見出し画像

行間を訓む vol.39 ~ イトイ 「日々是流星 feat.AZKi」~

プロローグ


 皆様こんばんは、つななでございます。早いものでもう年が明けて数ヶ月経過し新年度がはじまってしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は「あのライブ」の余韻が醒めず未だに夢見心地です。また、3月に行われたholo5thfes.もまた良き良きの良きでした。推し事って…イイですよね。
 プライベートでは最近2月に宮城県・仙台市へ訪れる機会を作り、仙台うみの杜水族館とホロライブEN(Myth)の「がうるぐら」ちゃんとのコラボイベント「Gurariumぐらりうむin Sendai Umino-Mori Aquarium」に某友人と行って参りました。コラボイベントでのショーやコラボフード・各種展示等を現地で心ゆくまで楽しんだ旅行となりました。そしてその人気たるや。グッズがほぼ完売しているという。でも、アクキーが買えたし楽しかったので、OKです!(?)
 また、宮城を訪れるのは恐らく私が学生の時に震災ボランティアとして3.11の発生から間もない頃に瓦礫や土砂の撤去でお伺いして以来でした。あれからもう約13年経過しようとしていることに驚きを感じると共に、各地に残された津波の爪痕も目にし、震災と復興の両方の側面から被災地を見つめる機会となりました。


 ――― さて前置きはここぐらいにしまして。早速ではありますが、今宵は音楽とメタバースを融合させて活動をされておりますバーチャルピアニスト・コンポーザー、エンジニアであられます「イトイ」さん作詞・作曲の「日々是流星ひびこれりゅうせい」という曲をご紹介させて頂きましょう。こちらの楽曲はホロライブ0期生のあずきちことAZKiさんがボーカルで歌唱されております。
 イトイさんは普段楽曲制作・カラオケ音源製作・MIXなどを手がける技術色濃いめのVtuberさんでもあります。メタバース関係では3DモデリングやUnityギミックなどのVRシーンでの開発にも携わる方です。あずきちとはこれまでも何度かコラボで配信をされており、イトイさんの演奏するピアノに合わせて歌う歌枠を行ったりと交流があります。

 そしてお話が若干逸れますがあずきちと言えば、先日2024.04.27.に行われた生配信 100万人&100曲耐久歌枠にてチャンネル登録者100万人を達成されました!!おめでとうございます!!🎊🎂🎉

達成の瞬間

 当日12:00の歌枠開始から約50分弱、45曲目の「猫ならばいける」を歌唱中に達成でした。そうか、猫なら、ね…(?)――― 様々紆余曲折を経て今がある彼女にとってはやはりこれだけの偉業達成は大変に感慨深いものがあったのではないでしょうか。達成した後も宣言通り100曲までしっかり歌いきったあずきち。今後の活躍に期待が集まりますね。


 では話を本題に戻させて頂きまして。曲のタイトルを見て思い浮かべるのはやはり禅語で有名な「日々是好日ひびこれこうじつでしょうか。平たく意味を説いてみますと若干諸説あるものの、『命あるもの、明日という日が来るとは限らないのだから、この一瞬一瞬を大切にせよ』ということを教え諭した中国の唐代末期の名僧・雲門禅師の言葉です。


未だ聴いたことの無い方は下記からご視聴ください!▼


 キャッチーなメロディーがあずきちの声と合わさり、儚げな歌詞と見事に調和しております。流れ星と聞いて個人的に思い浮かべるのは「紺碧」の夜空ですが、動画本編でのテーマカラーと歌詞にちりばめられた「翠玉」といった「緑」が連想されるような作りであることにも注目しつつ、次の章から中身の部分に迫っていきたいと思います。


 注)セクション分けや歌詞の内容の考察ついてはあくまで筆者の個人的主観です。私自身は専門家でも何でもありません。もしかすると表現や言葉使い等に間違いもあるかもしれませんし、解釈違いが起こることは否めませんので万一の場合はご容赦ください。


