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居心地とはどの辺りからどんな風に世界を眺めるかしだいかな

vol.58【ワタシノ子育てノセカイ

成長は直線より螺旋。前後は見えにくいけど、下を覗くとこれまでの終わりが見えて、上を向くとこれからの始まりが見える。

径の長い螺旋上では、下は広い穴に恐れるし、上は霞んでなんか怖い。だけど諦めずに踏みしめて登れば、広い螺旋を安全な穴から見渡せるようになり、霞んでた螺旋を鮮明にできるみたい。

霞が鮮明になるほど、自分が統合して、確たる世界を、創造しちゃえるのかもしれないな。


ところで私には「実子誘拐」で5年以上離れて暮らす、10代のふたりの息子がいる。

芸術の秋。長男タロウの文化祭に続き、次男ジロウの音楽会が開催された。

小学校でも今年から、合唱が復活して合奏との二段構えに。一学年約15分の発表があり、学年ごとに入れ替わる優先席が一般席の前にあり、観覧者は好きな場所で音楽会を楽しめる。

結果から述べると、私は優先席の最前列にて、ジロウに見つけてもらえた。述べる結果が、合唱や合奏の感想じゃないのが、なんか私たち親子っぽいのかもしれない。

もちろん、子どもたちの歌声や楽器演奏は、天使からの贈り物レベル。体育館に鳴り響く音に、胎児だった子どもたちの成長を重ね、ひとりこっそりオオワラワする。

タロウの文化祭もしかりで↓↓表現って、すばらしい。

コロナ過で誕生した行事参観カードは、2023年度にはなくなる。なので音楽会の参観について、私が学校と交渉をもつ理由もなくなった。

一方で私は依然として、学校にて次男の養育への制限があるまま。だけどカードによる参観チェックがないのであれば、気にしなければよいだけ。

ストレストリガーがひとつなくなって、私はジロウの音楽会を純粋に楽しみにできた。7年ぶりの感覚に、ふつふつと感謝が満ちてくる。

だけど、なんしかストレスはやってきて、平穏な親子気分は去ってゆく。しかもやってきたのは善意という、社会を歪ませる最強の権化。

学校は善意でもって、優先席カードを用意してくれたんだ。優先席での観覧には、カードチェックがあるらしい。感謝すべき配慮だろうし、実際、感謝している。親子のあり方について交渉を続けた、3年間の結果ともいえそうだ。

なのに私にはほんのり絶望感。子どもの権利の実現が、やっぱり程遠いんだと、認識せざるをえなかったんだ。

あくまで私の解釈だけど、優先席カードは、ジロウのためではなく、大人の利害関係のためだった。

ジロウはここ3年間、参観カードを母用にもらうべく、学校に自ら交渉をしている。だけど今回の優先カードはスルーした。誰でも入場できる一般席があるから。

なによりもカード交渉をして、何が起こるのかを、私たちは知っている。意味のない痛みは、いらないんだ。

ジロウと私の感覚は、どれくらいの日本人と、共有できるんだろう。

私たち親子が主張している意見とは、声をあげている希望とは、人間としての尊厳を、踏みにじらないでということなんだ。尊重なんて贅沢なことは、もはや要求しないから。

ジロウも私も、確かにここに、存在するんだ。私たちが親子として、存在することを、ただ、ただ、社会に認めてもらいたいだけなんだ。

私たちは、腫物ではなく、ありふれた、ふつうの、親子やねん。

実子誘拐による分断親子において、周囲を気にして躊躇することはご法度である。おもしろいくらいに、親子断絶をほう助されるから。

そもそも実子誘拐も親子断絶も、社会のアンコンシャスバイアスによる結果。社会の歪みの肯定が、社会問題の創造でしかないので、私は迎合する気などないんだな。

誰になんといわれようと従う必要はなく、気力があるなら、ちゃんと自分の意見を主張すべし。

また、不合理な警告はだいたい口先の脅しなので、反することを実行しても、意外と多くのケースで、なかったことになるから心配もいらない。

日本社会では「あかんで!」には「はい」で従うのが、おおむねの一般論。「NO」をすれば「うそん!?」となるだけで、説得や代替を議論する傾向は少ない。これ、単独親権制度の特長です。

歪み切った世界は、いずれ朽ち果てる。その時までコツコツと、自分にできることを、積み上げてゆくんだ。そしたらその時がこなくても、積み上げた自分が確たる世界を、ちゃんと創造してくれるから。

大丈夫。

小5ジロウの音楽会。

配慮のおかげで、優先席にてジロウを待つ。舞台袖から登場した3歩目のジロウと目が合い、最前列かい!と無言のツッコミが聞こえてくる。

合唱が終わり、子どもたちは楽器の準備へ。ジロウはマリンバで、舞台の左で演奏するらしい。情報元は同級生の親御さん。学校の連絡をさりげなく教えてくれる、愛に溢れた友人だ。

ところがジロウは、打楽器が並ぶ舞台上に移動しない。あれ?と謎めいていたら、マリンバが平場の端から登場し、私の目の前にやってきた。ジロウは含み笑いして、シリアス顔を保とうとする。

バチで奏でるマリンバのベース音が、私に心の厚みを授けるように、ずしずしと響いてくる。

カードを受取るための学校との対話では、深い感謝を添えつつも、私の意見を曲げることなく伝え直した。学校は、理解しているけど、動けない、らしい。

そもそも世の中は矛盾だらけ。思い通りにならないのが常で、矛盾の世界をいかに漂うかが、生きる面白さなのかもしれない。

音楽会の代休日、の前日の夜。突然LINE通話が鳴る。タロウかと思ったら、ジロウだった。

「明日、ジロウ行くからな!朝ごはんも食べるで!あ、お母ちゃんおるやんな?」

興奮しているらしく、ジロウらしい物言いが炸裂。ジロウはとにかく、自分をストレートに伝えたがる。

当日、あらゆるゲーム類を抱えたジロウが朝の7時半にやってくる。人生ゲーム、ポケカ、switch、などなど。やりきらなくては。

だけど時間は、足りなかった。

ジロウは終始「お母ちゃん、はよ!お母ちゃん、はよ!」と連呼。食事休憩があったにせよ、次々と異なるゲームを9時間も、ぶっ通しでしたことなんてない私は、最後のほうは頭がもう回らない。

いやいやそれよりも。9時間も親子でいられるなんて。ずっと感動しっ放しで、心が忙しすぎるねん。

一分一秒を掴もうとするジロウの姿が、ありがたいのに、切ない。

まぁとにかく、9時間もの親子時間は、小学校の代休日があってこそ。学校行事も先生も、ありがとう。

あと、ジロウに母子の時間を与えてくれたっぽい、不器用なお父ちゃんにも感謝だな。



ねずみを調整中のジロウさま
実子誘拐直後に買った思い出のボードゲーム
追いかけてくるねこに毎回大騒ぎ

成長して実子誘拐当事者だと理解した青年が、自分の人生について語っています。

・単独親権者による親権乱用
・日本の歪んだ家族観
・日本の子どもの権利のあり方
 などなど

子どもの連れ去りが社会にどう影響するのかについて、わかりやすく学べるかもしれません。子育てや教育のアップデートにも。

視聴時間:約13分

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