佃 尚能 ( Creative Director / 映像監督 )

「真田丸」「西郷どん」「ひよっこ」OP映像。「ゲゲゲの女房」「伝説のお母さん」他 ドラ…

佃 尚能 ( Creative Director / 映像監督 )

「真田丸」「西郷どん」「ひよっこ」OP映像。「ゲゲゲの女房」「伝説のお母さん」他 ドラマ演出。X JAPAN・AKB48・倉木麻衣 ステージ映像。番組の企画・開発、VFXを手がける。短編映画が、カンヌ、ベルリン他 国際映画祭で上映・受賞。ハリウッドで世界のMV15本に選出。

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ハリウッド式『三幕構成』を起承転結で説明してみた

『シド・フィールドの脚本術』が翻訳・出版されて以降、日本の一部ではストーリー創りの"最高経典"のように信仰されている『三幕構成』ですが、 発祥の地・ハリウッドでは、今や「いかに三幕構成から脱却するか?」が焦点になっています。『三幕構成』の効力が無くなった訳ではなく、『三幕構成』なんて朝飯前に出来て当たり前。 かけ算九九や方程式みたいなものなので、知らなきゃ話にならないけど、まんまやったんじゃ能がない。でも、ストーリーを組み立てていく上での「チェックポイント」「共通言語」と

    • "48時間"初代グランプリ 『鼻歌』 独ハンブルグで招待上映

      お題が出て48時間以内に短編映画を制作する世界コンペ 48 Hour Film Project (通称 : 48時間映画祭) Tokyo 初代グランプリ作品『鼻歌』が、6月14日にドイツで開幕するハンブルグ日本映画祭の招待作品に選出されました。 カンヌからアメリカ、韓国、バングラデシュ、そしてドイツへ 『鼻歌』は、2015年に東京に初上陸した"48時間映画祭"で、グランプリ・最優秀監督賞・観客賞・助演男優賞など6部門を受賞。第69回カンヌ国際映画祭をはじめ、Filmapa

      • 【010】「間口を広げる」ってどういうこと?『コア』と『マス』の話

        今はテレビ屋ですが、もともとは舞台演出・プロデュース出身ということもあって、時折、伝統芸能や舞踊・演劇などの公演の相談を受ける事もあります。 僕に相談してくれるということは、現状に何かしらの「行き詰まり」を感じていて、どうにかして「新たなフェーズ」に移行したいと思っているということなのですが。さて、どこに向かいますか?というお話です。 ◆ まず「間口」を広げないと始まらない 伝統芸能を例に挙げてみると、演目も知らないし、出演者も知らない、何より楽しみ方が分からない。だか

        • 読むシナリオ『 滅亡会議 』

          俳優オーディション用に書き下ろしたシナリオです。下記よりダウンロードして、オーディションやワークショップ、演技レッスンなどでご自由にお使い下さい。 【『 滅 亡 会 議 』台本ダウンロード】 ☆ 何かしらの形で発表されたい際には   コメ欄まで、ご一報下さい。 【あらすじ】 1ヶ月後に小惑星が衝突し、日本が滅亡することが判明した時、 首相官邸では……。(上演時間:10分程度) 【出演】首相、秘書官、気象庁職員、官房長官 ※ 全ての役、男女入れ替え可 『 滅亡会議 』

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        • ストーリーテリング ~魅せる☆物語の創り方~
          3本
        • クリエイティブ
          11本
        • 読むシナリオ
          3本

        記事

          【009】新しいって何?『ブラッシュアップ』と『プログレス』と『イノベーション』の話

          「なんか新しいことやりたい」ってフレーズ、よく聞きますよね。 大体の場合、ただその人がやったことがないだけで、世の中的には「新しくも何ともない」ことが多いのですが (笑) 巷に溢れる、ダメケースはひとまず置いといて・・・。 「新しいこと」と言ってもいくつかのフェーズがあるので、どの「新しいこと」をイメージしてますか?という話。 ◆ 既存のものに磨きをかける『ブラッシュアップ』「焼きそば」を例にしてみます。 「焼きそば屋さんを開業しよう」と思った時にまずやることは、既存

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          読むシナリオ 『エスパー』

          〇 オフィス街の路上・昼 スーツに身を固めた女性・本宮が歩いていると ふと、すれ違った男性のことが気になる。 時間を気にするも、踵を返し男性の後を追う。 交差点を渡り、雑居ビルに入ろうとしたところ で男性を呼び止める。 本宮「あのー……」 男性「はい?」 本宮「えっと、時間がないので単刀直入に言い    ます。あなた死のうとしてますよね?」 男性「 は?何言ってるんですか?」 行こうとする男性の進路を塞いで。 本宮「ごめんなさい、私、分かっちゃうんです。    えっ

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          【008】クリエイティブに不可欠なCDEF+って何だ?

          そもそも『クリエイティブ』って何だ?ってところをおさらいしておくと、辞書に書いてある『創造的・独創的』みたいな話じゃなくて・・・ 僕にとっての『クリエイティブ』の定義は、 あらゆるものを『エンターテイメント』に変換すること!なんですよね。 つまり、退屈でつまらない時間を、 楽しくすることが『クリエイティブ』 我慢と忍耐を強いる校長先生やIOC会長のお話は『非クリエイティブ』だけど、落語家の高座は『クリエイティブ』。横文字いっぱい並んだ企業の新商品発表は『非クリエイティブ

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          【上演記録】 新感覚★二人芝居『At Random』