歌詞訓み(§1)



幾星のサイン
照らす僕らの旅路 冴ゆる星
月明かりを探して
夢うつつ溺れてた 雲はらって

 心にかかった雲を払いながら、弱い月明かりを頼りに夢うつつで力尽き溺れかけていた私自身を、数多の星々が創る標識が僕らの旅路を照らし、自分が目指すべき道が冴え渡ってきた。



足跡

「もー、待って!」指をさす
行き先はまだ見えない
どこか先を見ている
今宵僕らは進んでった

 仲間と目指すべき場所を見失わないように指をさしつつ、声を掛け合って。でも、目的地の姿まではハッキリしない。でも進まない訳にはいかないから、自分の思いに応える道を見据えつつ、足を前へ運ぶ。



青い光 一縷いちるの願い
そっと手を差し出して
握りしめた手と手 水が溢れのみ込む
透明世界 水彩のかけら
記憶描いて

 胸元に仕舞っておいた微かで今にも消えてしまいそうな自分の願いを月明かりの青白い光に手を差し出してその在処を確かめる。また胸に抱き握りしめた手と手の隙間に水が入り込み、一気に透明な世界に飲み込まれる。水彩のかけらを取り出し記憶を頼りに自分の理想を描いてみる。



鏡写しの線と光
気づいた頃にはもう無いって分かってる
群青の静寂を 切り裂く天ノ翠玉流星

 描いた線が光となって鏡映しの向こう側に描かれるけど、気がつくと後から消えて行ってしまうということも解っている。まるで息を呑む程の群青と静寂を遮り天を切り裂くように降り注ぐエメラルドの流れ星のように。



傍にいたって届かない ゆらめく像迷わないで
目を閉じてほら 胸が刻んだ 情景に走って
夜風のワルツ 目が覚めた藍
バイバイまたね

 もしその時傍にいて手を伸ばしたとしてもすぐには届かない。たとえ目指すべき自分の姿が揺らいでしまっても迷わないように、落ち着いて目を閉じてあの時に胸に刻んだ景色を思い出して駆け出そう。
 夜風が奏でるワルツと共に藍色に変わり目覚める空を見上げたら、また今晩この想いに会おうと別れを告げる。



歌詞訓み(§2)


今日は勝ち星
埋めた点と隙間 雨がやんだ
月明かりに届いた
君に見つけてほしい 夢が覚めて

 心の隙間と天のように空いた穴を埋めるように雨が止んで、どうやら今日は勝ち星なのかもしれない。ふんわり照らす月明かりに届いた声。君に見つけて欲しいという夢を見つつ、まどろみから覚めた。


不器用に嘘ついて 本当はわからない?
あの日の約束を
今夜叶えて振り向いて
相対してわかって想い 笑うフリごまかして

 本当の自分心持ちは分かりきってないのに、柄でも無い嘘までついて。あの時に交わした約束を今夜ここで叶えるべく、振り向いて君に手を差し伸べる。改めて相対してみると、君の想いが伝わるようだったけど、笑うフリをして自分にも誤魔化しをかけてしまった。



「ねぇ、今夜星を見に行こう!
何年かに一度のたっくさんの星が見える日なんだって!」
そう言いながら、僕らはこっそりと近くの丘までかけだした。
澄んだ青と白の吐息。
あの日は街灯も月明かりも、何もかも僕らは透明だった。
満天の星と数えきれない程の流星群。
今夜は一人で丘を見上げている。

 「沢山の星が見える」と息を弾ませて丘まで駆け出した。空には僕らの吐息と見渡す限りの群青。街を照らす街灯や怪しく光る月明かりですら霞むくらい、僕らを含めて皆澄んで透明に見えるくらいに息を呑む光景。
 夜空を埋め尽くす数え切れない程の星々が流星となり、まとまって降り注ぐ光景に息を呑んだあの日の景色。でも、今夜は僕一人でその丘を見上げるだけ ―――


