杉浦 司

MBA 技術士 関西学院大学院商学研究科 信州大学院工学研究科修了 著書『消費を見抜く…

杉浦 司

MBA 技術士 関西学院大学院商学研究科 信州大学院工学研究科修了 著書『消費を見抜くマーケティング実践講座』(翔泳社 ユニクロ柳井社長推薦)『 ITマネジメント』(関西学院大学出版会 ユニクロ岡田CIO推薦) https://www.sugi-sc.com/

マガジン

  • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX

    わかったようでよくわからないDX(デジタルトランスフォーメーション)についていっしょに考えていきましょう。

最近の記事

技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座40デジタルトランスフォーメーションの実践-APIとWebhookによるエコシステムの実現-

 健康保険証との一体化やさらには2024年度中には運転免許証とも一体化されることで話題になっているマイナンバーカードですが、実はマイナンバーにひもづいている個人情報を行政機関や金融機関などの間で共有することができるマイナポータルのしくみこそが重要な意味を持っています。  マイナポータルには「マイナポータルAPI」というシステム連携しくみがあり、各行政機関はこのAPIを使うことによって他の行政機関から必要情報を得ることができ、行政や企業をまたがる各種手続をワンストップ化でき

    • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座39デジタルトランスフォーメーションの実践-ETLツールとデータプラットフォームによる社内外データ連携-

       DXの活動はSoE(System of Engagement:関係のためのシステム)、SoR(System of Records:記録のためのシステム)、SoI(System of Insight:分析のためのシステム)の三つから成ることは何度も説明してきました。DX事例としてよく紹介されるものとしてはEC電子商取引やCRM顧客関係管理などのSoEや、「2025年の崖」を避けるためのパッケージソフト活用やクラウド移行といったSoRが目にすることが多いように思います。  

      • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座38デジタルトランスフォーメーションの実践-建設、製造から始まるデジタルツインの未来社会-

        デジタルツインは、2002年にミシガン大学のマイケル・グリーブス教授によって概念が提唱されたもので、現実の世界をデジタル空間上に、双子のように丸ごと再現することを意味します。 建設や製造現場の設備の稼働状況をIoT(Internet of Things)によって収集したセンサーデータをもとにデジタル空間上に再現すれば、異常の発生を瞬時に把握でき、その影響がどこまで広がるのかシミュレーションすることが可能となります。 デジタルツインがどのようなものなのか具体的なイメージが持

        • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座37デジタルトランスフォーメーションの実践-デジタルシフトとデジタルトランスフォーメーションとの違い-

           DXの話しを読んだり聞いたりしていると、それはDXではないということがいまだに少なくありません。やはりDXをIT化と同義で考えている人がまだまだ多いということなのでしょうが、その原因は実は深いところにあるのではと最近になって思い始めています。  「D」のイメージはあっても「X」のイメージがつかない人が多いのではないでしょうか。ビジネス革新する気がないのではなく、ビジネス革新するイメージが持てないのではないでしょうか。その結果、DXの多くがアナログ業務をIT化する「デジタ

        技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座40デジタルトランスフォーメーションの実践-APIとWebhookによるエコシステムの実現-

        • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座39デジタルトランスフォーメーションの実践-ETLツールとデータプラットフォームによる社内外データ連携-

        • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座38デジタルトランスフォーメーションの実践-建設、製造から始まるデジタルツインの未来社会-

        • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座37デジタルトランスフォーメーションの実践-デジタルシフトとデジタルトランスフォーメーションとの違い-

        マガジン

        • 技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX
          41本

        記事

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座番外編 DXについて近頃思うこと

           本年最後の連載として、今DXについて思うことを書いてみたいと思います。私はITの専門家として長くこの国の情報化をみてきました。古くはSISから始まってIT革命やサプライチェーン、データサイエンス、ビジネスインテリジェンス、IoT、AIなど次々と新しいキーワードが登場し、IT業界は売上を伸ばしてきました。  しかし、そのたびに期待していたような結果が伴わず、ブームはしぼんでいきました。その理由はきわめて単純で、ITさえ導入すればうまくいくという安易な考え方にありました。I

