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映画のつくり手に送る「映画のまち調布賞」授与式に潜入レポート!

こんにちは!TCP公式note編集員のHikaruです!

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今回は2月26日(土)に開催された「第4回映画のまち調布賞授賞式」の様子を、実際の写真を交えながら一挙ご紹介!映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞ということで、2021年2月〜9月に実施された第4回日本映画人気投票上位10作品の実写映画の中から選考されました(選考委員会は功績ある映画技術スタッフ等)。

映画・映像関連企業の集積する「映画のまち調布」ならではの取り組みで、TCPが掲げる「クリエイター支援」の点からも、非常に面白い取り組みだなと感じます!調布シネフェス2019から、今回が4回目でありながら、新型コロナウイルスの影響もあり、無事にリアルで開催するのは実質2回目なのだそう。しかし、会場はそんなことを感じさせない熱気に包まれていました。

〇『花束みたいな恋をした』

 作品賞 土井 裕泰(どい のぶひろ)監督(制作プロデューサー・土井 智生氏が代理出席)

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 録音賞 加藤 大和(かとう ひろかず)氏(当日欠席)

▶選定理由
全体を通して繊細で丁寧な録音がされている。特にセリフ収録の技術が高く、若い俳優特有の語尾を飲みこむ話し方も、雰囲気を保ちながら明瞭に再現できていた。また場所によって異なる声の響き方もトーン調整がされていた。セリフやナレーションが大切な作品にふさわしく、誇張しすぎない音楽とセリフの絡みも絶妙である。作品に合わせたナチュラルかつ精密な音作りを評価したい。

 撮影賞 鎌苅 洋一(かまかり よういち)氏

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▶選定理由
カメラの存在を意識させない日常生活に溶け込むような撮影で、等身大の物語の世界に誘導し、観客が登場人物に共感を覚える作品になっていた。
若い二人が暮らす多摩川沿いのマンションの室内はセット、ベランダは現地のロケだが、その繋がりも自然で、移ろってゆく季節感もうまく表現されており、撮影監督の丁寧な仕事ぶりが光っている。

〇『ヤクザと家族 The Family』

 照明賞 平山 達弥(ひらやま たつや)氏(配給・株式会社スターサンズご担当が代理出席)

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▶選定理由
冒頭のバイクシーンから屋内への移動、続く俳優の表情の映し方にみられるように観客が見たいところをきちんと見せる、ストーリーに寄り添ったライティングができていた。陰影を駆使し、それぞれの時代やシチュエーションに合わせた色の使い方とコントラストのある照明づくりは見事である。
カメラマンと照明技師の絶妙なコンビネーションが素晴らしい結果につながっていた。今後の更なる成長を期待したい。

〇『るろうに剣心 最終章 The Beginning』

 美術賞 橋本 創(はしもと そう)氏

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▶選定理由
破壊を前提としたセット作りは崩し方までの計算、設計の難易度が高いが、それぞれのアクションシーンで、多くのパートと連携して美術設計をしていることがうかがえた。また、大作にふさわしい規模感でありながら、全編を通して効果的だった落ち葉や小萩屋の印象的な急勾配な階段ほか、大胆かつ細やかな美術的なこだわりを称賛したい。監督と信頼関係のある橋本氏にしかできない、「美術」も主役の作品である。

〇『浅田家!』

 編集賞 上野 聡一(うえの そういち)氏

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▶選定理由
余韻を残しすぎない編集をすることで、敢えてエモーショナルにせず、明るい雰囲気を作り出していた。セリフの間やアクションのカッティングに細かな気遣いが表れており、作品が表現したいテーマに対して的確な編集をしている。後半の様々な家族の写真を並べるシーンのリズムも良い。観客が心地よく映画を鑑賞でき、「もう一度見たい!」と感じさせるような温かみのある作品に仕上げていた。

〇功労賞

功労賞 根岸誠(ねぎし まこと)氏(東映デジタルラボ 株式会社テクニカルアドバイザー)

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▶選定理由
調布市に本拠を構える東映化学工業(現・東映ラボ・テック)に入社し、フィルム現像・タイミング・オプチカル処理などの業務全般に携わり、『藏』(95)では東映で最初となるフィルムのデジタル化、デジタル合成処理を担当した。引き続き『鉄道員(ぽっぽや)』(99)『ホタル』(01)『男たちの大和/YAMATO』(08)などにテクニカルコーディネーターとして参画、新しい技術やワークフローを確立するなどデジタル時代を迎えた映画界の技術の発展に貢献した。2017年に文化庁映画賞(映画功労部門)を受賞。2021年に東映ラボ・テックを退任後もテクニカルアドバイザーを務めている。
※タイミング…フィルムの色調調整
※オプチカル処理…フィルムを使った光学的な合成処理

最後に一言

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その他にも調布市長や実行委員長の方々のお言葉等の節々に「映画」への愛「映画の作り手」に関するリスペクトを感じました。「映画のまち調布シネマフェスティバル」は2022年2月11日(金)~3月6日(日)まで、まだまだ開催中!今後も、第4回日本映画人気投票で市民により選ばれた愛される話題の映画(映画『東京リベンジャーズ』や映画『天外者』等)を上映予定です。

詳しくは公式HPをご覧ください👇