風邪薬と蟲

妻は風邪をひいてしまいました。
今日で4日目です。
季節の変わり目に体調を崩すことは珍しくありませんが、今回の風邪はなかなかしぶとい。
僕は風邪をひき始めても悪化する事は少なく、大半は職場の人に気付かれないうちに完治します。

いや、させます。

安直な方法ではありますが独自の治療法で無理矢理治しているのです。
その方法は、
喰う、飲む、寝る、以上。
固有名詞を用いて具体的に書くと、

・やよい軒で好きな定食を頼み可能な限り白ご飯をおかわりし続ける。
・ポカリスエットを2ℓ飲み切る。
・葛根湯を飲む。
・厚着して寝る。

これで大体の風邪は治ります。
なので、妻にもいつもより多めも白ご飯とタンパク質多めの僕の手料理を振舞い、ポカリスエット2ℓをノルマとして飲むように伝えた。
それなのに、もう4日も経っている。
未だ完治はしていない。
どうやら誰にでも効く治療法ではないらしい。

今日、僕が仕事から帰ると妻が
「ゼナが飲みたい」
と言うので、
「ゼナは栄養ドリンクだから風邪を治すものではないよ」
と教えてあげましたが、
「ゼナが飲みたい、ゼナが飲みたい、ゼナが飲みたい」
と連呼するのです。

妻の風邪の症状は鼻づまりと微熱。
「栄養ドリンクよりも風邪薬を買う方が良いのでは?」と内心思いながらも、僕はドラッグストアに行くことにした。

到着してすぐに店員さん(40代男性 小太り 茶髪 セミロン毛 黒縁眼鏡)に妻の症状を伝えて「オススメの薬がどれなのか?」と尋ねた。

「ひき始めなら葛根湯がいいですが、長引いているのであれば症状に合わせた専用の風邪薬を服用するべきです。ゼナですか?あれは栄養ドリンクなので直接症状を抑えるものではありませんのでオススメしません。」

薬局向きでないのは容姿だけでアドバイスは的確。
僕が思っていた通りの返答でした、、が、

「ゼナですか?あれは〜〜〜」と言いだした時に、アマゾンにしか生息していなそうなサイズの蝿が彼の頭に止まっていたのです。
蝿は縦横無尽に彼の頭を歩き回り、飛び立とうなんて気がどこかに飛んで行ったかのような振る舞い。

彼の言うことを聞くことが果たして正しいのか?

この出来事をどう捉えるかは人それぞれでしょうが、僕はこれをただの不運としては受け入れられなかったのです。
これは神の啓示だ。
僕は店員にお礼を言い、すぐにゼナを買いました。

妻はそのゼナをお湯割りで飲み、今心地よさそうな顔で眠っている。
これが妻の独自の治療法らしい。

早く元気になってほしいな。
明日は何を食べさせてあげようか?

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