃ですが、一昨年の冬に「マットレストッパーのオススメありますか?現在のものは寝心地が硬め。ベッドにいる時間が延びてる最近、体が痛むので、トッパーを近々初購入しようと思ってます」と投稿したら… …と強めなコメントをもらって、ベッドは僕だけでなくみんなの人生の一大事なんだなあと思いました。みんなというのはざっくり同世代各位ですが、このあたりで真剣に向き合ってるのが椅子とベッド。僕は若輩だった2005年には仕事環境の要、椅子に投資して17年間ダ

「がむしゃらに働く」って週60時間ぐらいまで

今日はQuoraに投稿した回答を転載。 がむしゃらに働いた方が成果が出ます。ただし、ここでいうがむしゃらとは「週60〜65時間労働」です。 これは超えてはいけない過労死ラインで、また超えても成果がむしろ出なくなるラインなので、がむしゃらも度が過ぎないようにしてください。 「生産性の高い働き方」について考えたことがあるのですが、モートン・ハンセンという人が「オレンジの果汁を搾り取るように」従業員から成果を搾り取れるのは何時間労働までかを調査していて、次のような結果を出してい

「おじさん構文」と「マルハラ」の憂鬱

SNSとトンマナ論 ブランドとか場の雰囲気をデザインするときは、トンマナ(トーン&マナー)を合わせることも重要とよく言われる。実はSNSでの文体がアレコレ言われるのも、きっとトンマナの文脈なんだろうと思っている。例えば「おじさん構文」とか…… ……マルハラとか…… ……似たようなものは、SNS普及以降に折々のものが生み出されてきた。おじさん構文に対して「おばさん構文」なるものもあったし、「エアポートおじさん」というのもトンマナという視点ではここに並ぶと思う。 「おじさ

車のない街を考える

以下の記事を読んで、EV(電気自動車)も「はじまりの終わり」が始まったなあと思います。ガートナーのハイプサイクルで言えば、めちゃくちゃ期待されてたピークを過ぎて、失敗事例が噴出してきてノリで参加してた人たちが醒めていく時期。 ピーク期に種が大量にまかれる「失敗事例」の中には、イメージ先行で雑に煽った期待になんの実体もなかったからみたいな、単なるミスマッチ事例がかなり多く含まれます。でも本質的な問題が浮かび上がってきて、この領域の未来のためにそこは乗り越えないととなる「問題事

COMPBEATで音楽と共に水泳を、動画と共に入浴を

いま、僕のヘッドセット系ラインナップはShokz Aeropex、Victor EH-W10、COMPBEAT、ag WHP01kと四台体制になってる。この中で多分もっともニッチなのが完全防水骨伝導ヘッドセットCOMPBEATだ。 水泳用ヘッドセットの探し方 長い付き合いの生活習慣病とも、そろそろ付き合い方を考えないとと重い腰を上げたのが昨年1月。以来1年、ジムに通って筋トレと水泳をしている。プールへはスマホなどの電子機器持ち込み禁止なのだけど、ただし「単独で動作する活動

Think Global, Act Local, 2024.

ナッジ理論とゴミ捨て場 僕の住んでいるマンションには24時間ゴミ出し可能なゴミ捨て場がある。ただごみ収集は週に二回で、その前日になるとゴミ捨て場が結構ごみであふれた感じになる。最近は、そうなるとエレベーターホール寄りの入り口前がふさがったりもする。ゴミが増えてきたのだな。そう思ってた。 昨年の終わり頃、マンションの管理人が週の前後半で二交代制になった。新しい管理人はゴミ捨て場の整頓に意欲的な人だった。居住者がバラバラな大きさの袋で出したゴミが、毎日大き目の統一サイズのご

ゼロから始めないリスキリング

言葉は常識、意味は知らない 「常識ってなんだろうね」「多数派が信じてること……かな?」 これが正しいのか分からないけど、もしそうだとしたら『リスキリング』という言葉は、今年、ビジネスパーソンの常識に仲間入りした。 この言葉は2021年頃に使われはじめ、同年8月、日経新聞の経済ナレッジバンクに『リスキリング(学び直し)』が追加された。ワークポートの調査によれば2021年は28.8%だった認知度が、2023年には53.5%になった。この数字を鵜呑みにはできないけど、202