一欠片たぐりよせて
気づいた時は遅いって繰り返してる
寂しくて 迷って どこか大人みたいな君に
鐘の音が淡く広がる
「君が君でいられる様に」
輝き続ける それが私が望む願い事

  心に刺さった棘のようなものの一欠片をやっとの思いで手繰り寄せて自分の前に持ってきた時には既に「遅い」となってしまうことを繰り返してしまっている。自分がそんな些細かも知れないことで迷ってしまい、心細くて寂しくなっている、そんな間にも君は大人みたいに成長していって、遠くに行ってしまうような気がしていた。
 そんな私ができること。それは夜空に淡く広がる鐘の音のように、流れ星に「君があの時の君自身を見失わないように」と願い、望みを託すことだった。


煌めく星にそっと触れて
見上げた宙に思いを願うんだ
群青の静寂に 切り裂く天ノ翠玉流星

 此処からは遙か遠くから光を放ち、美しく光り輝く星々に手をかざし想いを馳せ、「どうかこの想いが君に届きますように」と宙に向かって手を組み願い続ける。その刹那、静寂を切り裂くように降り注いだ翠玉の如く輝きを放つ流れ星。



傍にいたいって躍らせて
ゆらめく像迷わないで 目を開けてほら
胸に刻んだ 情景を走って
魔法が溶ける 零時のお告げ
今日で 「バイバイ」

 もっと君のそばにいたいと心を躍らせたり、胸に刻んだあの時の情景を追って走ったり。しっかり目を開けて、たとえ目指すべき自分の姿が揺らいでしまっても迷わないようしていたけれど。
 非情にも鐘の音が零時を告げるように、自分を覆っていた魔法が溶けてなくなってしまい、残ったのは心許ない私の芯だけ。いよいよ今日でこの想いとはお別れしないとだから…。



エピローグ


黄昏時の丘

 かの時の透明な気持ちと流れ落ちる瞬間に輝く流星に想いを馳せて。透明で透き通った思い出が流れゆくものとなってしまうことへのもどかしさ、在りし日の陰を思い出して再認識し、それでも過去に決別をして前に進まなければという切ない気持ちのようなものが込められたナンバーだったように感じました。

 私がこの曲に対して抱いたファーストインプレッションは「Vtuber=流星≒儚い存在」・「観測者=リスナー」というものでした。しかし歌詞に注目してみるとこれがなかなかに深みのある内容なので、苦戦しました。訓んで行くうちに見えてきた私なりの解釈としては「私(僕)」と「君」の関係値から生み出されるやりとりの一人称視点なのではないか、という仮説です。

 「私」は「君」にとある想いを抱いている。けれどもそれを阻む何かが存在していて、実現が難しいことも解ってはいる。だからといって交わした言葉や思い出を捨てきることができないのは、それらが実は今までの自分の原動力になって自分の心と体を突き動かしていることも事実だから。蓋をしてしまうのも惜しいくらいに後ろ髪を引かれるけれど最後の「バイバイ」でついに事切れるような形でノイズがかかってブツッと切断されてしまう。
 概要欄に「 ---- 私は貴方の願い星 ---- 」と言う形で元々ある言葉に線を引いてあたかも無かったことのように見せている演出も相まって、この曲のミステリアスさに磨きをかけております。私が受け取った「流星(解釈)の観測」はこのような具合でした。

――― 皆さんはこの曲からどんな視点や物語が見えて来ましたか?
想像を膨らませるともっと沢山の星々が見えてくるかもしれませんね。


イトイさんのチャンネル・HP・Xは下記になります!▼

イトイ X(旧Twitter): https://twitter.com/ItoiPiano

ホームページ:https://itoi-create.studio.site/


ボーカルを担当されたあずきちのチャンネルとXはこちらです!▼

AZKi X(旧Twitter):https://twitter.com/AZKi_VDiVA




それではまた次回の「行間をむ」でお会い致しましょう!
一縷の願いを星に託して 🌠

2024.04.30. つなな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?