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開発前に準備しておくと便利「ゲームで使うものを並べてみた」

こんにちは「つけらっとゲームス」プログラム担当のとちです。
前回はゲーム制作に踏み出せない方々に、オススメのゲーム開発ツールをダウンロードし、この部分を変更するだけで世界に二つとない「あなただけのゲーム」になりますよ~というお話をしました。

今回はもう一歩踏み込んで「ゲーム開発に使うもの」についてです。
基本的にゲーム作りは時間のかかるモノです(個人で作るレベルでも場合によっては数か月単位)
はじめてゲームを作るとき、思っているより時間がかかっちゃうと焦るし、他にやりたいことがあると投げ出しちゃうかもしれません。

なので、わたしがウディタを使って作ったゲーム(ウディタでの習作)の当時の開発メモを見ながら「準備しておくと便利なもの」を考えてみたいと思います。これにより、準備をしっかりすることで作業の効率化と、精神的負担の軽減を目的としています。



作ったゲームはこんな感じ


今回の例として挙げるゲームを作ったのは2008年末あたり、
なんと15年も前のゲームです。自分でもビックリしました。

※注意
ウディタ基本システムも更新されていますので、お手元のウディタとスクリーンショットには相違があります。ここではゲームを作る際にどんなものが必要なのか、どれくらい時間がかかるのかを感じていただければと思い、記事としてまとめました。ご了承ください。

各種無料素材をお借りし、当時のウディタ基本システムをベースに作ったRPGです。まずはウディタを使って何ができるのかを把握するための習作という立ち位置になります。

習作として1本作ろうと考えた時点での構想は以下の通り

  1. ウディタというツールが得意であろう2D見下ろし型RPGにする

  2. いわゆる主人公キャラは勢力を率いる立場とする

  3. 勢力を率いる立場ということは拠点には多くの協力者がいるだろう

  4. 主人公と仲間だけでなく拠点も成長させたい

  5. 主人公と仲間の成長もプレイヤーの任意にしたい

  6. 使用できる魔法もプレイヤーの任意にしたい

まずは何でもいいのでゲームの名前を考えます。
カタカナで造語を作るときは50音の文字盤を思い浮かべてテキトーに文字をピックアップし、並べ替えたりして語感が良ければそれでいいや、って感じです。
とはいっても、こういうのは以前読んだマンガ、ドラマや映画、小説、ゲームなどの他の創作物から無意識に引っ張り出したりするので、何かと被っていることも多いんですよね……仕方ないけど……

タイトル画面

タイトル画面

アネルギア、いま思うと「ギア」って装備品のイメージが強くなっていますよね。でも「歯車」っていう意味もあり、そのあたりを物語に絡められないかなーと考えていた記憶が微かにあります。
とりあえずの習作なので絡まらなかったらそれはそれ、とりあえず完成まで走り抜けました。

戦闘シーン 特に大きく手を加えていない当時の基本システムのモノ

総合情報システム

ステータス画面の一部

ステータス画面から「拠点情報」や、現在いるフロアの「宝箱の数」と、その「取得数」、難易度選択に戦闘アニメの有無を確認できる仕組みが追加されていますね。また、このあと決定ボタンを押すと物語の進行度合いによって「これまでの出来事」「次にやるコト」が軽くテキスト表示されます。

15年くらい前のわたしですが、初めて触れるエディタで中々小賢しいことをしてますね。

簡易マップ・人物事典

簡易マップに人物事典まで作ってる…

現在フロアの簡易マップの確認や、物語に登場する人物がどんな人なのかを確認できる人物事典まで搭載しています。

ただ、かなり突貫工事だったようで簡易マップは画像ファイルを用意して画面出力しているだけでした。ちゃんとした簡易マップをつくるならマップデータを読んで侵入可否の判断をし自動生成するべきですが……これは後に作る「Abyss and Dark ~平和の代償~」(ウディタ版)で実装しています。

物語の進行状況によって内容が異なる人物事典

少々手間のかかる部分として、ゲームの進み具合で人物が増えるだけでなく、各人物の表示内容が変化します。

プレイヤー任意のキャラ成長

経験値が一定値になるとレベルアップ、それによって操作キャラはある程度の方向性に従って成長をします。これだけでは自由度が低いかな?と考えてプレイヤー任意のキャラ成長もゲーム内で楽しんでもらう工夫をしました。

特定のアイテム消費でHP、MP、能力値、魔法習得できる

弱点を補うも良し長所を伸ばすも良し、
成長用のアイテムは多めに手に入るように配置しています。

拠点の成長

拠点の成長度合いによって購入アイテムが変化したり、新しい施設が増えたり…

お金の投資をする、特定のアイテムを見つける、特定のサブシナリオをクリアするといった条件によって拠点も成長していきます。
錬金術師に特定のマテリアルを渡して合成してもらうことで、便利なアイテムも手に入る、結構色々な要素が盛り込まれているんですね。

