独身の叔母が入院した話

身バレをするといろんなところに迷惑がかかりそうなので、フェイクを含みます。

叔母の住んでいる公営高齢者住宅から連絡があった。
叔母は、母の妹である。彼女は、自分の血族では珍しく、水商売を生業としていた。
小さい頃はよく母と泊まりに行ったことを覚えている。
かつては結婚していたが、離婚し、再婚の話もあったようだが現在は独り身である。
以前、叔母から母を通して死後の見受け引受人の依頼があり、引き受けた。その時死後に連絡してほしい人を聞いたが答えがなかった。
高齢者住宅からの連絡は、叔母が入院したというものだった。

それから特に連絡はなかったが、数日後に病院から連絡があった。最初に叔母が入院したと聞かされたのとは別の病院であったが、叔母は現在そこにいるとのことだった。
入院の手続きが必要だが、従兄弟と連絡が取れないので自分に連絡したという内容だった。
従兄弟の母は、母の姉である。この伯母は3年ほど前に亡くなっている。
入院した叔母の連絡先には、この従兄弟と自分の連絡先があったらしい。
従兄弟の連絡先は知らないと伝えると、入院保証金を支払えという。結構な額だった。叔母の入院の原因もわからず、状態もわからない。連絡してきたのは事務職員とのことで、患者の状態を説明することは権限上不可能であるとのことだった。よくわからないが、他に必要なものはないのかと電話口で尋ねると本人に聞くといって保留された。戻ってきた事務職員曰く、特に必要なものはないとのことだった。
ここで疑問が3つ。なぜ最初に聞いたのとは別の病院に入院しているのか。そんなに入院保証金は高いものなのか。そして、叔母と意思疎通ができているようなのになぜ自分に真っ先に連絡がなかったのか。
よくわからないので、一旦電話を置き、母に相談してみることにした。

母曰く、行くのはやめておけと。
叔母は少々怪しいところがあり、「2000万円取り返すから弁護士の知り合いがいたら教えてほしい」と突然母に電話したり、亡くなった末の妹にM資金の投資を持ち掛けていたり、「あの子は宛にならない」と常々感じていたらしい。「保証金を立て替えても支払うかどうかわからない」。すべてを高齢者住宅、それを運営する自治体に頼めと。
ならば、と自分も病院に連絡することはせずにいた。

後日、叔母の入院する病院から電話があった。
今度は看護師とのことだが、「患者のキーバーソンは従兄弟か、そしてあなたはお金を払う人ということか」とのこと。お金を払う人って、そんな言い方はないだろう。この発言で病院に対する不信感は一層強まった。そう捉えているならば従兄弟に連絡してくれ、金品に対する約束はしていないと電話を切る。
さらに数日後、今度は別の事務職員から連絡があった。叔母の所見を担当医から説明したいが、どうしても従兄弟と連絡がつかない、とのこと。医師からの電話を承諾すると、しばらくして着信があった。
医師からは、叔母の病状説明があった。入院の原因は貧血で、その原因は胃潰瘍であるとのこと。さらに肝細胞癌が見つかったこと。癌については年齢もあり手術をためらうが、叔母本人の意思は手術を希望するとのこと。承諾するか、と問われたので、本人の意思を尊重すると回答した。「死ぬかもしれないがかまわない、ということですね」と念を押された。
看護師といい医師といい、この病院の職員は表現を考えないのか。
承諾して電話を切る。手術が行われるものかとばかり思っていた。

それが先日、同じ事務職員から電話があった。
手術の前に叔母は一旦退院し、住居を整理し、その後入院して施術する、とのことだった。その際に、叔母のケースワーカーは、叔母の生活状況をみたうえで、今後のことを話し合いたい、と言っているとのことだった。
叔母の住居は行ったことない。そもそも叔母とは法事以外にあったことがない。叔母の生活のしかたも一切わからない。
そう電話口で伝えたのだが、ともかく退院に付き添ってほしいと一点張りだった。
母に相談する。
曰く、行く必要はない、病院としては、どんな名目でも料金を取りたいのだろう。生活の相談と言われてもそれまでを知らない以上相談になるわけがない。すべてをケースワーカー、そして自治体に任せろと助言された。どうしてもというならば、さらにもう一人の従兄弟の名前を出し連絡してもらえ、と言われた。

病院に返信はまだしていない。そして、病院からの連絡もまだない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?