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飛んでいくスイートピー、蝶のように

※スイートピーの花言葉の一つは「別離」「優しい思い出」

春の風が吹き抜ける小さな町で、彼女はスイートピーの花を愛していた。毎朝、彼女は庭に出て、その芳しい香りを楽しんでいた。

ある日、彼女は町の郷土館に展示されている古い手紙を見つけた。それは戦争中の兵士が恋人への手紙で、「スイートピーの花の香り」の詩が詠まれていた。

彼は遠くの戦場で戦っていたが、スイートピーの香りを思い出すことで、彼は彼女がいつも彼のそばにいるような気がした。

彼女はその手紙を読むたびに、スイートピーの花を摘んで窓辺に飾った。夜になると、その花は優しい光に包まれ、彼女の心を温めてくれた。

そうしたある日、彼女は窓辺でスイートピーの花を眺めていると、射してきた朝の陽光がスイトピーを照らす。朝の光に照らされたスイートピーの花弁は1枚、1枚と蝶に変わり、優しく飛び去って行く。

蝶は彼の元に飛んでいくよう。(私の気持ちを伝えて・・・)彼女は心の中で訴える、時を越えて。彼女は彼の存在を感じる。

窓辺に飾っていたスイートピーの花弁がすべてなくなった。蝶の姿も見えない。朝の光も上がってきている。彼女には、遠い昔の恋人の思い出が広がっていた。

彼女は決して忘れていなかった。あの戦争中の手紙と、遠くの恋人の思い出を。彼女にとって、スイートピーは愛と青春の象徴となっていた。

Fin