見出し画像

この一線を越えたくて

 たとえば恋人に振られたとして、その瞬間はめちゃくちゃ悲しかったとしても、翌朝にはその人のことを嫌いになって、もう次の恋をしている。これまではそんなパターンが多かった。

 今回、恋人と別れ話が浮上した時も、最初こそこのまま崩壊するんじゃないかってくらい泣きじゃくったけど、数日もすれば平気になっていた。さすがに嫌いにはなってないけど、求める気持ちもほとんどなくなって、次はどんな人がいいかな、なんて妄想してみたりして。

 毎回こんなだから、自分は人に執着しない人間なんだと思っていた。人への想いを断ち切っていける自分を愛していた。
 でも、たぶん、私は人に執着しないんじゃなくて、誰よりも執着心が強いから、その部分で苦しまなくていいように心に予防線を張ってただけなんだと思う。

ここから先は

1,155字
この記事のみ ¥ 100

いつもサポートありがとうございます。 『この世界の余白』としての生をまっとうするための資金にさせていただきます。