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1手詰から始めるフェアリー超入門 禁欲編1

今回扱うルールは 禁欲 です。過去の記事は下記の目次からご参照ください。

ルール

禁欲は、駒を取らない着手ができるときはそれを指さなければいけないというルールです。

【禁欲】
駒を取らない手を優先して着手を選ぶ。
[補足]
攻方の王手義務、受方の王手回避義務はこの条件に優先する。従って、攻方は合法的な王手の中から駒を取らない王手を優先して選び、受方は合法的な着手の中から駒を取らない着手を優先して選ぶ。

WFP作品展登場ルールのまとめ

禁欲と強欲は対になるフェアリールールです:
・強欲:駒を取る手を優先して着手を選ぶ。
・禁欲:駒を取らない手を優先して着手を選ぶ。

では具体例でルールを確認しましょう。下図は禁欲協力詰 3手です。

通常ルールの場合、初手に指せる王手をすべて書き出してみると下記の通りになります:
・12銀成(生)
・22銀成(生)
・23桂

禁欲ルールでは、攻方は駒を取らない王手ができるときはそれを指さなければいけません。「12銀成(生)」は駒を取る王手で、「22銀成(生)」と「23桂」は駒を取らない王手です。
・12銀成(生):駒を取る王手
・22銀成(生):駒を取らない王手
・23桂:駒を取らない王手

したがって、攻方は「22銀成(生)」と「23桂」のどちらかから選んで指すことができます。正解は23桂です(下図)。12銀成が指せれば1手詰でしたが、駒を取る王手なので指せませんでした。

23桂

23桂に対し、王手の外し方は同金しかありません。これは駒を取る着手ですが、駒を取らない着手ができないので指すことができます。

同金に12銀成で詰みとなります。初手12銀成は駒取りなので指せませんでしたが、12の金がいなくなったため12銀成が駒を取らない着手となり指せるようになりました。

23桂、同金、12銀成 迄3手

禁欲も強欲同様、着手に優先順位を付けるルールのひとつです。優先順位の付け方を図示すると下記の通りになります。①の着手が存在するときは①の中から手を選び、①の着手が存在しないときは②の中から手を選びます。

別の例を見てみましょう。下図は少し手数が長いですが、禁欲協力詰 7手です。

禁欲協力詰 7手

通常ルールであれば、14銀、12玉、13香の3手で詰ますことができます。では禁欲ルールの場合を考えてみましょう。14銀に対して王手を解除する手は12玉と24玉の2通りあります。12玉は駒取りで24玉は駒を取らない着手なので、受方は24玉と指さざるを得ません。

もし上図で14銀が成銀なら、可能な応手が12玉だけになるので12玉が指せるようになり、13香と打って詰みになります。これを実現させます。

初手は24銀と打ち、14玉、23銀生、13玉、14銀成(右下図)と進めます。そうすれば、12玉、13香で詰みとなります。

「24銀、14玉、23銀生、13玉、14銀成、12玉、13香」の7手詰でした。

いつもは1手詰の練習問題を出していますが、流石に1手詰では禁欲らしい手順を実現できません。そのため、今回の練習問題は3手詰とします。

例題

禁欲協力詰 3手

左上図は 23香生、同桂、32金 迄の3手詰です(右上図)。
初手に可能な王手は23香成と23香生しかありません。駒を取る王手しかないのでどちらも指すことができます。23香成とした場合、受方は21玉という駒を取らない着手が可能です。21玉の局面はあと1手で詰ますことはできません。

初手23香生とすれば、受方はこれを取るしかありません。同桂に32金と打って詰みとなります。

練習問題(3手)

以下は、禁欲協力詰 3手10題です。解答は次回の記事に記載します。

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