「なりたい自分」の必要十分条件

Twitterで連ツイで放流したののまとめです。

ふと思い出したこと。数ヶ月前に親の友人の集まりで、ある同年代の人と話す機会があった。親のように経営者になりたいという彼は、『車という高価なものを売れるだけの交渉術を学びたい』という理由でディーラーに就職するらしく、衝撃を受けた。自分とはアプローチが根本的に異なっていたから。

もちろん交渉術は経営者に必須のスキルなのかもしれないが、逆にそれだけあれば十分とは考えにくい。かといって「ではなにが必要か」と問われれば答えに窮する。経営者に求められる能力は一意的ではないからだ。加えて「何の経営者を目指すのか」があの時点で明確でないということもある。

少なくとも業界を絞れる程度にはやりたいことがあった自分とは違い、何がしたいかが明確でない人の存在を頭では分かっていた。しかし実際に会って話すのはそれが初めてだった。「確かに、そんな人もいるんだなあ」という衝撃がひとつ。

そして、「とりあえず必要になるであろうスキルや経験を積む」選択を彼は取るしかないのか、というのがもう一つ。目標が具体的でない場合、一見非効率な選択が最善手なのかもしれない。経営者という目標の時点で、効率的に到達できるものではないのかもしれないが。

自分が効率しか見えてなかったり、経営者を目指すなら実はこれが王道だったりするかもしれないし、彼が彼なりに色々考えた結果なのだけれど、自分が身を置くITの分野では、中々起こりにくい状況だと感じる。

ITはどう転んでも手段に過ぎないから、『ITを以ってしてそれは実現可能か』を考えることは大前提だ。そしてこれを行うには、対象もその課題も明確である必要がある。正体も分からないのにITが活用できるか判断しようがない。むしろこちらは目標の具体化からスタートするしかない。

ここまで書いて「『とりあえずSEになろう』などと考える就活生もいるのでは」と思ったがどうなのだろう。心に決めた目標がありつつも、それにSEの経験が必要になるかもしれないから、とりあえずなっておく。この場合当てはまる目標は何があるだろう。

話を戻して、ITは解決可能な問題が限られるから、目指す業界において必要不要の判断は事前にできるはずだ。つまりITに関わる進路を選ぶなら、目標は明確になっていることが必要条件なのではないか。

またまた戻して、自分の置かれた状況とは逆に、彼の状況では、十分条件から徐々に絞り込んでいく方針しかとれない、といえるのではないか。その分選択肢は多いのだろうが。それにIT業界も広く、その中でこれと同じ現象は起こるだろうが。

とどのつまり、自分の環境では当たり前のことが、違う環境では全然当たり前ではない(ように見える)ために驚きましたー、という話でした。

なんとなく、「職を決定づける能力や経験の包含関係」には再帰構造がありそうだなあと思うなどするが、これ以上掘り下げるとややこしいので放置。

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