結構昔のことなので忘れていましたが、頑張ってるなぁ、当時のわたし。


ゲーム開発に必要なモノを揃えよう


ゲームはアイデアがないと作れませんが、逆にアイデアだけでも作れません。何が必要なのか順を追って書いてみましょう。参考にしたのは先程のゲームを作る際に書いていた開発メモです。

どこにでもあるノート、いまはルーズリーフを使ってます


物語の大枠

当時の物語メモはこんな感じでした。内部的な数値や誤字脱字はともかく、大きく分けて①~④に分割して考えていました。起承転結ですね。これにあわせて拠点も移転していきます。

物語の大枠、起承転結くらいのざっくり感です。

王様がいる。死ぬ。
王様の弟と王子が後継者争いを始める。
それを利用する黒幕がいる。
主人公の立ち位置とこれらの人々が大きな物語の中でどう繋がっているか? 

この時点では、こんな感じでしか決めていません。


キャラクター設定

キャラクターの背景や特徴などを詳しくまとめます

物語の大枠が作れたら、その物語に登場する演者を当てはめていきます。このへんは人によって作り方が違うと思いますが、わたしの場合は先にキャラの特徴や思惑を書いていきます。

うまく説明できないのですが、キャラの特徴、思惑、立場や考え方が決まっていれば、イベントや場面でそのキャラがどう動くか想像しやすく、勝手に物語が組みあがっていく感じです。


キャラチップの一覧

開発時、ウディタで探しやすいように、ネット上で見つけたキャラチップをメモしてます

ネット上でお借りしてきたキャラチップ素材のファイル名と大まかな特徴を一覧化してメモにまとめています。

キャラチップとは、移動時のゲーム画面上に表示される人(動物など)です。街にいる店員さんや城門の前にいる兵士などのNPCも、場合によってはフィールド画面でのモンスターとのシンボルエンカウントに使用する鬼火や骸骨の姿もキャラチップが使用されています。

画面内にいる人物はキャラチップを利用しており、歩いたり足踏みします。


マップチップデータの一覧

マップチップデータの一覧、オレンジの枠に連動したpngファイル名をメモしています。

こちらはマップチップ素材のファイル名と大まかな特徴を一覧化してメモにまとめています。開発時にあのファイルって何番だっけ?と悩む時間を短縮できますので、やはり一覧化しておくと便利ですね。

マップチップとはマップそのものを構成する草原や石畳などの地面や、森や山といった自然物シンボル、また、建造物やダンジョンなどを1マス(または複数マス)の大きさで表現したもの。素材としては1枚の画像になっており、エディタ内部でスライスし画面表示される。

BGM・効果音の一覧

ファイル名と曲名、使用タイミングを一覧化してます

ゲームには音も必要。音と言っても流れ続けるBGMも必要だし、ちょっといた場面転換やレベルアップなどのジングル、ファンファーレも必要。ボタンを押した時の効果音がないと動作しているのかバグってフリーズしているのかも判断効かない、やっぱ必要!

たくさんの音が必要なんですね。
グラフィックと同様に大量の音を使用しますのでコチラも一覧化しておきます。使用するタイミングも想定しておくとより便利になります。


技能・魔法の一覧

魔法や特殊攻撃などをまとめておきます。

今回の例では中世ヨーロッパを舞台にしたようなファンタジー世界のお話ですので魔法が存在するゲームとなっています。ツールやエディタ、使用するシステムによって異なりますが、

例えば、日本の剣豪を題材にしたRPGを作るとしたら「燕返し」「一の太刀」「無刀取り」といった技を一覧化しておくとよいでしょう。


武器・防具の一覧

武器や防具は趣味でいいと思います

今回の例に挙げたゲームは、武器の種類がそれほど多くないので手書きメモですが「Abyss and Dark ~平和の代償~」ウディタ版では数百種に膨れ上がって手書きでは無理!

