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国広兄弟と古河・足利旅

平日に休みをもらったし、藤の花が見頃のようだし、そうだ古河に行こう。その勢いで足利も。と思い立ち、国広兄弟を連れて朝七時半の電車で北へ。
最初の目的地である古河までは一時間半で到着。

雪の殿さまが治めていたエピソードから、古河の街のあちこちに雪華モチーフがちりばめられていた。ロマンチック。
古河歴史博物館までは歩いて15分ほど。
城下町って独特の雰囲気があってわたしは好き。
古河の街も、大事に残された歴史的建築物の遺構や蔵、この地に根ざし連綿と続いてきた店、今を生きる人の営み、それらが合わさって格式高さと親しみやすい街の雰囲気を醸しているのだろうな。

古河歴史博物館は郭跡に建っており、随所にかつての名残が見られる。
朝の爽やかな空気の中、ひょっこり顔を出したタケノコや燃えるようなツツジ、ひらりたおやかなシャガの花など、あたりは夏の気配を感じる、清明の名のとおりの景色。

堀川君のパネルに出迎えられ、順路に沿って鑑賞する。
平日の朝一番ということで人も少なかったため、ゆったりと鑑賞することができた。
鷹見泉石の展示から始まり(この展示で鷹見泉石に興味を抱くこと間違いなし)、古河の歴史をたどった先に、お目当ての國廣の刀がずらりと25振そろいぶみ。
彫り物が精緻で、時代とともに変化する作風のいずれも見応えがあってついじっくりと眺めてしまった。
ちなみにこの中からお気に入りを選ぶとしたら、薙刀(かっこいい)と太刀(強そう)。
展示室を抜けた先のショップでお土産を購入。素敵な展示をありがとうの意を込めて、コラボグッズを中心に購入させてもらった。

博物館の向かいには鷹見泉石記念館があり、自由に見学できるため立ち寄った。
泉石が晩年過ごした武家屋敷は、隅々まで掃き清められており、大切にされていることがうかがえる。
茅葺き屋根の軒端に鯉のぼりが揺れる横で、ドウダンツツジが鈴なりに花を付けていた。

母屋の写真を撮っていたところ、カメラ好きの管理人さん(?)に捕まり、10分ほどカメラレクチャーを受けることに。興味深い話をありがとうございました。

昼食をとるにはまだ早かったため、街を少し散策。
事前に街中おもちマップを確認していたので、おもちを置いてくれている店に伺うことにした。
最初に武井とうふ屋さんへ。ハワイのビーチサイドかと見まごう店内には粟田口のおもちがずらり。
商品購入でイートインでお豆腐をいただけるとのことで、お土産に大きながんもどきを買い、できたての温かいおぼろ豆腐をごちそうになった。

足利からおうえんにきたしらたまんばちゃんを一目見ようと、少し歩いて和菓子屋のはつせさんへ。
おもちの写真を撮らせてほしいというお願いに快く応じてくださったうえに「撮りづらかったら動かしますよ」と気遣ってくださった。優しい。
ショーケースが反射して撮れなかったのでお言葉に甘えて取り出してもらい、うちのしらたまと一緒に撮らせてもらった。
常連さんが話しに来たり、大口の贈答品をお求めになっているのを見るに、地元で愛されているお店なのだろう。

続いて、明石屋本店さんへ。和菓子屋さんをはしご。
入店するなり、ちゃきちゃきとした女将さんに「そことそこ、あとあそこにいるから撮っていいわよ」と先手を打たれてしまった。
写真を撮ったり品物を見ている間、女将さんはいろんなお話をしてくださり、とうらぶのことはよく知らないけれど全国いろんなところからこの街に来ていてすごいわね、と嬉しそうにしていた。

お昼はSUN ROSEさんでカットステーキのランチセットをいただいた。
あきんどクーポンでミニスイーツもいただけてちょっと嬉しい。

古民家を改装した店内はモダンでしっとりと趣があり、ちょっとリッチな気持ちで食事ができる。
あつきとけんけんのおもちと小豆長光の模造刀が、このお店を守るかのように店番をしていた。

古河の人たちは総じてフレンドリーで親切。
気さくに声をかけてくださり、気遣っていただいた。
國廣の展示に合わせて、街を挙げて審神者を歓迎してくださっていることが本当にありがたい。
小さくまとまったエリアにたくさんの見所が集まっているので、いつかまた時間をたっぷりとって散策できるといいな。

古河からあしかがフラワーパークまでは1時間と少し。
最後のスタンプを押して缶バッジをいただき、急いで電車に乗る。
この電車を逃すと1時間電車を待つ羽目になる。
この日の予報は午後から小雨、車窓にぽつぽつと水滴がちらつく。

平日の、降ったり止んだりの天気にもかかわらず、園内は人でいっぱい。
この中の半数近くはおそらくインバウンドの観光客だろう。
園内あちこちに植わった藤が紫色の霞を作り、ツツジや八重桜、オオデマリなどの季節の花が咲き競っていた。

主役である大藤は、まさしく見頃。太い幹や長く遠くに張り出した枝からは生命力を感じる。

長い花房が重たげに揺れるのを間近で見ることも、藤棚の下で甘い香りに包まれることも、ここまで足を運んだからこそ経験できたことで、はるばる来て本当によかったと思う。

夜のライトアップも見ていこうかと思ったが、日帰り旅行だとなかなか厳しい。
いつか一泊二日の旅程を組んで、ライトアップを見て、温泉旅館に一泊できればいいなと思った。誰か一緒に行こう。

最後に、園内で撮った写真を。
昔、出入りの撮影業者としたポートレイト撮影の話を思い出したのだけれど、晴れの日より小雨ぐらいが撮影には向いているのだとか。
濃い影が入らず、湿気で肌がしっとりするから柔らかい雰囲気に撮れるのだそう。
この日撮った季節の花たちも、しっとり艶やかに撮れたように思う。