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スラムダンク連載期間とバスケ男子日本代表の生い立ちを可視化してみる

パリ五輪出場を決めたバスケ男子日本代表、比江島慎選手が生まれた1990年は、「井上雄彦先生がスラムダンク連載を始めた年」でした。とても印象的です。おめでとうございます🎉

バスケットボール男子日本代表チームがパリ五輪出場を決めた当日、下記のようなSNS投稿が大変多くのいいねやリポストを集めていました。

この画像は、井上雄彦先生によるマンガ作品『SLAM DUNK』(連載期間1990年〜1996年 全31巻)の連載期間中に、単行本のカバーの「そで」部分に書かれた井上先生本人のコメントで、1992年頃のものと思われます。

今回のバスケットボール男子日本代表チームの奮闘によって、当時井上先生が思い描いていた、

次は日本代表チームの五輪出場が見たい。「スラムダンクを読んでバスケを始めた。」という子どもたちが、大きくなってやってくれたら…

という夢が、31年ごしに現実ものとなったわけです。長い時間がかかりましたが、すごいことですね。選手の皆さんにも井上先生も拍手を送りたいと思います。

そこで今回は、同作の連載期間と、バスケットボール男子日本代表メンバーの生い立ちを、同一の時間軸上に重ねてみました。グレーの帯が、連載期間となります。

ご覧のように、12人のメンバーの中で、連載中にすでに生まれていた選手は6人と半分です。そしてそのほとんどは連載期間中には0歳〜3歳といった、物心つくかつかないくらいの年齢です。

つまりいわゆる直撃世代よりは、ちょっと遅く生まれた世代、といえそうです。もちろん代表選手になるくらいの方々なので、ご両親などからバスケットの英才教育を受けていて同作に幼少期から触れていたケースも有り得そうですが、(当時の)少年誌が想定していた主要な読者年齢層である小中学生よりは、ひとまわり幼い段階ですね。

一方、今回の代表選手中、スラムダンク連載期間中には生まれていなかった最年少選手の一人、河村勇輝選手は、昨年「Hanako」誌のインタビューで同作に触れ、「登場人物の中では宮城リョータが好きで。ポイントガードというポジションも一緒だし、小柄でスピードが武器というのもちょっと似ていて。宮城リョータの存在が自分のモチベーションにもなっていました」と答えたとされています。

そして…

連載開始時は生まれておらず、終了時には1歳だった馬場雄大選手。

今日のXでの馬場選手ポストからは、井上雄彦先生が沖縄アリーナに駆けつけて応援をされていたこと、そして馬場選手が作品から並々ならぬ影響をうけてきたことが伝わってきます。

なんといえばよいのでしょう…「時間を超えて読みつがれる作品」というのは、こういう作品のことなのかもしれないですね…バスケットは、お好きですか…?

さてそんな素晴らしい作品『スラムダンク』の国内累計発行部数は約1億2000万部とされます。日本の世帯数は、2020年10月1日現在で約5300万世帯です。単純にフェルミ推定すると、約2.3世帯に1冊の割合で『スラムダンク』が日本の家庭で所有されている、という計算になります。また仮に全31巻が揃っているとするならば、約71世帯に1世帯という計算となります。71家族いたら1家族は全巻もっている…まあまあの割合かもしれません。

さてこの『スラムダンク』の1億2000万部というのは、他の少年マンガ作品と比べてどれくらいの規模なのでしょうか。バンプチャートで可視化してみました。

『スラムダンク』は累計発行部数でみると8番目となっています。また同作は31巻というそれほど多くない巻数で完結していますが、1巻あたりで割ると順位が一つ上がり、歴代作品の中で6番目に多く発行されたマンガとなっているようです。やはり並み居る人気作品の中でも非常に多く発行されている作品といえそうです。

そしてスラムダンクは、連載終了から27年経った現在でも電子書籍化されていません。

6人の選手はスラムダンク連載終了後に生まれていますが、バスケットボール選手に限らず、そういう世代の人々が「生まれるより前のマンガ」に触れるきっかけとして「家や親族の家の本棚にあった」というのがあります。

例えば友人や親族の家に遊びに行ったときに、何の気なしに読み始めたら面白くて止まらなくなった。そんなとき紙の本であれば「じゃあ全巻貸してあげるよ」ということができます。こいういう点が紙の本の強みのひとつかもしれません。コンテンツをフィジカルで所有していると、周囲の人に(今でいう)「布教」がしやすいのかもしれません。

先日、映画『THE FIRST SLAM DUNK』が終映を迎え、興行収入157億円という、歴代興行収入ランキングで14位の『崖の上のポニョ』(最終興収:155億円)を抜き13位となる成績となりました。

こうしたヒットの背景には、バスケットボール選手に限らず「スラムダンク連載終了時には生まれいなかった世代の人」や、「直撃世代でもリアタイで読んでいなかった人」が、「紙の本の貸し借り」を通じて同作に出会っていったこともあるのかもしれません。

さて、冒頭にバスケットボール日本代表選手はいわゆるスラムダンク直撃世代ではないと描きましたが、その中では、比江島慎選手の生い立ちが最も連載期間と重複しています。

比江島選手が保育園や幼稚園に通いながら、週刊少年ジャンプやスラムダンクの単行本を読みふけっていたかはわかりませんが、読んでいても不思議はなりかもしれません。

それ以上に当研究室でハッっとしたのは、比江島慎選手が生まれた1990年が「井上雄彦先生がスラムダンク連載を始めた年」だということです。

以前、音楽番組「関ジャム 完全燃SHOW」のBUMP OF CHICKEN特集回で、BUMPの大ファンという緑黄色社会の小林壱誓さんが話していたこんなエピソードを思い出しました。

小林さんがBUMP OF CHICKENの藤原基央さんにフェス共演で初めて会ったときに、ずっと伝えたかった「BUMP OF CHICKENの結成日が僕の誕生日なんです」ということを伝えたところ、藤原さんが握手の手を差し出して「俺が一番会いたかった人だ」と言ってくださった、と。

もしかしたら井上先生にとっての比江島選手も、そんな存在なのかもしれませんね。

皆さんは、バスケットはお好きですか…?


以上、徒然研究室でした。今回は短めのメモ的投稿で失礼します。Xでもオープンデータとプログラミングで関心あることを分析してポストしております。どうぞご贔屓に。

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