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宮島・弥山に登って考えたこと (インバウンド観光客とアウトドア)

尾瀬に働く前の話、もう半年近く前になりますが、
以前記事にした旅の中で広島県の宮島を訪れました。



宮島と言えば言わずもがな、世界遺産の厳島神社が有名ですが、
今回の旅の目的は厳島神社とその裏手にある山、弥山

実は世界遺産として登録されているのは、
厳島神社に加えてその背後の弥山原始林も登録されています。

また宮島は島自体が神として信仰の対象となっています。
自然における山としての弥山、それから文化における山としての弥山、を登ってみようという試みです。


長野から羽田に向かい、そこから山口県の岩国空港に飛びます。

広島出身の相棒の話で知ったのですが、
広島空港から広島駅に行くのと、岩国空港から広島駅に行く所要時間は大体同じ。


宮島に寄るのであれば広島駅より西側に位置するため岩国空港のほうが近いのです。
空港から駅もバスで10分ほどの距離。
首都圏から広島に行かれる方はぜひご検討を!

コンパクトで便利な岩国空港


さて岩国駅から電車で約25分、
宮島口からフェリーに乗って宮島へ。
コロナ明けということでインバウンド観光客だらけです。

恐らく広島の原爆関連の施設への関心が高まっていることで、その近くの宮島にも多く集まっているもののと思います。
またG7サミット開催直前で、注目の場であることも関係しているのかもしれません。


桟橋から厳島神社を通り過ぎると、
観光客による賑わいもいくらか落ち着いてきます。
ロープウェイもありますが、さすがにそれを使って登るのは山を体感できない、ということで乗り場を通過して登山口へ。

ちょうど昼頃からの登山で
登りよりも降りてくる登山者がほとんど。

しかし、その顔ぶれは9割強が外国の方たちです。

「あれ、ここは日本だよな…?」


そう思わせるくらい外国の方しか会いません。

厳島神社までは日本人観光客もいたのですが…

皆さんずいぶんとラフな格好で下っていきます。

登山道から

山頂の展望台に着くと日本人も数人おりましたが、やはり外国の人が多数派。
皆さん思い思いに山頂からの景色を楽しみながら寛いでいます。

暖かい太陽の日差しと海風が心地良い


その寛ぎ方が印象的で、板間で気持ち良さそうに寝てたり、靴を脱いで上がりこんでいたり。

確かにこの景色を前にして過ごす方法としては正しいな、と。
周りの目を気にすると少し恥ずかしい行為も堂々と行っているのが清々しい。


私の感覚ですが外国の方は日本人より自然の感じ方を心得ている、そう思いました。

その帰り道、今度はやけにヨロヨロした日本人が多いな、と思ったら何やらロープウェイが強風で止まったことで
ロープウェイに乗ってきた方たちが、歩いて降りる羽目になったご様子。

お気の毒だな、と思いつつ、
行きの登山道に日本人はいなかったけれども、
ロープウェイには日本人も乗っていたことがわかりました。

山を歩いて登る外国の方と、ロープウェイに乗る日本人。

なんだか違和感を感じて、
ヨーロッパ暮らしの経験がある先輩に話してみました。


するとやはりヨーロッパの人にとって登山やキャンプ、その他多くのアウトドアアクティビティは身近な存在だということ。

日本ではコロナになってキャンプブームもあったと記憶していますが、ブームというだけあって、
一過性のものだったのではないでしょうか。


日本人と外国人のアウトドアへの関わり方について、データを見ているわけではないので、感覚になってしまうのですが、

例えば

日本人が海外に行って、
例えば有名な教会があって、
その裏に山があったとしたら、

その山に登る日本人は一体どれほどいるでしょうか…

もしいるとしたら余程の物好きでないと登らないのではないでしょうか。




日本において山は「登山者」が登るものであって、
「観光客」が行くものではない。

明確に区別されている気がします。

広島+観光で調べると厳島神社は必ずと言っていいほど出てきますが、
弥山は出てくるものの必ずではありません。

そして弥山が掲載されていたとして、
アクセス欄を見ると必ずロープウェイに乗る前提で書かれています。

徒歩90〜120分とは書かれていないのです。

観光客は山には歩いて登らない、
そういうことになっているようです。

自分の足で登るから見られるものが、
感じられるものがあるのですが。

観光客が弥山に登らないのが、とても勿体無く感じます。

自身の足で登ることで感じられるものはたくさん

日本には自然が溢れているのに、
その恩恵を受けている人は一部でしかない。

生産性とかコストパフォーマンスとか、そんな言葉があふれているいま、
それらの言葉の対極にあるような自然との関わりって大事だと思っています。


そして登山人口は減りつつありますが、
日本人も外国の方と同じように自然が身近なものになれば、
まだ需要はいくらでもあるのではないか、
そう思います。


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