バランス調整で数値を変更するのも考えるとExcelなりスプレッドシートなりでデータ編集した方が楽です。

モンスター・敵グループの一覧

モンスターのデータを入力するのは大変

モンスターのデータも準備しておきましょう。こちらもネット上でお借りしたグラフィックと関連付けないといけませんのでこういったメモは重宝します。とはいえ、武器や防具のデータ同様、結構な量になるのでExcelなどの表計算ソフトで管理した方が良いでしょう。


マップ一覧

マップチップではなくマップそのものの一覧表です

どこそこの街があって、なんとかの洞窟があって……と増えてくるのがマップそのもの、マップチップを組み合わせてマップを作るわけですが、多くなるモノはとにかく一覧化した方が良いと思います。

マップは一覧化するだけでなく全体図を残しておいた方が良いでしょう。
どこのマップが隣接しているのか、移動可能なのか、そのへんの辻褄があってないとゲームとして破綻する可能性がありますからね。

変数メモ

ゲームを管理する様々な変数を管理しましょう

このページのメモ書きは主に「メインシナリオフラグ」について書かれています。メインシナリオフラグはゲーム全体の進行度を管理する変数として使用しています。「この値が何番だったら、このイベントを通過している」というデータなのでシナリオ分岐があるRPGでは非常に重要なフラグです。

変数を大まかに説明すると、
データを使用する際に、読み書き可能なデータ領域に入れて操作します。
このデータ領域を変数と呼びます。

ステータス状態・戦闘アニメなど

ここまで必要なモノを順に説明してきましたが、まだまだ設定するもの、準備しておくもの、データをまとめておくものがあります。他にも資料が残っていたものとしてはステータス状態や戦闘アニメ、これらもファイル名と使用するタイミングなどをメモしておいた方が開発時に迷わないでしょう。

当時の基本システムだと状態異常の設定はこんな感じでした
攻撃したり魔法を使った際のアニメーションを定義しておきます

ゲームに追加したい独自要素


ここまでは既に準備されていた基本システムに必要なデータ類がほとんどでした。ここからは他のゲームと「アネルギア」の違いを表現すべく追加した機能についてのメモとなります。

難易度変更機能・簡易マップ

追加機能についてのメモ

難易度については、基本システムのコモンイベント(プログラム)を読んで、内部で使っている変数を調査、どこを操作すれば何が変わるのかをメモしています。

簡易マップの表示はプログラムによる解決ではなくエディタのハードコピー画像を利用する旨を記述しています。時間と余裕があればマップデータから自動生成したいところです。

前述通り、この「やり残し」部分は後のゲーム開発で実装しているので、「やり残し」も経験を積むという意味で大事なのかもしれません。

戦闘アニメの有無設定・習得魔法のソート

追加機能についてのメモ その2

わざわざ登録した戦闘アニメですが、毎回見ていると飽きてきます。戦闘シーンを少しでも短くするためには戦闘アニメを省略するのがいいのでは?と考えたのが「戦闘アニメの有無設定」です。

メモを見ると基本システムのプログラムを確認し、どこの変数を操作するかを調べているようですね。

また、習得魔法が多くなると戦闘中に魔法の選択が煩わしくなります。
並び変えはプレイヤーの好みもあるでしょうけど、この当時は基本的なソート順を設けて、その法則に則って処理を行っているようですね。

拠点成長・錬金術のアイテム合成

追加機能についてのメモ その3

このゲームの特徴的な部分「拠点の成長」ですが、その成長タイミングをまとめているメモです。変数(フラグ)の変更タイミングとも言えますね。

錬金術のアイテム合成については手に入れないとクリアできない要素ではありませんが、気がついた人が楽しめるシステムとして搭載しました。あると便利なので可能であれば隠しアイテム的な「マテリアル」を探して貰いたいですね。


※付録 素材を集めるなら

ネットで探せばウディタ等のゲーム開発ツールで使用可能な無料素材を見つけることが出来るでしょう。ただし注意点もあります。
「有償作品に使ったらダメ」「年齢制限のある作品に使ったらダメ」「使う時はクレジットを入れてね」といった利用規約もあるので確認しましょう。

利用規約に違反しないようにするのは当然ですが、わたしとしては、こういった注意書きを読む練習も必要だと思います。いまはその練習だと思ってくださいね。

「探す時間が足りない!」と言う方はウディタ公式サイトにリンクのある素材集を利用させて貰いましょう。

おわりに

ここまで読んでくださってありがとうございます。
ゲーム作るのって大変ですが、準備さえできていれば効率化が出来ると思いますし、メモが残っていれば途中で用事があって開発できない期間があったとしても復帰できると思います。

あくまで開発手段の一例なので「絶対に真似してください」というわけではありません。そもそも資料なんて後で追加することも多々あるものなので、消しゴムで消せる鉛筆書き程度のメモでいいし、消すのが面倒なのでExcelやスプレッドシートでもいいです。

習作のフリゲではありますが「アネルギア」を遊んでみたかったら、コチラにありますので、ご自由にどうぞ~

弊サークルのアプリはコチラにあります。


ということで、今回はここまで、
また次回の記事でお会いしましょう。


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