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「人事の実名顔出しTwitter」へのご意見にじっくり回答してみた。

人事が実名顔出しでTwitterをすることのメリットと注意点 についてnoteを書いたところ、賛否両論の反響をいただきました。そんな中、ワンキャリQ&Aに、興味深いご意見が届いていました。

今回のnoteでは、こちらのご意見に回答していきます。ちょっと長くなるんですが、できるだけわかりやすく書きましたのでご安心を。

一つひとつご覧になりたいアナタはこのままどうぞ。綱嶋がいま思う本心だけとりあえず知りたい方は、一番下の【まとめ】だけお読みいただいても構いません。それでは、れっつごー。

はじめに ―質問者さんへの感謝―

まず、率直なご意見をくださった質問者さんに感謝します。情報発信をすることで、自分の狭い視野にテコ入れしてもらえる機会はたいへん貴重です。今後も発信を続けていくモチベーションをもらえました。ありがとうございます。


いただいたご意見とそれらに対する回答

さて、ここからは、いただいたご意見の紹介とその回答を記していきます。

● 実名人事は匿名人事よりも発信力があるとは思えない

受けている質問の数やフォロワーの数、いいねなどのエンゲージメントの数などから、匿名人事さんや匿名内定者のアカウントと比べた所、実名顔出しにも関わらず正直発信力が高いとは思えません。これは何故だとお考えでしょうか。

私がフォローしている範囲内でも、人事のお姉さん(@shukatsu_nesan)、わるるさん(@saiyojinji)など、匿名人事アカウントの発信力は目を見張るものが多く、その内容にはたいへん勉強させてもらっています。

ここでポイントとなるのは、発信力の大きさは、実名/匿名を問わずその個人が発信した事実による ということ。フォロワーが望む情報を適切に届けられていることが重要です。

「ある発言をしたという事実」に関して、実名/匿名の差はありません。匿名人事のアカウントであっても、ツイートから想いが垣間見える発信には心を動かされることが多いし、経験から生み出される情報はとても有益です。一方、実名人事アカウントの中にもそうした方はいらっしゃいます。

質問者さんのフォローされている観測範囲内では、発信力において「実名人事<匿名人事」に見えたのかもしれません。しかしながら、発信力は「実名か匿名か」ではなく、発信する内容によって測るのがシンプルかと。


● 人事が実名顔出ししている企業が「伸びる」ことの理由が判然としない

何をもって「伸びる」とおっしゃられたのかについて疑問を感じたり、

下記のツイートに対する疑問と解釈しました。

「実名顔出しTwitterで人事が情報発信してる企業はこれから伸びる」というのは個人的な推察であり、明確な因果関係はわからない(というか誰も証明したことがない?)のが正直なところです。表現に関しては、140字の制限上、言い切りの形にしたまでです。

ではどのようにして、この推察に至ったのか。ここでは「公明正大」という言葉をもとに、
① 成長機会を得られるから
② 候補者との関係性構築につながるから

の2点からご説明します。


① 成長機会を得られるから
昨今の日本企業の不祥事は「不正を隠す」という行為から生じています。これは「公に明るみに出ても正しいと大きな声で言える」すなわち「公明正大さ」の欠如に起因していると考えます。社会的な信頼の回復には時間がかかり、企業の成長をストップさせる要因にもなりかねません。

社内で公明正大な態度を取るべきなのはもちろんですが、逆に社外の場で公明正大な態度を取れることにはメリットがあります。情報を公開し透明性があることを、対外的に明示することができる からです。

透明性のあるコミュニケーションを取っているうちに、企業(もしくは発信をする個人)に対する称賛や批判など各種のフィードバックをいただけます。企業は、それらの指摘を受け止め、課題を設定し、現状を改善していくことができます。

自社の顔でもある人事が、立場を明らかにした状態で対外的に情報を発信できる企業のほうが、多角的な成長機会を得られると考えています。

② 候補者との関係性構築につながるから
また、人口減で採用難のこの時代では、リアルだけでなくソーシャルネットワークでの関係性の構築が大きな差を生みます。候補者は、企業で働く人の発信に敏感です。事業の成長性や待遇、その他もろもろ考慮すべき点がありますが、会社を形成しているのは最後は「人」だからです。