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座番外編 DXについて近頃思うこと

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座36デジタライゼーション(③SoI)の実践-クロス集計でつくる多変量解析のデータ下準備-

           昔、データ分析の講習会で講師をさせていただいたとき、参加者に分析してみたいデータを持ってきて欲しいと頼んだら、当日見せてもらったデータがことごとく集計済みのデータで、それ以上分析しようがなかったという経験をしたことがあります。  私が期待していたのは、営業ならば日々の販売データや営業日報、工場ならば製造データや品質記録といった日々の収集データを期待していたのですが、結局、参加者が望んでいたのは、こういう集計表があるけれども、ここから何を読み取ればよいか教えて欲しいという

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座36デジタライゼーション(③SoI)の実践-クロス集計でつくる多変量解析のデータ下準備-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座35デジタライゼーション(③SoI)の実践-Excel散布図だけでできるデータサイエンス-

           SoI-分析のためのシステム-と言うと、難しそうな感じがしますが、実はExcelだけでもできることが多くあります。それどころか、今後のバージョンアップにおいて、AIの組み込みやPython関数の追加など、ExcelがSoIにおける重要ツールとして活用されることが予測されます、  しかし、最新バージョンの登場を待たなくても、Excelには昔からデータ分析のための機能が豊富に用意されています。今回はそうした今すぐにでもできるExcelの散布図を使ったデータ分析の方法について

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座35デジタライゼーション(③SoI)の実践-Excel散布図だけでできるデータサイエンス-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座34 デジタルトランスフォーメーションの実践―商品・サービスそのものをデジタルシフトする―

           今回から狭義のデジタルトランスフォーメーションの実践に入っていきます。狭義のデジタルトランスフォーメーションは、「データやデジタルの活用でビジネスに変革を起こし、収益をもたらすと共に企業の強みや価値を創出すること。」と説明されることが多いようですが、 ここではより正確性を期すために、狭義のデジタルトランスフォーメーションの意味は、経済産業省「DX推進ガイドライン」における以下の定義に従うことにします。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座34 デジタルトランスフォーメーションの実践―商品・サービスそのものをデジタルシフトする―

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座33デジタライゼーション(③SoI)の実践-ビジネス革新のヒントはビッグデータから得る時代-

          データウェアハウスやデータマイニングなどSoI(System of Insight:分析のためのシステム)と類似する考え方は以前からありました。統計解析やOR(オペレーションズ・リサーチ)では第二次世界大戦において軍事利用されていたと言われています。 AIにしても突然生まれてきたものではなく、長い研究成果を経て発展してきたものであり、DXが叫ばれる以前から注目されていたデジタル技術であり、AIを使えばDXとしてのSoIと言えるかというと少し疑問が残ります。  それでは

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座33デジタライゼーション(③SoI)の実践-ビジネス革新のヒントはビッグデータから得る時代-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座32デジタライゼーション(③SoI)の実践-事後把握のためのデータ集計から将来予測のためのデータ分析へ-

           業務の効率化など今ある問題を解決するのは単なるIT化であるのと同じように、どれほど高度なデータ分析を行おうとも、今の計画がうまくいっているかを事後把握するためのものは単なるIT活用にすぎません。  DX(デジタルトランスフォーメーション)において、SoI(System of Insight/分析のためのシステム)が重要視されるのは、それが未来のあるべき姿の実現に向けて何をすべきかを示すためのものだからです。  SoI(System of Insight/分析のためのシス

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座32デジタライゼーション(③SoI)の実践-事後把握のためのデータ集計から将来予測のためのデータ分析へ-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座31デジタライゼーション(②SoE)の実践-RPAによる現行業務の自動化はDXではない-

           RPA(Robotic Process Automation)が登場した頃、業務を自動化できるツールとしてデジタル化に遅れた企業でもDX推進できる切り札として注目されました。RPA自体の有効性は間違いなく大きいのですが、RPAの導入や利用がDXにつながるかというと、それは違います。  本講座で何度も強調してきたように、どれほどデジタル化に取り組もうとも、現行業務を対象としている限り、それは単なるIT化であり、DXではありません。DXは新たな価値創造を生み出すために取り組む