          一般公募した④つの「お題」をクジで引き、俳優たちが即興から物語を創り上げる、新感覚★二人芝居。ペアもクジ引きで決める 完全<偶発性>演劇。第254回 麻布演劇市で上演。 ◆ 2021年10月9日(土) 麻布区民センター ◆ 出演:池内祥人、梅田脩平、木下朝実      黒永明日香、小林牧歌、嶋尾明奈      高宮隼人、寺村恵理加、森りさ      優美早紀 ◆ 音楽:TETARE 照明:川村孝志  演出:佃 尚能 プロデューサー:堀 正明  美術協力:平賀スクエア

          【上演記録】 新感覚★二人芝居『At Random』

          読むシナリオ 『 サイコ・サイコ・サイコ 』

          〇 寂れた雑居ビル  ベテラン刑事が3人の容疑者を連れて、  階段を上がって来る。  後ろから付いて来る若い警官。  古びた扉を開けると、骨董品屋の倉庫。  乱雑に並んだ骨董品の奥で初老の店主が  木彫りの人形を磨いている。 店主「(おもむろに顔を上げ) 久しぶりだな」 刑事「アンタの世話にはなりたくないがな」 店主「こっちだって世話したい訳じゃない」  刑事、机に札束の入った封筒を置く。  「!?」となる若い警官。  店主、封筒に一瞥をくれて 店主「その3人が容疑

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          【007】生涯年収7500億?! ピカソに学ぶセルフ・ブランディング術

          本題に入る前に、タイで騙された話を一席。 バンコクの街を歩いていたら、街の人に「兄ちゃんどこに行くんだい?」と声をかけられ、地元民しか知らない穴場寺院を教えてくれた上に、トゥクトゥク(三輪バイクタクシー)を止めて、現地価格で交渉までしてくれた。 別れ際、「そういえばタイファクトリーには行ったか?」と聞かれた。年間でこの時期しか開いていない、シルク工場の直売所だそうだ。その時は「へぇー、そんな所があるんだ」ぐらいにしか思わなかった。 教えてもらった穴場寺院で、たまたま出会

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          「SNSで流れてきた公演を検索したら終わってた」は、なぜ起こるのか?

          フェイスブックやツイッターのタイムラインで、演劇や音楽の公演情報を見かけて「面白そうだな」「観に行こうかな・・」と思って検索すると、『まさに今日、千秋楽だった』みたいなことがしばしばあります。 今回は、この現象はなぜ起こるのか?を、SNSのアルゴリズムから検証してみようと思います。 ◆ 友達やフォロワーに告知は届いてない演劇公演や音楽ライブをする方は、日々、一生懸命、告知投稿をされていることと思います。 友達やフォロワーが〇百人いるから、きっと投稿を見てくれてるはず・・

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          『文春』創業者も「賭け麻雀」で検挙されていた。文壇 VS 検察 90年越しの応酬

          黒川検事長、賭け麻雀で辞任。スクープを取ったのは『週刊文春』。 という報を目にした時、「積年の恨み、遂に晴らさる!」という活字見出しが脳裏に浮かんだ。もちろん現代に、そんな粋な見出しを書く媒体は存在しないのだが。『文藝春秋』が創刊された大正~昭和初期であったら、きっと文筆家たちが湧き立って書いていただろう。 ◆ 無類のギャンブル好き『文春』創業者・菊池寛『週刊文春』の親会社である文藝春秋を創業したのは、『真珠婦人』などで知られる 作家の菊池寛 。無類のギャンブル好きで、特

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          【006】マネージャーがタレントに言えない「売れる」とは何か?という話

          俳優やミュージシャン、タレントのマネージャーさんと話していると、しばしば、こんなボヤきが聞こえてきます。 「あいつ、口では売れたいって言ってんだけど、  全然売れる気がないんですよ・・・」 これってどういう意味か分かりますか? 今回は「売れる」って何だ?というお話。 あ、その前に。趣味や楽しみでやっている方は、この話は全く気にしないで下さい。これは、あくまで「売れたい」人が、超えなければいけないハードル についてのお話です。 ◆ スタートラインはコアファン100人

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          【005】「演技」と「脚本」に欠かせない3つの深層心理学とは?

          #すべクリ【002】で「自分の深層心理を探ってみましょう」と書きましたが 自分と物語、自分と役 の 深層心理を探究することは、演技や脚本が薄っぺらいものになるか、深みのあるものになるかを決定づける、非常に重要なプロセス ですよね。 キャラクターづくりの上で「表心理」と「裏心理」は必ず意識していると思います。例えば、戦地に赴く出征兵士だとすると。 【表心理】家族・恋人・友人の前で勇ましい姿で旅立ちたい。(世間体) →「お国のために立派に戦って参ります!」 【裏心理】恐

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          【004】「100日後に死ぬワニ」は「100時間待てなかった」ワニ?

          Twitter で賞賛を集めていた、連日投稿型・4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」が、100日目に一転して大炎上して話題になってますね。 せっかくなのでこの話題から、プロモーション と ストーリーテリング における「欲求」と「時間」について検証してみたいと思います。 ◆「100日後に死ぬワニ」おさらいご存知の方も多いと思いますが「100日後に死ぬワニ」は、タイトルの通り、100日後に死んでしまうという結末が分かった状態で、1日1投稿されていく、ワニの他愛のない日常を描いた

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          【003】監督にとっての「良い演技」「いい役者」って何なの?

          あっちの現場では褒められたのに、こっちの現場では怒られた (泣) レッスンで教わった通りにやったのに、ワークショップでは違うと言われた。 どいつもこいつも、イヴァナ・チャバック (= 世界的カリスマ演技コーチ) と言ってることが違う! 「もう、何がいい演技なのか、分からないっ!」 なんて声を、修行中の役者さんから、しばしば聞きます。でも、監督にとっての「良い演技」ってこれだけなんですよ。 自分のオーダーに応えて、予想を超えた演技 今日は、「だから・・それってどうすり

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