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入山63日目 空飛ぶ自販機

本日はヘリコプターで物資が輸送される通称「ヘリ日」でした。

今回は食糧や燃料などと一緒に自動販売機が上がってきました。
ヘリコプターに吊るされたモッコと呼ばれる網に覆われて空を飛んできます。

そして無事に小屋の近くに直立不動で着地。
歩いたら7時間近くかかる距離、標高差1300mをわずか10分たらずで到着です。


日本には200万台以上の自販機があるそうですが、空を飛んだ自販機などきっと彼(彼女?)以外には数えるほどしかいないのでしょう。


地上に降りたった自販機を山小屋の男性スタッフ総出で小屋内まで運びます。
googleで調べたら自販機の総重量は300kgくらいあるそうです。


人力で運ぶものではありませんね。

ここ数年の中で一番重い物を運んだ気がします。

本来であれば業者さんが設置まで面倒を見てくれるようですが、さすがに山の上まで来てくれることはなく山小屋スタッフでの設置となりました。

山小屋で販売する飲み物はヘリコプターの費用が含まれるので下界のスーパーと比較すると恐ろしいほどの高級品。

缶ビールが800円くらい。
下界だったら買う人いません。

そうは言っても登山者によっては荷物をできる限り軽量化するために、飲み物(とりわけビール)は山小屋を頼る人が多いため、かなりの売れ筋商品です。
倉庫にうず高く積まれた缶ビールのケースが見る間に無くなっていきます。

そんな人気の飲料ですが、元々全て山小屋の受付で販売していました。

またこの受付は宿泊する方のチェックイン手続きや軽食の注文、テントの受付など全て一括で行っていたため、時間帯によっては凄まじい混雑になることもありました。

今回、自動販売機が来たことで少なくとも缶ビールを始めとした飲み物の購入は全てそちらに頼ることができるようになります。ありがたや。


下界にいると自動販売機があらゆる所に設置されています。こんな所にあって買う人いるのかなーと思う自販機がたくさんあります。

誰が使うかわからない自販機を見るとなんだか切なくなりますが、そういった意味では山小屋の自動販売機は重宝されることは間違いありません。

また一度上がってきた自販機は荷下げするのも多額の費用がかかるため、
故障するなどの事情が無い限り山小屋で生涯を送ることになりそうです。

末永く活躍してほしいものです。


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