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ホラーが大好き。

私はホラーが大好きだ。
ホラー映画はもちろん、小説、マンガ、アニメ、絵画(怖い絵、という本なんてページを開くだけで最高にたぎっちゃう)、イラスト、キャラクター、音楽、インテリア、アクセサリー…エトセトラ、エトセトラ。

中でも大好物なのがホラー映画。
ホラー映画を鑑賞することは、私の中の数少ない趣味の1つでもある。Amazonプライムで新しく追加されたホラー映画は絶対に見る。ホラーであれば、洋画も邦画もまんべんなく見るけれど、私はやっぱり邦画派ですなぁ。

私が邦画ホラー派である理由は、日本の幽霊が持つ特有の湿度にある。日本の幽霊って、湿度が高いんだよね。洋画ホラーだと、ゴーストっていうのは悪魔の手下みたいなもんで、一番「やっべぇ」のはあくまでディーモンってパターンが多い。(ダジャレじゃないよ)


そしてこのディーモン(悪魔)とやら、ほんっとに湿度がない。
人を消し飛ばしてしまうようなパワーがあるのは分かる。分かるんだけど‥‥


家の中の家具を宙に浮かせ派手にシャッフルしてみたり、人間の体をこれまた派手に引きずり回し、断末魔を上げさせてみたり。

ディーモンが登場する洋画ホラーを見ている間、下手したら映画のラストで「もう家ごとふっ飛ばしちゃうぜ?」的なことを言いだすんじゃないかと毎度私は思う。これってもはやジャイアンだよねぇ?

圧倒的な力で、人間をねじふせ、余韻を残さない、アメリカのハリケーン、からっと熱いテキサスの風、ホラー的リーサルウェポン。(アメリカ行ったことないけど)


何が言いたいかって、じとっとした感じが足りない!お肌もホラーも潤い大事よ!加湿器炊いてやりたくなる!

(洋画ホラー好きな方ごめんなさい。あくまで好みです。)


あと、スプラッタ的な要素が強いのも特徴かな。

体に与えられる痛みって単純明快に怖いもの。生きている人間にとって体に与えられる痛みは、直接的な死に繋がるから。

でも私、スプラッタ見ても怖いとは思いませんの。どっちかっていうと、ぞわぞわする。足の裏をずっとくすぐられているような感じ。私、自分のリアルな生にあんまし興味がないのかも。

一方、邦画ホラーときたら。
日本の幽霊は、そもそも見た目があまり「強そう」ではない。出てくる幽霊はたいがい女。大体の幽霊の髪は黒く、長い。皮膚は真っ白で血の気がないこともあるが、腐ってじゅくじゅく、人間だった頃の名残が強く残っているケースもある。(死んで幽霊になっているのに、生活反応残したままなのがとってもおしゃれ。)

自分が生きていたからこそ分かる、人が生きていることの美しさ、素晴らしさ。そして死んでしまったからこそ沸き起こる生への渇望、嫉妬。生きているものから、美しい生を、最も残酷な形で奪ってやりたい、という願望。ああ、もうこの時点で湿度90パーセント。日本の梅雨を想起させる、ほんのりカビの匂いまで感じられそうでドッキドキよ。


そしてそれに至るまでに実践される数々の工夫。日本幽霊特有の芸術的なセンスが爆発する。井戸に引きずり込むもアリ、お布団の中から幽霊が登場し、そのままどこかに連れ去ってしまうもアリ、水攻めアリ、首吊りアリ。幽霊は目的を成し遂げた後も、どこか物悲しそうだ。

地上波でたまに放送されている「世界の怖い映像」みたいなものを見ていると、白いワンピース、黒くて長い髪をだらんと下げた幽霊の出現率がものすごく高いと思う。

本来、アメリカのホラー文化は悪魔やモンスター、ゾンビが主流であるはず。そこに、黒髪ロングヘアの幽霊が増えたのは、いわずと知れたジャパニーズホラーの金字塔「リング」の影響であるに違いない、と私は思っている。いやはや、「リング」と「呪怨」は日本映画史の宝といえるよ。


でも、意外に「は?ジャパニーズホラーって何が怖いの?」という人もいるようで。私の友人K子ちゃんは「ホラー映画が大嫌い!(自称)」というか弱き乙女だが、呪怨は普通に見る。というか、「何が怖いのか良く分からない」そうなのだ。

呪怨の冒頭に出てくる、ちょろっとした暴力シーンには目を覆っていたが、その後のホラー描写はまるで平気そうだった。呪怨のクライマックス、彼女はぼんち揚げ(関東なら歌舞伎揚げ)をバリバリ食しながら、階段から体を引きずって下りてくる加耶子を退屈そうに眺めていた。

呪怨を見終わった後、「ホラー全然平気やんか」と私が言うと「ソウ(大ヒット洋画スプラッタ)が怖かったから無理だと思っていた」らしい。彼女はどうやら、幽霊の存在うんぬんよりも体に対する直接的な痛みに恐怖を感じるツボがあるらしい。(動物としては、そっちの方が自然かもな)

体(自分が持つ生身の生への執着心)が強いと、スプラッタがその人のホラーなツボになるのかなぁ、とか思った。(知らんけど)

また、フランス人のお友達とお話した時には「アメリカ、日本のホラー映画は全然怖くない」と言われた。アメリカ映画で怖く演出されがちな「ピエロ」だが、フランスでのピエロはあくまで面白く、明るい存在らしい。(ピエロはピエールがなまったものだと教えてくれた)。だから共感できないんだって。

日本の「幽霊(ゴースト)が怖い」という考えも、フランスでは一般的でないらしい。ゴーストは白いモヤ(もしくは布っぽいもの)がふわふわと浮いているイメージで、悪さはしないのだとか。だから共感できないんだって。(じゃあ一体何が怖いんだい?)


人のホラーのツボは、文化と体に対する執着度合によって変わる。蓼食う虫も好き好き、ならぬ、ホラー食う人、ツボも好き好きってか。

ツナ缶に愛の手を🤚❤️