つきひ/いわてローカル情報ブログ

岩手で地に足を付けて暮らす方、 暮らそうとしている方を取材し、情報をお届けします。 た…

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岩手で地に足を付けて暮らす方、 暮らそうとしている方を取材し、情報をお届けします。 たまに、人物以外もお届けする予定です。

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自分の人生を自分で選んで――。ランドセルでアフガニスタンの子どもを支援。

自分の人生を 自分で選択してほしい小学生の頃から、級木さんには大きな疑問がありました。 「何のために勉強するんだろう?」 小学校、中学校、高校と信頼できる幾人かの先生に質問しました。どの先生も、返答は同じ。「将来のため」。それでも質問を続け、納得できる答えに導いてくれたのは、大学で選択したゼミの先生でした。 「今、目の前にあることが正しいかを判断するためです」 つまり、だまされないために勉強するのだ、と理解しました。 なるべく多くの知識や価値観を知って、自分で考える。自分で

    • 怪談を愉しむ視点が持つ寛容性。語り手であり、聞き手でもある怪談師の役割。

      「採話」と「語り直し」で話を育てる 「創作」と「実話」。怪談のジャンルは大きく2つに分かれます。小田切さんの話す怪談は「実話」。 「実話怪談」とは、科学的には説明できない不思議な現象を実際に体験した本人に取材し、語るために再構成したもの。実体験であるため、ヤマもオチもない話が多く、創作に比べて刺激は弱いですが、現場の伝承や事件を追加取材し、情報を加えることで話の厚みが増していくところが魅力です。 こうした特性から、実話怪談師の主な活動は「採話」と「語り直し」といえます。 「

      • その人だけに価値がある1本のペンを丁寧に選んでいきたい。

        ものの個性を引き出し 人との良縁を取り持つ それぞれに製造されるまでの物語を持つ「もの」。 菊池さんは、特長を熟知してブランドや商品に「スポットライトを当ててあげる接客を心掛けています」。なんとなく見た目が好みだから手に取るよりも「背景を知って選んだ方が、愛着が湧くはずです」。 「もの」と「人」の物語を強く意識したのは、菊池さんが24歳の頃。親友と闘病中のお母様のエピソードを聞いてからです。死を意識されたお母様に「好きなものを買って」と50万円を渡され、親友は腕時計を購入。

        • 動き、湿度、匂い――技と感覚で、微生物が生み出す一期一会の色に寄り添う。

          ジーンズに導かれた藍染の道 Levi's501は何本履きつぶしたか分かりません。 ジーンズが好きで藍染の道に入ったのは25歳のころ。 どのような作業をするのか。大学卒業を控え、見学のために訪ねたのが、盛岡市内にある藍染工房。職人の仕事を見ていると当時の社長に声を掛けられ、そのまま面接。2週間後には採用通知が届きました。 「言葉で教えていただくこともありましたが、見て盗むことも多かったです」 染めや型を彫る先輩たちの動作を、自分の作業をしながら観察しました。奥州市の型染め工房

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        自分の人生を自分で選んで――。ランドセルでアフガニスタンの子どもを支援。

          観察が作品に個性を宿す。日常のありふれた風景を「芸術」にする目。

          「楽しみつつレベルアップ」のために 大切なのは生徒に合ったモチーフ選びデッサンでは初めにモチーフを観察して、魅力を掴みます。 リンゴを描くとき、形や模様、光沢の具合を見せることもできるし、リンゴがつくる影が面白ければ影をメインに描いてもいい。魅力とは「自分が面白いと思ったところ」です。 観察できたら、形、大きさ、質感など基本情報を盛り込みつつ描いていきます。どんなに着眼点がよくても、何が描かれているか分からなければ伝わりません。 観察と技術、どちらもデッサンには必要不可欠な要

          観察が作品に個性を宿す。日常のありふれた風景を「芸術」にする目。

          物語る絵と余白のある文章で、読み手の人生に寄り添う絵本を伝えたい。

          藤村ゆきこさんは、岩手県で6人目の絵本専門士。絵本専門士とは、絵本に関する高度な知識、技能及び感性を備えた絵本の専門家で、2014年に国立青少年教育振興機構が創設した民間資格です。子どもの感情や想像力、言葉の表現を豊かにしてくれる絵本は、大人にとっては自己肯定感を育む場でもあります。年齢に合わせた絵本の楽しみ方を伝える藤村さんにお話をうかがいました。 藤村さんが幼少期によく読んだ絵本 「もぐらとずぼん」と「モチモチの木」。 「モチモチの木」では、 木が月を背にして輝く場面が

