つの@標高2600mの仲居

某リゾート運営会社に勤めた後、 夏は北アルプスの山小屋、 冬はホテルや旅館等で働いてい…

つの@標高2600mの仲居

某リゾート運営会社に勤めた後、 夏は北アルプスの山小屋、 冬はホテルや旅館等で働いています。 今シーズンは北海道の大雪山で働いていました。 キーワード 登山、山小屋、宿泊業、移住など Instagram: tsunodake

マガジン

  • 山小屋よもやま話

    山小屋生活での四方山話です。これから山小屋で働いてみようと考えている方、「そもそも山小屋って何?」という方にも読んでいただけたらと思います。

  • 地方移住の話

    埼玉県で生まれ育った私が、ホテル業を通した地方移住をして感じたことをつらつら書きました。

  • 仲居もたまには「もてなされたい」

    「宿泊業の人間もたまにはお客さんになりますよ」 ということで。これまでに泊まってよかった宿の紹介です。

  • 下界での仲居生活

    山から降りている期間の、仲居あるいはホテルマン生活を綴ります

  • 山小屋の本

    山小屋ってどんな所なんだろう? 山小屋で働いてみたいけど実際どんな感じなの? そんな疑問を解決する本たちを紹介していきます。

最近の記事

  • 固定された記事

プロフィール

こんにちは。 「つの」と申します。 登山好きな仲居(ホテルマン)です。 出身は埼玉県、 大学卒業まで過ごした後、 就職先の配属で長野県の松本へ。 元々大学で登山をしていたので山は好きなのですが、 「松本」という山が見える環境で働くうちに、 もっと近くに行きたくなり 会社を退職してしまいました。 最初の就職先は某リゾート運営会社、 退職後は山小屋と山岳ホテル、山麓の旅館やゲストハウスなど、 基本的には標高の高い旅館・ホテルの 仲居(ホテルマン)をしています。 ニック

    • 山小屋の同僚と結婚しました

      しばらく山小屋関連の投稿から離れていましたが、 この間いろいろありまして、 先日、山小屋で同僚だった方と結婚しました。 正社員にもならず、 一つの土地にも落ち着かず、 季節労働でフラフラしている私が、 結婚なんてできるんだろうか? そう思っていましたが、 パートナーとなってくれる方がいました。 ありがたいことです。 妻にはもうそれだけで頭が上がりません。 今回はそれに関連して。 「山小屋で働く」というと、 ほとんどの場合が1つ屋根の下で 寝食を共にするわけですが

      • 特別豪雪地帯で暮らす 〜除雪〜

        前回の記事から引き続き↓ 今私が暮らしている山形県は、 県内全域が豪雪地帯に指定されています。 その中でも雪の少ない山形市周辺や、 日本海側の一部地域を除いて、 豪雪地帯の中でも特に雪の多い 特別豪雪地帯に指定されています。 今年は暖冬ということで、 本来の特別豪雪地帯の様子は見ることができていないのですが、 それでも雪への対策は他では見られない規模です。 除雪に関わる車両 他の地域に比べて除雪に関わる車両の多いこと 雪が降った日は除雪車両が、ひっきりなしに道路

        • 冬の山形県で暮らす

          北海道のヒグマの仕事を終えて、 現在、山形県の最上地域に来ています。  山形県は庄内、最上、村山、置賜 と大きく4つの地域に区分されています。 今回はそのご紹介。 細かい区分けは下の山形県のサイトをご覧いただければと思います。 庄内地域は山形の中でも日本海側、 地図で見ると西側にボコッと出てる部分、 酒田市や鶴岡市を中心とした地域です。 置賜地域は県の一番南に位置し、 米沢牛で有名な米沢市があります。 村山地域は県の中心であり、 県庁所在地の山形市があります。 人口

        • 固定された記事

        マガジン

        • 山小屋よもやま話
          81本
        • 地方移住の話
          20本
        • 仲居もたまには「もてなされたい」
          10本
        • 下界での仲居生活
          17本
        • 山小屋の本
          4本
        • 小屋番日記2021
          29本

        記事

          2023の旅

          今更ですが2023年の振り返りを。 例年ですと夏の山小屋生活が1年のハイライトになるのですが、 今年は山小屋だけでなくて全国津々浦々を旅して暮らす1年になりました。 生活の面では 長野→群馬→北海道→山形と拠点を移しながら生活。 2022年の10月から2023年の3月までの半年間は 長野の松本暮らし。 4月から群馬の尾瀬に行って 7月から北海道の大雪山。 そして今は山形の最上地方にいます。 旅という面では 南は屋久島、北は利尻・礼文島に行きました。 利尻島は北海道

          松本という街

          長野県松本市に拠点を置いて7年になりました。 そしてこの度、パートナーとの生活を始めるために松本のアパートを引き払うことにしました。 山小屋の仕事などで離れている時もあるので、 実際に住んでいたのは7年未満ですが、 松本市は心の拠り所でした。 学生時代の部活で北アルプスを登るために 度々訪れたその玄関口の松本駅。 松本駅のコンコースは始発電車に乗るために寝袋を広げて駅寝(あるいはステーション・ビバーク)をした思い出の場所。 大学卒業後、入社した会社の配属地も「松本

          クマの住処で働く④

          クマの住処、北海道・大雪山で働いて2ヶ月。 クマの痕跡を日々目の当たりにして、時々クマに出会ったりして、私のクマに対する感覚は働く前と比べて少し変化しました。 元々、大雪山で働く前にも北アルプス周辺などクマがいる地域で生活してきて、 実際に野生のクマを見る機会もあり、 おそらく街で暮らしている人に比べれば、 クマに対しての恐怖心は薄かったと思います。 ただ、北海道のヒグマは本州のツキノワグマと比べて二回りくらい大きいのは知っていたので、 会ったらヤバいなぁと漠然とした

