ビワイチ2023!

毎年恒例のビワイチを今年も走りきったので、その記録を。
毎年恒例なもので、タイトルもやっつけ感満載なものとなってしまう。

1日目

米原駅内のサイクルステーションでクロスバイクを借り、10:30に出発。
天気にも恵まれ、絶好のサイクリング日和だ。

朝イチで都内の自宅を出てから何も食べていなかったため、すっかり腹ぺこだ。
道の駅に寄り米原駅で調達したお弁当をひろげ、ゲストハウスまでの80キロを走りきるためのエネルギーを補給。
この湖北のおはなしは、この地域ならではのおいしいものが丁寧に詰められていて、ほっこりと旅情を感じさせる。
今は包装紙のデザインのみとなってしまったが、かつては本物のヨシで作られた簀に包まれていたらしい。

変わり種のご当地パンを求め、途中で湖岸を離れ国道8号を進み、木之本へ向かう。旅は序盤、足もまだ軽い。
木之本は賤ヶ岳の麓にあり、宿場町として栄えた当時の面影が北国街道に並ぶ古い建物に残る。
つるやパンはその一角に店を構える昔ながらの街のパン屋で、ひっきりなしに客が出入りしている。
ご当地パンとして名高いサラダパンと、サンドイッチ(丸いパンに魚肉ソーセージが挟まれており、こちらもなかなか個性的)を買い、ついでに買ったジェラートを食べながら山登りに備えてひと息つく。

賤ヶ岳の坂をものともせず走り抜けていくサイクリストたちを横目に、自分のペースでゆっくり自転車を押しながら進む。
漂う甘い香りに顔を上げると、今年は藤の当たり年らしく、見事な紫の花房が山肌を彩っていた。
坂を上りきり、旧賤ヶ岳トンネルを抜けた先に広がる琵琶湖の景色は何度見ても新鮮な感動がある。
静かな湖の際まで山がせり出し、湖畔の茂みが風にそよぐ、この奥琵琶湖と呼ばれるあたりは、昔旅した北欧の景色に似ている気がした。


ルートは湖と山と、その合間に点在する集落を縫って進む。
香ばしい匂いに誘われ、毎年店先を通り過ぎるたびに気になっていた煎餅屋に寄ると、奥から赤ちゃんを抱いた店主がおいでました。
なるほど、店先の鯉のぼりはこの子の成長を願うものだったのか。
お土産に買ったピーナツ煎餅は、かつてこの地域の水運を担っていた丸子船のような形をしていた。

海津大崎を抜けたところにある古道具海津は、ビワイチのたびに訪れるお気に入りのカフェだ。古道具屋が営むだけあり、味のある器が使われている。
湖岸の石積みの上にあるこのカフェは、テラス席から眼下にきらめく湖や弧を描く岸辺を眺めることができる。
この地区の水辺景観は、国の文化財に選定されているのだとか。


流れる時間が緩やかでつい長居してしまい、すでに日が傾きはじめた旅路を急ぐが、ここまでの疲労のせいで足が思うように進まない。
一心不乱に走っていると、沿道の家々の軒先に提灯がぶら下がっていることにふと気づく。
どうやら祭礼をおこなうようで、集落全体がぼんやりとオレンジ色に照らされている光景はなかなかノスタルジックだ。
進むたびに人の姿が増え、人々の熱気の先にやがて大きな山車が見えてきた。

山車を引くかけ声を背にして集落を抜けると、ルートは再び湖岸に沿う。
眼前にはこの日最後の陽光に照らされた琵琶湖。
待宵月が浮かぶマジックアワーの湖は、夢の中の世界みたいに柔らかな色合いだった。
この感動を残したいと思って写真を撮ったが、あのとき胸を打った美しさはどこへやら。写真というのは本当に難しい。


日が完全に沈み、白鬚神社と湖に浮かぶ鳥居の横を通り過ぎ、
途中裏道を縫うように設定されたルートに迷いつつも、走ることしばらくしてようやく目的地に到着。
ここまでたどり着けたことに感謝しつつ、1日目を終えた。

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1日目ルートと立ち寄った場所
米原→長浜城→つるやパン(木之本)→賤ヶ岳→みつとし本舗(永原)→古道具海津(海津大崎)→白鬚神社→ゲストハウス(近江舞子)
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2日目


泊まっていたゲストハウスのスタッフに、すぐ隣のハワイアンカフェが早くから開いていて雰囲気もよいと聞き、出発前に朝食をいただくことにした。
ビーチを眺めながらパンケーキを食べていると、ハワイに来たような気分になる(行ったことはないけれど)。
湖西のあたりはオートキャンプ場やマリンアクティビティを楽しめるスポットが多く、オープンでキラキラした雰囲気が漂う。

休暇を陽気に楽しむ人たちを横目に、黙々と地道に足を運ぶ。
1日目より距離は短くアップダウンも少ないが、前日の疲労が残り右膝にほんのりと痛みを感じるため、様子を見つつ走行。
南へ進むにつれて街がにぎやかになり、レジャースポットに向かうであろう車も多くなる。
車道から飛んでくる子どもたちからの「がんばれー!」という声に会釈で応え、それを原動力に変え先へ進む。

琵琶湖大橋を超え、時間も体力も余裕があったため、ルートを外れシャーレ水ヶ浜へ。
テラス席から琵琶湖を一望できるこのカフェは、連休中盤の五月晴れともあり入店待ちの列がずらり。
予約番号をとり岸辺に出て、ぼんやりと湖を眺めながら席が空くのを待つ。
岸辺に集まるアヒルたちに餌やりができるが、この日は皆沖に泳ぎだしてしまっていた。

ようやく席に案内された頃にはいい時間になっていたが、テラスからの眺めがあまりにも気持ちよくて、時間を忘れて景色を楽しんだ。

近江八幡から彦根にかけては、蓄積した疲労に加え、湖岸から離れ単調な景色の中を走るため割としんどい区間でもある。
南中した太陽にじりじり焼かれながらも足を進め、彦根に入る。
しばらく行くとルートは湖岸に戻り、休み休み走っているうちに彦根城の姿が見えてきた。ここまで来ればゴールはすぐそこだ。

ちょうどおやつどき、冷たい飲み物と軽く食べられるものをと思い、シフォンケーキの専門店でひと息入れることに。
観光客の多いかわいらしい雰囲気のカフェに、汗で前髪を貼り付かせたサイクルウェア姿のわたしは空間の異物であったに違いない。
クリームたっぷりの甘いシフォンケーキは、疲れた体に沁みるおいしさだった。

彦根城下を離れ、自転車の返却リミットである17時に間に合わせるため気力を振り絞り、16:45にゴール。
2日間かけて走った総距離は約150キロ、ビワイチを無事走り切ることができた。

この後一週間は太ももから尻にかけての筋肉痛と、日焼けの痛みに苦しむことになるのでした。
めでたし、めでたし(?)

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2日目ルートと立ち寄った場所
ゲストハウス・Rcafe(近江舞子)→琵琶湖大橋→シャーレ水ヶ浜(近江八幡)→ichi(彦根)→米原
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