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神の子供達はみな遊ぶ(海を超えて)

代表の弦巻です。
さる5月6日、台北市にある台湾大学の日本語学科の皆さんによって2009年作の『神の子供達はみな遊ぶ』が上演されました。
数ヶ月前に上演許可のご連絡をいただいた時は頭に「?」が浮かびました。台湾で?本当に?

とても丁寧な依頼の文章や、ご案内を読むうちに、『神の子』(以下略)を大切に考えてくれていることが伝わって来ました。もちろんOKと伝えて、公演の成功をお祈りします、と伝えました。

それからFacebookなどで進捗を見る度に、ぜひ現地で本番を見たいという熱が高まって来ました。
幸い、感染症による渡航のハードルは下がって来てました。
劇団員とも相談し了解をもらい、1人、台湾に行って来ました。

初・台湾での生活は割愛しますが、5月初旬で30℃を越す真夏日が続き最高でした。何もかも美味しかった…。

現地の会場では観劇に中国文学者の川合康三先生がいらしてました。
『文選』など、著作を何冊も持っている川合先生とまさかお会いできるなんて!ご挨拶させていただき、写真も撮ってもらいました。


川合康三先生

台湾大学日本語学科の学生さん達による『神の子供達はみな遊ぶ』は、控えめに言って素晴らしい上演でした。けして「達者な」上演ではありません。普段は日本語を学ぶ大学生達で、演劇経験は全然無いようでした。
それでも素晴らしい、胸を打つ舞台になってました。作者である僕自身も何度も吹き出しました。まっすぐに取り組んでくれたことが伝わる上演でした。会場も何度も大きく笑ってくれて、作者も胸を撫で下ろしました。

行って、直接現地で見て本当に良かった。皆さんありがとう。

ドキドキ…
力の入った舞台美術でした
全て生徒の手によって運営されてます
出演者の皆さんと演出さん

(自作ながら)ただでさえ大変な戯曲だけど、しかも外国語である日本語で上演しようなんてもの凄く大変だったと思います。
でもちゃんと相手役と向きあう姿に胸打たれました。役者の反応を見れば台詞が(言葉が)聞こえているかどうか分かります。呼吸の合い方が絶妙でビックリしました。

日本からの留学生も交え書かれてる内容を一生懸命調べてくれたそうです。スプーン曲げとか、普通の小学生に戻ります!とか、元ネタになる様々なことを…軽い気持ちで取り上げたことを14年後に少し反省…。
でも教授のお話によると、それらも含め楽しんで取り組んでくれたそう。ありがたい。ちゃんとその楽しさは伝わってきました。

『神の子供達はみな遊ぶ』は(弦巻楽団公式HPで戯曲を全編読めます)シンプルなコメディなんですが、

「稽古でやってみると難しいんですよね」

とよく言われます。
実は自分にとってもそう。何故難しいかと言うと、ベタなコメディなんですが、ギャグによるコメディではなく関わり合いのファンキーさ、シュールさ、滑稽さによるコメディだからです。
出演者同士のグルーヴとしか言いようのないある種の呼吸、それが大事で、だから面白い人がやれば面白くなる、と言う作品でもない。

技術も大事だけど、相手役との関係の取り方、そのぶれなさが核となります。けれど、そこを掴めさえすれば、観客と物語の世界を共有できる。ちゃんと伝わる。
会場で笑いが起きた瞬間何度もそのことを実感しました。


そうそう、上演にあたって、全ての登場人物を女性が演じていました。脚本の修正や、新たな台詞も加えられ、皆さんの手によってここにしかない舞台に生まれ変わってました。

これまで様々なところで上演してもらった『神の子供達はみな遊ぶ』だけど、まさか海外で上演してもらえるなんて想像すらしてませんでした。いろんな可能性を開いてくれる作品だとしみじみ思う。今回携わった皆さんが演劇をもっと好きになってくれたらこんなに嬉しいことはありません。

皆さん、お疲れ様でした。素敵な舞台でした。
何年かに一度ある、「演劇やっていて良かったなあ」と思えた瞬間でした。

ちなみにこちらが台湾大学日本語学科の皆さんによる『神の子供達はみな遊ぶ』予告動画。

https://fb.watch/kV4DDiNgyu/


投稿元のページを見ると、製作、広報、資金調達…全てのセクションを生徒達が自らの手で行なっている。すごい。今回で27回目を迎えたこの日本語劇上演、過去の先輩達の積み重ねもあって、楽しみにしてくださる方、応援してくださる方がとても多いと聞きました。その歴史に連なることができて光栄です。


そしてこちらが皆さんによる『神の子供達はみな遊ぶ』の上演動画(!)です。

https://youtu.be/t8J4EkyHfDw


ぜひご覧ください。

台湾の学生が、日本語で書かれた戯曲に挑戦する。その創作への姿勢はちょっと感動的です。この動画で、自分の周りの皆さんにもその活動の素晴らしさを感じてもらいたいです。

なにより、とてもチャーミングな出演者5名の姿をどうかお楽しみ下さい。冒頭、挨拶に自分が登壇しますがそこは早送りで…。

台湾大学日本語学科の皆さん、本当にありがとうございました。
これからも交流を続けましょう。


出演の皆さん、演出さんと指導された台湾大学の先生達と記念写真

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