          クマの住処で働く④

          クマの住処で働く③山でクマにあったら

          連日のようにニュースでクマによる事故を目にするようになっている最近。 このシリーズも話も安易に書けないなぁとも思ったのですが、 こういう時だからこそ、クマのことを取り上げて 関心を持ってもらうことも意味があるのかもしれない、ということで引き続き。 前回の記事はこちらから↓ ここで書くのは大雪山におけるクマの話であって、 最近の人里に出てくるクマの話とは事情が異なることはご承知おきください。 人里に出てくるクマは山に住むクマと異なり、 人を恐れない異常個体です。 (この

          クマの住処で働く③山でクマにあったら

          クマの住処で働く②クマに出会わないようにする

          前回の①では大雪山のヒグマセンターで働いたことを綴りました。 今回はそこで登山者に行っていたレクチャー で伝えていた内容を、 改めて掘り下げたいと思います。 ヒグマ情報センターは大雪山麓の 沼巡り登山コースの入口に立っています。 そしてこの沼巡り登山コースとは 大雪山の麓に点在する沼や池を巡るコースです。 このコースに入るためにはヒグマセンターで レクチャーを受けることが必須となっています。 レクチャーを行うのは、 もちろん登山者の安全を守ることにも繋がるのですが、

          クマの住処で働く②クマに出会わないようにする

          クマの住処で働く①

          北海道のほぼ中央に位置する 大雪山 その東側にある秘湯、大雪高原温泉の隣に 「ヒグマ情報センター」という施設があります。 私の今夏の職場だった場所です。 ヒグマ情報センターは名前の通りヒグマの情報を発信する施設です。 と言っても学術的に研究して発信をするというよりも、 ヒグマが多く生息する大雪山の 「沼巡り登山コース」 という登山道を歩く登山者に対して、 事前にレクチャーを行ってヒグマのことについて知っていただく、 そして登山道を巡視しながらクマの痕跡を見つけ

          クマの住処で働く①

          たまには山へ恩返し

          ただいま山小屋を離れて北海道の大雪山で働いています。 いずれ記事にしようと考えていますが、 大雪山の登山道を巡視する仕事をしています。 その会社が関わっているイベントが 「たまには山へ恩返し」 という登山道整備のイベント。 今回私が関係者として参加して、 登山における新しい視点になると思ったため 記事にしてみました。 登山道の問題 人は山から多くの恩恵を受けています。 特に登山者は言うまでもなく。 登山者は登山道を歩きます。 そして登山道は人が歩けば歩くほど

          たまには山へ恩返し

          スターリンクが山小屋にやってきた

          スターリンク(Starlink) どれくらいの人が知っているでしょうか。 スターリンクは、かのイーロン・マスクさんが率いるスペースX社の衛星インターネットサービス。 このサービスを利用すると、空が開けた場所ならどこでもインターネットを利用できるようになります。 どこでも電波が入り、ネット回線が通じている都市ではあまり関心を引く内容ではないかもしれませんが、 電波の届かない山小屋にとっては待ちに待ったサービスなのです。 日本では2022年10月からサービス開始したそ

          スターリンクが山小屋にやってきた

          宮島・弥山に登って考えたこと (インバウンド観光客とアウトドア)

          尾瀬に働く前の話、もう半年近く前になりますが、 以前記事にした旅の中で広島県の宮島を訪れました。 宮島と言えば言わずもがな、世界遺産の厳島神社が有名ですが、 今回の旅の目的は厳島神社とその裏手にある山、弥山。 実は世界遺産として登録されているのは、 厳島神社に加えてその背後の弥山原始林も登録されています。 また宮島は島自体が神として信仰の対象となっています。 自然における山としての弥山、それから文化における山としての弥山、を登ってみようという試みです。 長野から羽田に

          宮島・弥山に登って考えたこと (インバウンド観光客とアウトドア)

          富士山

          この夏、富士山の大混雑とか規制の話を聞く度に、なんだかもどかしい気持ちになっていました。 わたしが富士山に登ったのは12年前、まだ世界遺産になる前のことです。 当時、大学生だった私はワンダーフォーゲル部に所属しており、 北アルプスの3000m峰に登っていたので 富士山も登頂できるだろう、そんな心持ちでいました。 しかし誤算といいますか、高山病は避けられませんでした。 富士山の登山口の一つである須走口から登り始めて、途中で吉田口からの登山道に合流、 なんとか吉田・須走登

          2023年山小屋を考える②

          8月11日、山の日でしたね。 私が初めて山小屋で働いたのが 山の日が実際に施行された2016年です。 それから7年経ちますが、振り返ると山小屋の状況はずいぶん変わったなぁと感じます。 前回の記事に続いて今回は山小屋とスタッフの話を。 山小屋の求人の状況 ここ2年ほど、年始から夏にかけて山小屋の求人サイトを定期的に見るようにしています。 夏山シーズンの求人が出るのは、早い山小屋でその年の年明け頃から。 それから1,2,3月にかけて徐々に求人の数が増えていきます。

          2023年山小屋を考える②

          2023年山小屋を考える①

          『山と渓谷』の8月号を買いました。 今月号の特集は「北アルプス山小屋物語」 山小屋に携わってきた人間として これは買わねば、ということで本屋で見つけて即購入! でも「山小屋の特集」って珍しいな、 と思ってバックナンバーを2015年まで遡ってみたところ特集を組んでいたのは、 2021年の8月号のみ。 2年ぶりと言えばヤマケイとしては普通なのかもしれませんが、 その前の6年で第一の特集で組まれたことがないようです。(見落としがあったらごめんなさい🙏) 今それだけ山小屋とい

          2023年山小屋を考える①