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煩わしさにはワケがある?木を伐る前(後)の申請・届出

すっかり秋の気配ですね。スズムシとコオロギの声に涼しさを感じます。

協力隊の期間中、ヤモリーズは町行造林がフィールドです。報告書作成以外の手続き等は役場の方が処理してくださっていますが、卒業後あるいは副業として木を伐る場合、自分で行わなければいけない場面があります。ということで、今回は森林法に基づく届出についてまとめてみました。

都道府県知事が作成する「地域森林計画」の対象となっている民有林の立木を伐採する場合、届出が必要です。津和野町の民有林はすべて地域森林計画の対象となっているそうなので、何かしらの申請・届出が必要となる可能性が高いですね。
※以下「法」と記載してあるのは森林法です。e-Govで参照可能です。

対象森林の状況によって、必要な手続きが変わります。

①保安林や保安施設地区である場合
事前に都道府県へ許可申請・届出が必要《法第34条第1項》
 >島根県の保安林制度のページ

②1haを超える開発行為(土地の形質の変更)である場合
事前に都道府県へ許可申請が必要《法第10条の2》
 >島根県の林地開発許可制度のページ

③森林経営計画の対象森林であって、当該計画に従って伐採する場合
市町村へ森林経営計画の認定請求が必要《法第11条第1項》
市町村へ事後の届出が必要《法第15条》
 >林野庁の森林経営計画についてのページ

④森林経営計画の対象でない森林を伐採する場合
伐採の30~90日前に「伐採及び伐採後の造林の届出」が必要です。
《法第10条の8第1項》
造林完了後(伐採後に森林以外に転用する場合は伐採完了後)30日以内に「森林の状況の報告」が必要です。《法第10条の8第1項》
※伐採等届出を必要としないケースについては、法第10条の8第1項を参照。
 >津和野町の伐採及び伐採後の造林届のページ
 >記入例は林野庁のページ

ややこしいですね。
岐阜県のHPにアップされているフロー図(手続きの流れ)が分かり易いので、どんな届出が必要なのか?と迷ったときは、参考にするとよいかと思います。
https://www.pref.gifu.lg.jp/sangyo/shinrin/shinrin-keikaku/11511/kiwo-kiru.html

また、保安林では主伐なのか間伐によって施業要件があったりしますし、補助金を頂いて施業するときはその要件があり、さらに複雑さが増す気がします。。対象森林を指定したら、必要な書類を提示して自動入力してくれるアプリとか開発されないかな・・・などと淡い期待を抱いてます。

それと、伐採から話が変わりますが、売買や相続、贈与などによって新たに森林の土地の所有者となった場合、90日以内に市町村に届出する義務があります。所有者不明になってしまうと大変なので、これをご覧になっている方でもしお心当たりのある方は、是非とも手続きをされてください。
※国土利用計画法に基づく届出をしたときは不要
 >林野庁「森林の土地の所有者届出制度」ページ

何故こんなにも木を伐るときに手続きが必要なのかと思いましたが、私有林であっても森林は公益的機能(生物多様性保全や土壌保全、水源涵養などなど)を有するものであり、木を伐るということは多かれ少なかれ環境を変えることです。その機能を著しく損なわないため、あるいは一時的に失っても回復するよう制度がつくられてきたんだな、と思います。

表紙の写真は津和野ではありませんが、残っている木の向こうにあった木々が伐採された後の景色です。夕陽が美しいですが、近くの畑に風が良く通るようになり、強風が吹くと以前より作物が倒れ安くなるという変化がありました。収穫は無事できたので小さなことではありますが、木を伐ることで発生する影響を感じた出来事たったのでこの一枚を選んでみました。

(文:いっしー)

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