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少しだけ、思い出してねって言うのは、ずるいよ。

おはようございます。月街 愁です。
今回は新井素子さんの「グリーン・レクイエム」の読書記録です。

ネタバレ等を含みますので、ご注意ください!


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自分が好きな人の傍に居られなくなると分かった時、あるいは、その人の隣に相応しいのは、自分じゃないって思ってしまった時。

いつか思い出してよねって言うのは、ずるいですよね。残された側の人を考えると。

でも、どうしようもなく、そういう思想の子が好き。

それでも、自分は破滅の道を選んでしまうなんて、かなしすぎますが……。

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十年ぶりに、新井素子さんの「グリーン・レクイエム」を読み終えました。感想を書かないと、という気持ちになりますね。これは。

森の中の洋館、緑の髪の異星人、ピアノのある喫茶店、研究者と研究される側の恋、海へ還ること。鎮魂ミサ曲はママの叫びで、愛で、呪いのようだった。

登場人物、それぞれの立場を考えると、滅茶苦茶つらいです。あんなに可愛らしい明日香嬢を、ここまで追い込んで、自滅させてしまうなんて……。

信彦ーー彼自身も、自分の無力さだったり、守れなかったものとかを抱えながら、生きていくんだろうなっていうのが、ラストの描写から、ひしひしと伝わってくるんですよね。

煙草を埋めたのは、区切りなのかな。明日香嬢と、自分の想いのための、お墓のようで。もう振り返らない背中に、意志の強さを感じますが、ひとしきり切なくなったところで、この物語は幕を閉じます。

休日の朝から、なんとなく悲しい話を読みがち。本当は青い鳥で紹介するつもりで、本を選んでいたのですが、140字では足りませんでした!

新井先生の書く女の子、とてもキュートで、おすすめです。すでに読了済みの方も多く、いらっしゃるかもしれませんが、ささやかな絶望を感じたい方は、ぜひ。