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カムカムエヴリバディ×NVC〜安子のニーズを推測する座談会 その2

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』を通してNVC(非暴力/共感的コミュニケーション)を布教する企み、もとい、#カムカムをNVCメガネで見る遊びの第4弾のその2です。(その1はこちら)

るいから離れてアメリカに行き、その後連絡をとっている様子のない安子。その行動の源となったニーズを推測します。

前の記事で【私たちが推測した安子の感情】

絶望、弱りきる、疲れ切る、傷つく、望みがない、ゆらぐ、満身創痍、プツリと切れる、罪悪感、自責、劣等感、憎む(自分を)、孤立した、打ちのめされる、深く悲しむ、胸がつぶれる思い、行き詰まり、心惹かれる、ホッとする、心が苦しい、心が休まらない、針のむしろ(緊張、落ち着かない)


安子の言動の源となったニーズを推測する

のぞみ:さて、いよいよニーズの推測をしていきたいんだけど、まず私に浮かぶのは、なにはともあれ【スペース】かな?

R美:そこまでの日々はすべてが戦いだったのでは? だから”I hate you” を聞いて、「行ってもいいんだ」と思った。絶望もあったけど、緊張もあったら、そこからの【解放/リリース】はどう?

T子:雉眞に同居していた安子は、勇ちゃんがガツガツくるので、そこから【身を守ること】が大事だったのでは? というのもたちばな再建計画が白紙になったら、あの当時は勇ちゃんの後添えになるしかない。安子は彼のことは男性として見られなかったし、あんなアプローチじゃだめだろとも思う(笑)。だから【身を守ること/身体的安全性】

のぞみ:精神的安全性もあるかな? ああ見えて安子はけっこう自立心が強そう。大阪で母子でがんばって自信も芽生えていたはず。雉眞家にいたら、精神的に隷属するしかない。感情としては緊張とか抑圧、針のむしろ、その根っこのニーズとしては【精神的安全性】【自律】【自由】が大切だったのでは。

H美:精神的、肉体的にも疲れ切っていて、自分だけを大切にしてもらえることに安心感を覚えた。【シェルター】【逃れる場所】が大切だっと思う。何もかも忘れて休める場所がほしかった。同時に、安子自身には自尊心、自立心もある。安子は渇望するものを知っていて、そこに邁進するタイプだと思うので、受け身で【大切される】だけではなくて【自分で自分を大切にする】というのもあったかな。
自責の感情からは、自分の力でるいに教育を与える、傷を治すことをしたかったのにできないと思いこんでしまった。ということは、【ニーズを満たす力】、【能力】も欲しかったかも。

R美:がんばってがんばっても報われなくて裏切られたという状況の中にいた。感情としては、深く悲しむ、絶望、弱りきった、そのニーズは【信頼】? 信頼がほしかった……とか。

H美:裏切られたことも、自分に力が足りなかったからだ、という自責だとすると、【力】ってニーズありましたっけ? 

T子:ネットで拾った考察の中に、勇ちゃんはいい人だけど、安子がほんとうは何を大切にしているのかについては見ていない、というのがあった。だから、安子があんこのおまじないをしている大切なときに声をかけてくる(一同笑)。自分が大切に思っているものを、一緒に大切にしてくれれば信頼できるのに。そういう意味で勇ちゃんは、安子を認めるというか、”見て(心に)留める”ができてない。

のぞみ:感情としては、R子さんが挙げてくれた「孤立した」とか?

T子:そうかな。で、そこから安子のニーズとしては【価値観の共有】もあるのでは? ロバートは自分が大切にしているものをわかってくれる。
これも、ネット考察なんだけど、あんこで家族を支えるの(【支える/貢献】)のは、安子がやりたかったことで、それをるいが叶えている。るいの夢はひなたが何かの形で満たすのではないか。世代を越えていくニーズがあるんじゃないかな。だから家族をリユニオンさせる存在としてひなたがいるのかなー。

のぞみ:この場面に限ったことだけでなくて、安子のコアニーズ(その人が生涯に渡って持つ根源的なニーズ)としては、【自主自立】とか【力/ニーズを満たす力】がありそう。

T子:安子のコアニーズはもうひとつあると思っていて。安子が知っていた情報では、るいを雉眞の家に置いておくことがるいのためになるし、雉眞の人たちがるいを大切にしてくれるのもわかっていた。【愛】のニーズを満たすために離れている、連絡をとらないというのもあるかな? 自分が雉眞に戻ると娘の周りに緊張を生みそうだし。

R美:時代の混乱の中では、そう考えるのも自然では。安子はるいに固執したことで無理をしてるいに傷を負わせたのだし。固執から離れるという意味の【愛】かな?

H美:自分を納得させる理由としてはあるだろうけど、「固執から離れる」のがニーズを満たすことになるかな?【愛】は、純粋にただ愛することがニーズなら、二度と会わないとしても遠くからは愛することはできる。ニーズが満たされていれば幸せであるんだろうな、寂しさはあっても……。

のぞみ:幸せになることが目的ではないけれども、少なくとも、ニーズがあること、自分の内側でそれがうごめいていることを自覚できれば、まずニーズを愛でることができるし、そこに1mmずつでも向かっていける。だから精神的にも統合し、安定していられる。グラウンディングってやつかな。

T子:【希望】もあるかな。子どもの将来が開けるだろうという希望。

安子は決して、無力な存在のままではいないはず

のぞみ:こうして安子のニーズまで、もちろん推測だけど見てみると、あの時点では絶望していたり、疲れ切っていたりはしただろうけれども、決してそこに留まり続けてはいない、安子本来の強さが見えてくるような気がするけど、どう?

R美:アメリカに安子が行くと聞いたときは、彼女は向こうで和菓子屋さんとかやるのかなと思った。

のぞみ:うん、和菓子屋さんじゃないかもしれないけど、日系人社会の中で何か事業やってるとか、あるいは◯◯協会で奉仕に情熱を傾けているとか、通訳になっているとか。

H美:安子のるいに対する絶望と、彼女の生きる力は別のような気がする。安子は帰ってくるような気がする。るいを守れなかったという絶望はずっと持っているけれども、ロバートに頼り切りではなく、アメリカで生きていけるようなにか自己実現しているのではと思う。そう思うと、やっぱり【愛】のニーズをぞんぶんに味わっているからこそ、離れていたのかな?

のぞみ:マーシャル(マーシャル・B・ローゼンバーグ博士)の言葉に「人は決して失敗はしない。どんなときでも、その時に選べる最善を選んでいる」というものがある。失敗や成功というのは、単なるジャッジメント。ニーズを自覚するしないにかかわらず、ニーズに基づいて行動するのが人だから、ニーズに動かされて、私たちは自ずとその時点でのベスト選ぶのだ、という意味なんだけど。

こう考えると、安子は絶望しながらも、ほんとうにベストの選択をしたと言えるね。【自分の心身を守る】【大切にする/される】【ニーズを満たす力】【信頼】【自主自立】【愛】【希望】等のニーズに動かされて、雉眞から、日本から離れることで自分の人生を守ったし、るいには希望のある将来を与えたんだから。ああ、なんだか安子はぜったいに元気だし、幸せな人生を送っていると思えてきた……。

文ちゃんとひなたが別れたのもその時点でのベスト。みんなのニーズを推測したくなる#カムカム。人物造形がリアルだからこそ、だねえ。

T子:勇ちゃんとか、まったく人のニーズがわかってない様子があって「あぁ〜、ダメだなぁ」と思いながらも勇ちゃんというキャラクターを愛でるという、私のニーズも満たしてくれています!

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