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合宿の美女 あるいは ウド

画像:https://weathernews.jp/s/topics/202003/250165/から。

合宿で南原峡の宿舎に行っていた。夕食の野菜サラダに白っぽい棒状の茎が入っていた。今まで食べたことはない。隣で食べていた後輩(女性)に尋ねた。

「食べられるん」
「食べられるよ。ウドよ」

「ウドの大木」で、名前は聞いたことがあったが、実際目にするのは初めてであり、食べたこともなかった。興味本位で「かじった」が、皆も食べている。何でも食べる味音痴。何の感想もなく、ウドは他の食材と一緒に胃の中に収まった。

食後、合宿のスケジュールをこなし、翌日の打ち合わせを済ませ、三々五々と雑談を始めた。男女混合グループだが、女性が少ない。大部屋に30人規模の布団を敷いて寝ることになった。年頃の男女だ。しかし、皆は思い思いに陣取り、寝に掛かった。

「隣に寝ちゃる」

後輩は一瞬戸惑った表情を見せたが、以前からよく話す間柄だったので、イノセント気味の先輩なら大丈夫と踏んだのだろう。先輩は後輩のことなど頭にないかのように、布団に入るなり、直ぐさま寝入ってしまったようだ。翌朝、起きると、隣の布団は片付けられ、ほとんどの学生は起きていた。

クラブ活動を余り熱心にする方ではなかった。卒業前の学期末、友達の話から後輩が地元に帰り、銀行に勤めると聞かされた。