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座31デジタライゼーション(②SoE)の実践-RPAによる現行業務の自動化はDXではない-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座30デジタライゼーション(②SoE)の実践-ブロックチェーンが激変させる企業内外の取引連鎖-

           ブロックチェーンはビットコインとまとめて議論されることが多いのですが、実はビットコインはブロックチェーンの一要素であるトークンを応用した技術であり、ブロックチェーンではトークンの利用はあくまでも任意です。  むしろ、ブロックチェーンの醍醐味はまさにブロックをつなぎ合わせるようにデータを記録していくところにあり、「ハッシュ関数」や「電子署名」といった暗号技術を用いることで、データの改ざんを容易に検出できる(=容易に改ざんできない)仕組みを持っている点において。証拠として残

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座30デジタライゼーション(②SoE)の実践-ブロックチェーンが激変させる企業内外の取引連鎖-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座29デジタライゼーション(②SoE)の実践-Webサイトは会社で一つの時代から商品、担当者ごとの時代に-

          部署の壁、顧客の壁を越えるような取り組みにはどんなものがあるか教えて欲しいとよく聞かれます。あらゆる仕事が顧客からの注文や他部署からの依頼によって始まり、仕事の結果を顧客や他部署に引き渡すことを考えれば、探すのは簡単だと思うのですが、長年のルーチンワーク化によって、誰のためにやっているのかがわかりにくくなっている仕事が増えているのかと思うと、なんとも言えない気分になってしまいます。 極端なことを言う人の中には、まずは部分最適でいいからデジタル化や業務改善に取り組めばよいと言

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座29デジタライゼーション(②SoE)の実践-Webサイトは会社で一つの時代から商品、担当者ごとの時代に-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座28デジタライゼーション(②SoE)の実践-ローコードツールで自社と顧客、取引先をまたぐシステムをつくる-

          DXと言えばローコード・ノーコードツール。ちょっと待ってください。簡単にプログラミングできるだけなら昔からExcelマクロなどいくらでもありました。ただ開発言語をローコード・ノーコードツールに変えるだけでDXと言えるわけがありません。 しかし、「ノーコード・ローコード」で検索してみると、「ノーコード・ローコード開発できるプログラマ募集」や「ノーコードツールを使用した受託開発を請け負います。」といった求人広告や営業宣伝が次々と表示されます。 たとえ、ローコード・ノーコー

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座28デジタライゼーション(②SoE)の実践-ローコードツールで自社と顧客、取引先をまたぐシステムをつくる-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座27 デジタライゼーション(①SoR)の実践-AsIs(現状問題)のためのシステムからToBe(将来課題)のためのシステムへ-

           巷で耳にするDXに違和感を感じるのは、単なるIT化と何が違うのかがわからないことです。DXを支援する公的機関ですら、DXという言葉の意味をわからずに使っているのではと疑ってしまいます。DXの構成要素であるX(トランスフォーメーション)がない/弱いD(デジタル化)では、競争優位を獲得できないどころか、この先の激動の時代に生き残ることすらできません。  DX以前のIT化においても、全社的な取り組みをする米国企業と比べて、日本企業は部署の壁を越えられない部分最適にとどまってい

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座27 デジタライゼーション(①SoR)の実践-AsIs(現状問題)のためのシステムからToBe(将来課題)のためのシステムへ-

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座26 デジタライゼーション(①SoR)の実践-CRM(SoE)、AI(SoI)につながる SoRデータの品質-

          SoR(Systems of Record:記録のためのシステム)はSoE(Systems of Engagement:関係のためのシステム)やSoI(Systems of Insight:分析のためのシステム))と比べると、地味な存在に見られがちですが、実は、SoRがなければSoEもSoIも成り立たないほど、SoRは大きな意義を持っています。  SoEではシステムをサービスとして考えて、顧客価値の増大による顧客との関係を強化することをめざします。特にCRM(顧客関係管理

          技術士(経営工学・情報工学)が教えるDX(デジタルトランスフォーメーション)講座26 デジタライゼーション(①SoR)の実践-CRM(SoE)、AI(SoI)につながる SoRデータの品質-