Takahashi/リカレント美容師

美容師をしながら、子育てのひと段落を機にリカレント。 /新潟大学経済学部卒/山野美容…

Takahashi/リカレント美容師

美容師をしながら、子育てのひと段落を機にリカレント。 /新潟大学経済学部卒/山野美容学校卒/美容院経営/美容学校講師/ビジネス会計士/美容師さんに経営のアドバイスをさせていただいたりしています。

最近の記事

結婚は「コスパ」が悪い?

結婚は「コスパ」が悪い、のだそうです。 結婚を「リスクテイク」と考えていませんか? 結婚は「リスクヘッジ」でしたよね。 そもそも、未婚率の上昇や晩婚化というのは、 「自分の結婚したい相手と、自分の結婚したいときに結婚しよう!」 というふうに考える以上、そのように社会が進展していくことは当然なのです。 なぜなら、人口問題に無関心でいることができた50年ほど前の日本では <見合い結婚>が主流だったからです。 当時、結婚というのは、結婚する本人同士のものではなく、明治民法から

    • 「親ガチャ」から抜け出す最適な方法

      先日、ある美容学校へ講師の仕事で訪れたとき驚いたことがありました。 それは、学生の半数近くが「奨学金制度」を使っていたことでした。 詮索するのは学生たちに申し訳なかったのですが、 つっこんで聞いてみると、 それぞれの家庭環境があり、金銭的な理由で美容師になりたくて、 「就職したら親に頼れないから自分で返済していく」と言うのです。 涙が出そう。 「親ガチャ」という言葉自体は好きではありませんが、 そんな美容師を応援したいという気持ちに駆られて、言ったら怒られそうなことを

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      • 「独立したい」という勘違い

        「自分の好きなようにしたい」と独立する美容師は多い。 急な話なので、よくよく聞いてみると、その理由というのが「自由に仕事をしたい」というような内容である。そういう場合、必ずと言ってほど親族がお金を工面してくれる。そして、しばしば短期的な計画すら立っていないことが多い。 何が言いたいかと言うと、ほとんどの「独立したい」美容師は、「孤立」したいのであり、「独立」という「自立」の道を模索するのとは異なっている。

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        • 「選ぶ」という幻想

          「選ぶ」という感覚さえ覚えないくらい、私たちの生活は「選択肢」であふれている。 じつは先ほど、コンビニで食パンを買おうとしたら、「一つしかなかった」のでちょっと残念だった。 いつもは4種類並んでいて、たまたま「一つしかなかった」のだが、 でも結局買うのは一つだけ。 ふと、「選ぶ」ことができなかったことを「残念」だと感じてしまった自分に違和感を感じたのである。 結果的には買えたのだから、「残念」に思うべきではないのではないか、と。 私たちは意思が行動を決めていると信じてい

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          美容師は「働きすぎ」という嘘

          美容師は、「夜遅くまで残って練習」だったり、「休みもコンテストや撮影」だったりと労働時間が長いイメージがありますね。 そもそも、美容師から「美容師は大変だ」という声をよく聞きますが、今回はそこを考察してみましょう。 「働きすぎ」というのは、法的には「超過勤務」という意味を指す言葉です。 法定労働時間は、労働基準法に定められた「1日8時間週40時間」であり、これを超えて働くことを超過勤務といいます。 さらに、これを超えて残業を従業員にさせるには、労使間で労働基準法第36条に

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          日本の葬送とサーマルリサイクル

          「葬送」とは、聞きなれない人もいるかもしれないが、死者をほうむるために見送る儀式を指す。 「よりよく生きる」ための格言として、 ラテン語では、「memento mori」(死を想え)というものがあるし、また日本でも、『葉隠れ』に「武士道とは死ぬことと見つけたり」というものがある。 世界には火葬、土葬、水葬、鳥葬、風葬などがあるが、日本ではほぼ100%が火葬であり、これは世界最高の火葬率である。 宗教などによって葬送は異なり、古代エジプトはミイラ葬りだったし、キリスト教で

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          「つまずく」ということ

          スポーツでも、結果を求める場合、練習強度の高い過度の負荷がかかると「けが」を引き起こしやすくなる。 同様に仕事や人間関係でも、質の高いものを求めれば、自ずとそれなりの工夫や負荷が必要になるだろう。 できれば「けが」は避けたいが、もしそうなった場合は長期間休まなければならなくなる。すると、さらに気持ちが焦って精神的にも追い込まれてしまう。 それが「つまずく」ということだ。 その最たる例は自死であり、「Karoshi」(過労死)という言葉は海外でも使われている。 どうも、

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          「万引き家族」

          今更ながら、「万引き家族」を見た。 「第96回アカデミー賞」で「ゴジラー1.0」が視覚効果賞に選ばれたことを受け、安藤サクラ様の演技が見たくなったためである。 良かったなあ。 サクラ様すばらしかったし、リリー様も希林様もよかった。本当に見てよかった。やはり是枝監督だな。 さて、あらすじに言及する余白はないが、 よその子供を、虐待されてかわいそうだから連れてきて一緒に生活する。バレることなく、お店がつぶれなければ万引きを続ける。家族が死んでもお金がないから庭に埋める。