「親指の絵文字で契約成立」事件

絵文字はふんわり気持ちを伝えてくれて、雰囲気で進むやわらかいコミュニケーションを助けてくれる。一方で同じ絵文字でも、そこに込める意味は人によって違っていて、言った・言わない論になるような場面では悩ましい。そう思うニュースが流れてきた。 こういうやりとりがあったらしい。 「親指の絵文字は同意」というのはそうだけど、同意と言っても書類送付への「受け取りました」という同意か、契約内容への「承諾します」という同意かわからない場面だ。僕だったら、親指の絵文字っていわゆる「イイネ」の

VUCA×サービス化の時代のマネジメント「人が増えても速くならない ~変化を抱擁せよ~」

「ソフトウェア産業の生んだ知見をふんだんに活かしたマネジメント術」。本書の内容を簡単に言えば、そんな感じになるだろう。 多くの企業は、まずソフトウェア開発を手掛け、最適な開発方法を模索して、アジャイルを取り入れる。でも逆の筋道を辿った人もいる。本書の著者、倉貫さんは、アジャイルというソフトウェア開発手法にふれ、それを実践するチームを模索し、それがいつのまにか会社として独立し自身が経営するに至った人だ。その倉貫さんが、12年のソフトウェア開発に学び、12年の経営で磨いた独自の

イノベーティブな失敗

先日スマートフォン事業から撤退したバルミューダについて、同社の寺尾社長による総括記事が出ていて、いろいろと考えました。 バルミューダフォンはスジが悪くないかな(スマホOSを自作するレベルの継続的ソフト開発の実現性とか)と思っていたのですが、それと別に撤退までを総括すれば、バルミューダ社としてのチャレンジ自体には「イノベーティブな失敗」として意味があったのではないかと思います。イノベーティブな失敗とは、次のイノベーションにつながる失敗、あるいはシリアル・イノベータ―組織がコス

統一地方選2023:新興政党が向き合うべき「損失回避バイアス」

与党が固定しすぎてたり現職がすごく高齢化してたりして、選挙で「刷新」を期待したくなる時もある。でも投票日までその気持ちが保てない。期待の受け皿になる新人候補や新興政党がしばしば選挙戦のなかで失策するからだ。そして彼らは「減点方式」で評価される立場だからだ。それで少なくとも1票を失っていることには、意識を向けてほしい。 「選挙戦あるある」な些細な失策失策というのは、こんな些細なことだ。 例えば子育て経験者、子育て世代の代弁者を自認する候補者がいる。言っている内容には共感する

患部だけタモリ式入浴法

背中のちょっと広めの範囲がカサブタ化して当面「こすらず触らず」で回復を待ちたい状況。患部を清潔を保つにはと考えてみて、タモリ式入浴法に思い至った。タモリ式入浴法はこんな感じ。 石鹸でのこすり洗いをせず、ぬるめのお湯に設定した湯船に10分以上浸かるだけ。 お湯に浸かるだけで、相当程度の汚れを落とす力がある。 お湯に浸かるだけだと、皮膚の常在菌へのダメージも少ない。 シャンプーや部分的な石鹸の利用は人それぞれ。 その人本来の自然な体臭が戻るとの見解もあり、においケアが必

帯状疱疹は「医者に行くほどじゃない」ぐらいから早期治療

先週頭に帯状疱疹を発症したのですが、これも早期治療が重要らしいので、迷う時間をコンパクトに通過できるように要点だけメモ。 身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気 早期(例えば赤い斑点が出る発疹から3日以内)に診断を受け処方された薬を服用し始めると、多くは一週間ほどで治る 帯状疱疹での痛み痒みは神経と皮膚の炎症(一時的な反応)だが、長期化すると神経が損傷して後遺症が残る 50代からは予防接種という