          物語る絵と余白のある文章で、読み手の人生に寄り添う絵本を伝えたい。

          本の循環を通して、誰もが「自分の存在」を肯定できる場所を創りたい。

          株式会社盛岡書房は大手インターネット通販サイトAmazonでの販売に特化した古書店。2021年8月からは、岩手医科大学付属病院の小児科無菌病棟へ新品の書籍を贈る「象と花」プロジェクトに取り組んでいます。開始から約2カ月後の10月27日に第一弾として0~18歳向けの書籍53冊を寄贈。「本の循環」を通して「人の循環」を創ろうと励む代表取締役の高舘美保子さんと取締役の佐藤大幹さんにお話をうかがいました。 書籍を受け取った子どもたちからのメッセージ。 大人から子どもへ言葉の花

          本の循環を通して、誰もが「自分の存在」を肯定できる場所を創りたい。

          レゲエから昭和歌謡まで、広大な世界につながる音楽は「永遠の自由研究」。

          小原正史さんの経営する「ディスクノートもりおか」。岩手県盛岡市に開店して、今年で15年目を迎えます。レゲエやジャズから昭和歌謡まで揃うレコードショップです。60年代のオリジナル・プレス盤から令和の新譜や再発盤まで在庫は約5万点。音楽の歴史から録音方法まで興味は尽きず「音楽は永遠の自由研究」とおっしゃる小原さんにお話をうかがいました。 約25㎡の店舗。MOSSビル4階、通路の最奥にある。 窓から盛岡の空が見渡せる明るい店内。 ジャンルごとに分けられたディスプレイ。 レコード

          レゲエから昭和歌謡まで、広大な世界につながる音楽は「永遠の自由研究」。

          豆腐消費量上位の岩手で挑む「豆腐の目利き」という生き方。

          鈴木光太さん(37)が経営する「一恩」は豆腐の移動販売店。岩手県をはじめ沖縄県、高知県、東京都など5地域12社から、自分の舌で確かめた手づくりの豆腐や納豆、厚揚げなどの大豆製品、ところてんのような季節商品も含めて約100種類取り扱っています。毎年の豆腐消費量が全国でも上位に位置する岩手県で〝豆腐の目利き〟として活動する鈴木さんにお話をうかがいました。 品出しをする鈴木さん。 商品は200円の木綿豆腐から800円のざる豆腐までさまざま。 豆腐は賞味期限が短いため「仕入れのタイ

          豆腐消費量上位の岩手で挑む「豆腐の目利き」という生き方。

          岩手移住1年目の私がめざす、伝えること、つながること。

          あまのさくやさんは絵はんこ作家。2011年1月から活動を始め、今年で10年目です。ずっと「好きなことに専念してきた」とにこやかに話されます。ご縁があり訪れた岩手県紫波町。人と暮らしに魅せられて、2021年3月、東京都中野区から移住し、4月には地域おこし協力隊に就任しました。絵はんこ作家と地域おこし協力隊。兼業フリーランス作家として、紫波町で活動するあまのさんにお話をうかがいました。 「絵はんこ」とは消しゴムなどでつくる、小さな版画のこと。 不定期ながら、約7年間、続けてい

          岩手移住1年目の私がめざす、伝えること、つながること。

          表現を探求することは、自分の変化を楽しむこと。

          ※2021年9月24-25日開催予定だった「音のパレット」は、新型コロナ感染症拡大防止のため、2021年11月26日(金)18:00に延期となりました。 フルーティストの村野井友菜さんが、岩手県盛岡市で活動を始めて6年。自身が主宰するフルート教室では、全国大会で1位を獲得した生徒も育っています。指導者として活躍する一方、多様な音楽家とユニットを組み、積極的に取り組んでいる演奏活動。2021年9月に再始動する「音のパレット」もその一つです。指導者として、演奏家として、フルート

          表現を探求することは、自分の変化を楽しむこと。

          人と家をつなぐ、触媒としての本屋。

          建築士の山下桂樹さんが間借り本屋「書肆(しょし)みず盛り」を始めたのは、2018年10月。間借り本屋とは、文字通り、お店の一角を間借りして営業する本屋のこと。「書肆」は書店という意味です。 取り扱う書籍は全て、自分で選び、買い取りで仕入れています。「売れる」ではなく「自分で買って読みたい」が選書の基準。 自選の本を通して、自分と人、人と家をつなげる。山下さんの活動についてうかがいました。 岩手県北上市「ウワノソラ」の一角にある「書肆みず盛り」。 改修した店舗。長年使われた

          人と家をつなぐ、触媒としての本屋。

          「つきひ」について

          「つきひ」とは「月日」。 太古の人々は 月と太陽の運行から 幾日、幾年という 時の流れを読み取っていました。 時を知ることは 生活の基盤である農耕を支えます。 二十四気候も七十二候も 植物をよく育成させるために 四季の移り変わりを読み解いたもの。 そうして懸命に空を見上げた 人々の足元には黒い大地が広がりました。 日は沈み、夜は明ける――。 自然の事象と同じように 喜怒哀楽が営まれてきた大地で 病めるときも 健やかなるときも 心豊かにあろうとする人々の 「つきひ」を教えてもら