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"大変な未来しかない
 わけないだろう
 きっとそうだろう

 僕は信じることしか
 できなかった"


 PEDRO
 [人]




息子は幼い時から持病がある。

"てんかん"という病気だ。

2才くらいの時に発症して
今でも毎日薬を飲んでいる。

最近は無くなったが
子供の時は頻繁に発作が起こり
何度も救急車のお世話になった。

電車やバスが好きで
小さい頃は行き先を告げずサプライズで
鉄道博物館や交通博物館に連れて行くと
到着したとたん歓喜で走り出した。

それくらい乗り物が好きで
将来の夢は電車かバスの運転手だった。

前の担当だった女医が
そんな息子に向かって
[まさか免許取ろうなんて思ってないよね?]
と言い放った。

小児科から通常外来に
変更になるタイミングで
新しい男の先生に変わった。

最近。
2年以上発作が起きていなかったので
何度も通院して検査を繰り返した結果
念願だった免許取得のOKが出た。

江東運転免許試験場に行き
書類を貰って来て先生に提出して
診断書を書いて貰い
再び試験場に行き証明を貰えれば
教習所に通える事になる。


中学高校と友達の居なかった息子が
去年短大に入学して2人の友達が出来た。

その内の1人にS君という子が居る。

何度か会った事があるが
礼儀正しく人懐っこく物凄く良い子だ。
顔も髪型もハナコの秋山に似ている。




今度のゴールデンウィークは2人で
カミさんの実家が在る群馬に
泊まりで遊びに行くらしい。

きっと東京では見れない
レアなバスを2人で撮りまくるのだろう。


そして最近ショックな事を知った。

S君は片方の足が悪く
運転免許は取得できないという事。

いつか車に乗せてあげた時。
[この車、子供の頃から大好きなんです(о´∀`о)]
と歓喜していた。

その時は何も知らなかったので
[じゃあ免許取ったらこの車だな(о´∀`о)]
なんて迂闊に言ってしまった。

後悔と悔しさが込み上げてきた。

中学高校と
友達が居なかった2人が
偶然巡り会えたんだ。

今。失ってた
青い春を取り戻してんだ。

だから。神さま。
そんな仕打ちしないでくれよ。

でも同じ痛みを知ってる息子なら
S君の片足になってあげるはずだ。

これまでも。
これからも。

大変な未来しかない
わけないのだから。







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