          美容師にとっての「価値ある能力」

          今後の美容師にとって、「価値のある能力」とは何でしょうか。 それは、「ノリ」と「体力」だと思います。 多くの美容師は、「技術」と「コミュニケーション」だと答えるでしょう。しかし、今後を考えたときにはそれだけで十分ではありません。 順を追って考察してみましょう。 まずは「技術」です。 すでに、ヘアスタイルを作る、技術を伴うサービスはパターン学習化されているため、習得するのにそれほど難しい問題ではないでしょう。というのは、すでに、技術そのものが価値があった時代は、少なく

          美容師にとっての「価値ある能力」

          「価値ある能力」

          「価値ある能力」は、時代によって変化します。  狩猟採集時代においては、人間にとって価値ある能力とは「視力」「走力」「腕力」でした。獲物を獲得するために必要とされた能力で、今日の用語で言えば、スポーツに要求される能力でしょう。  しかし、狩猟採集時代にも「落ちこぼれ」はいたのです。すなわち、目が悪く、足が遅く、腕力がない人間です。こうした人々は、彼らなりの生き残り戦術を模索しました。  その結果、走力や腕力がなくても手に入る食糧を探しました。まずは、植物です。植物を火で

          現代の美容師こそ、マルクスの『資本論』を読むべき理由

          「美容師は給料が安い」と感じている人こそ、カール・マルクスの『資本論』を読むべきです。    その分かりやすい理由として、マルクスの「窮乏化法則」を掲げたいと思います。窮乏化法則とは、「資本主義経済では、資本の蓄積が進むに従って労働者階級の生活は困窮化する」という説です。私は、世界規模の資本主義経済が爛熟した現代だからこそ、マルクスの法則が生きてくるのではないか、と考えています。  たとえば、現代の資本家(GAFAMなど)は、私たちが、パソコンでGoogleやFaceboo

          現代の美容師こそ、マルクスの『資本論』を読むべき理由

          美容師カースト

           ヤフコメで、「美容師カースト」という言葉を見つけたので考察してみたいと思います。  日本で言う場合の「カースト」は、インドの社会的階層構造「カースト制度」をもじって付けられた言葉です。「マンションカースト」「スクールカースト」など、さらに「上級国民」などという言葉もあり、さまざまなコミュニティや職業で、階層を表す言葉として用いられているようです。    ではなぜ、カースト<のようなもの>ができてしまうのか。社会心理学的には、「ステレオタイプ」と「偏見・差別」をもとに説明で

          シロアリ的リーダーシップと経営組織論

           「リーダーシップ」のようなものが育たないので困っている、という美容師さんから相談がありました。たしかに、大量生産をする工業化に向かうときには、経営組織は大人数の方が都合がよかったのです。そこで強力なリーダーシップが必要とされてきました。 そこで今回は、答えがある問いではないので、より本質的に考察するべく、「シロアリ」を例に考えてみましょう。  なぜなら、シロアリはもっとも「マシン」に近く、かつ社会性を有する「真社会性生物」だからです。分類的には、シロアリはアリの仲間では

          シロアリ的リーダーシップと経営組織論

          インド料理屋で思う、世界で唯一の「気候のタイムマシン」

           昨日、近所のインド料理屋でランチを食べながら、「もし狩猟採集生活になったら、このナンは食べられなくなっちゃうな」と、ふと思った考察です。   環境に対する意識が高い人でも、意外と知らないのですが、福井県若狭湾岸の景勝地、三方五湖のひとつである「水月湖」は、世界的に有名な奇跡の湖です。水月湖がなぜ奇跡かと言えば、詳細は割愛しますが、この湖底の、年縞堆積物の放射性炭素年代測定から気候変動の歴史が分かる、世界で唯一の「気候のタイムマシン」だからなのです。  水月湖の湖底には「

          インド料理屋で思う、世界で唯一の「気候のタイムマシン」

          昔の美容師と今の美容師の「上下関係」

          一言で言えば、情報量の差をどう認識するか、だと思います。  昔の美容師(プレデジタルネイティブ世代)の中には、圧倒的な「経験」という情報量の差があり、その情報量の差がヒエラルキーを形成していました。教える側と教わる側で構成される「上下関係」がベースの人間関係では当然の帰結でした。しかし、現在では全員がスマホを持ち、インターネットの情報に常にアクセスしているので、情報が「民主化」されている状態です。つまり、少なくとも今の美容師(ポストデジタルネイティブ世代)は情報量としては、

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          成田悠輔氏の祝辞「ニコ没」の真意

          YOUTUBEで、バンタンの卒業式での、成田悠輔氏による「ニコニコ笑いながら没落しよう」という祝辞を見ていて思ったのですが、 卒業生にはどのように聞こえたかな?と。 「夢をもって社会に出ても、一部の幸運な人以外はグダグダの人生にしかならないんだから、小利口になるのはやめて失敗してもいいじゃん」と聞こえたのではないでしょうか。 一方で、ひょっとすると「やりたいことをやってみて、無理だと思ったらいつでも諦めていいんだよ」と聞こえた人もいたのではないでしょうか。 もし、そう聞

          成田悠輔氏の祝辞「ニコ没」の真意