就職先を決める際に、一緒に働くかもしれない人がどんなパーソナリティを持つのか、気になるものですよね。

人事の対外的な発信を禁止する企業よりも、立場を明かした発信が候補者とのコミュニケーションにつながることを理解している企業は、中長期的な採用市場において有利になるだろう と考えています。
(実名顔出し人事のTwitterがすこしだけおトクなのは、会社に興味を抱いてくれた候補者が、すぐに行動に移しやすいという点もあります)


● 真に迫らない回答、嫌われないための回答をしている印象を受ける

信用性についても実名顔出しだからこそ高まるようにも思えますが、オフラインでの皆様とのコミュニケーションと同じく、どこまで本音であるかについては定かではありません。むしろ実名顔出しだからこそ、表面をなぞったような真に迫らない回答、嫌われないための回答をされているような印象を受けます。

前提として「実名だからといって、ネットでの発言の真偽はわからない」という趣旨は、まさにおっしゃる通りです。そこに実名/匿名の差はありません。

だからこそ、情報を発信する側も受け取る側も、自分の責任で取捨選択していくべき。まずは、情報リテラシーを身につける必要があります。

実名顔出しであることのメリットとしては、プロフィールを公開している以上、公明正大である必要がより色濃く出ることです。発言に責任を持たなければならないし、批判も受け止める覚悟が要ります。

保身のために他者に迎合したり、なれ合いの発言に流れる気持ちもわからなくはありません。しかし、それに甘んじて言いたいことを抑え込むか、ホンネを発信し続けられるかは、個人に委ねられています。どちらを選択するか、ただそれだけの問題です。


● フォロワーへの意識を欠いた運用方法に疑問がある

身内間のイベントをひたすらRTする人事の方もいるなど、フォロワーという潜在的な採用ターゲットから見られていることへの意識を欠いた運用方法も疑問です。

鋭いご指摘ですね。人事が実名顔出しでTwitterをする際には、自社の情報をPRする【公的】な立場と、プライベートな素顔を表現する【私的】な立場が発生します。

この公私のバランス感覚を欠くと、伝えたいメッセージはターゲットに届かず、漂う「内輪感」にシラケる…という最悪のパターンになります。そうならないよう、私も気をつけていきます。


● 人事の実名顔出しTwitterでの動向を揶揄する学生も存在する

(上記の運用方法を受けて)このような迂闊さに、IT業界としてもどうなのか、やっぱりベンチャーだから仕方ない、と揶揄している学生もいましたがご存知でしたでしょうか。

学生から実際にそうした意見があがっていることは知りませんでした。先のTwitter運用方法の話で、もっとうまく活用しないとなーと考えているところだったので、事実だとすれば貴重なご意見です。ありがとうございます。

ただ一方で、SNSでの発信を一切禁止している企業では、そもそもこうした議論さえ起こせないでしょう。情報発信に寛容な空気のある企業のほうが、今回のようなフィードバックを得られる機会をつくり出せます。

たくさん失敗すればその分、未来の成功のための知見が得られます。情報を発信することで試行と改善を繰り返し、理想の状態へと変化することができます。

質問者さんがおっしゃっているように、運用方法をより洗練させてゆく必要はあります。これは、ベンチャー企業だとか、IT業界だとかいうくくりではなく、ソーシャルで情報発信をする個人/企業、それぞれに求められていること でしょうね。


まとめ ―実名/匿名の是非について―

最後まで読んでくださった方向けに、いま思うところを。ここまで書いてきて言うのもなんですが、実名/匿名の是非について語りたい気持ちは特にありません(笑)

勝手に引用させていただき恐縮ですが、実名/匿名の是非については中庸的な意見を見かけるようになってきております。「そうそう、そういうこと!」って感じです。

実名顔出しでTwitterをすることは手段のひとつでしかなく、その先に動いていったほうが遥かに楽しそうですね。

自己ブランディングを企業ブランディングへとつなげていく動線設計とか、情報発信が自身の市場価値にどう影響を与えていくかとか。実名顔出しでTwitterをするメリットは最大限に生かしつつ、そこに留まらない次の動きを出していきたいと思っています。

お読みいただきありがとうございました!

頂戴したサポートは、私からのサポートを通じてまた別のだれかへと巡っていきます。