見出し画像

山で人生狂わせる

先日山小屋の同僚と山を登っていた時に、

こんな人生を送るとは思わなかった

という話になりました。

山小屋に来る人は最初から
山小屋で働きたい!
と思ってキャリアを積んできた人はいなくて、

今いる会社を辞めようかな?と考えた際に、
すぐ転職するのではなくて何か別のことをしてみようか、

そんな人生の夏休み的な感覚で来る人がほとんどです。

元々登山を趣味にしていた人が、
その人生の夏休みに、ふと迷い込んでしまう、
山小屋ってそんな場所だと思っています。
(夏休みとはいえ、とてもホワイトとは言えない職場で働いているんですけどね)

迷い込んでしまった人の中には、
子どもたちの夏休みのように無事に元の生活に戻って行く人もいれば、
そのまま始業式の始まらない永遠の夏休みに突入してしまう人もいるのです。

そこに突入した例が私であり、
その同僚も恐らくその深みにハマってしまった一人なんだと思います。

人生の夏休みに



自分で言うのも何ですが若い頃は、

それなりに知名度のある大学に入って、
それなりに知名度のある会社に就職しました。


きっとそれなりに稼いで、
誰かと結婚して、
家庭を築いて、

そんな人生を送るものだと思っていました。

それが何があったのか、今やフリーターで
コロナや物価高に怯えながら会社を転々として、夏の間は標高2600mの山中に住んでいるのです。

その選択は自分自身で決めたもので
後悔はしていませんが、
「人生狂っちゃったな」と常々思います。


若い頃は
こんな所で働くつもりは無かったけれど


山小屋にはそんな若い頃に思い描いていた人生とは異なる道に来てしまっている、
そういう人がたくさんいます。

国家公務員を辞めて、山小屋スタッフになってしまった人、

山小屋をきっかけに都会のビジネスマンから、山に近い松本に移住してしまった人

山小屋で新しい恋を見つけて離婚寸前の人、

学生時代に山小屋に来て、
有名大学を卒業して就職したはずなのに、
山小屋のことを忘れられずに、1年で退職してアルバイトをしながら別の夢に向かって再スタートを切った人、

山小屋ではないけれども先日お世話になったガイドさんも、
急に山にハマって、狂ったように登った挙句、
脱サラしてガイド資格を取得、今は個人でガイドオフィスを立ち上げたと言っていました。


山小屋に来ている方は子どもの頃から登山に親しんできた方は少数派で、社会人から登山を初めた人がほとんど。
登山歴1年未満で山小屋に来てしまう人も少なくありません。

それだけ急激に山にハマってしまう。
山と山小屋の魔力なのかもしれません。



当時大学生だった彼女は
山小屋を経て
全くちがう道へと進んでいきました


話は変わりますが、少し前に中学校の卒業文集を偶然見る機会がありました。

その作文には私の将来のことについて書かれていて

「僕は普通の仕事はしていないと思う」

という一文を見つけました。

思わず笑ってしまいました。


中学時代の私は、今の自分の状況を遥か昔に予見していたようです。

それを見つけた時、
この人生を送るのはある意味既定路線だったのかと、
少し安心しました。

人生狂わせるほどの絶景を見に来てみませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?