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壊れない作業道づくりで使っている重機「バックホー」「キャタトラ」「林内作業車」

ヤモリーズ4期生のガッチョこと大賀です。

さて、ヤモリーズは津和野町の町行造林をフィールドに「壊れない作業道づくり」に日々取り組んでいます。

作業道づくりは簡単に言えば、山の中に車両が走れる道を開設していくことです。頑丈な作業道があることで、車や人が林内に容易に入れ、長期的な森林資源の利用ができるようになります。

林内の作業道づくりに欠かせないもの、それが重機(土木用の建設機械)です。

道を形作っていく機械、土を運ぶ機械、丸太を運ぶ機械など、これら使用している3つの重機について紹介します。


バックホー(3tクラス)

「ユンボ」「ショベルカー」とも呼ばれます。

「壊れない作業道づくり」は道幅250cmを原則とします。その道幅で作業道をつくるのにもっとも適しているのが、3tクラスの小型バックホー(履帯幅:約160cm、バケット容量:約0.07㎥)。

バックホーの特徴はその長い腕。

これは「ブーム・アーム・バケット」という3つの部分に分かれていて、それぞれ別々に稼働できます。また足回りには、土を押すことができる「排土板」がついています。

これらを操作して出来ることはたくさんあり、実にすぐれものな機械です。


①土の移動
もっとも基本的な作業。山の斜面の土をバケット(または排土板)で移動させることで、道を開設していきます。

「土を移動させる」といっても多様な動作があり、

・削る(掻く)
・後ろに引く
・前に押す
・横にふる
・バケットの中にすくう
・すくった土を離れた場所に落とす
・排土板で押す、引く

などに分解できます。これらをスムーズに同時並行的に操作すれば、人間の手足のように動けます。


②岩を削る
山の土を掘ると、岩のように硬い場所(または岩そのもの)が出てくることがあります。とくにヘアピンカーブを開設していく尾根は、山の中でも土質的にかなり硬めです。

あまりに硬い岩でなければ、バケットについた「ツメ」「サイドカッター」で削ることができます。


③路面、法面(土を盛った斜面)を固める
土を移動させただけでは道は固まっていません。これもバックホーで固めます。方法は主に2つ。

・バケットの平らな面で叩く
・キャタピラで踏みしめる


④切り株を掘る
道を伸ばしていくうえで、切らなければならない木を「支障木」と呼びます。これはチェーンソーで伐採しますが、切り株は残ります。もちろんこれがあると邪魔なのでバックホーで掘り起こします。


⑤丸太の釣り上げ
バケットには後付けで「フック」が溶接されています。ここにワイヤーを掛ける(「玉掛け」と呼ばれる作業)ことで、丸太を釣り上げて移動できます。

単純に移動させるだけでなく、トラックへの積み込みもできます。


⑥「木組み」の施工
作業道をつくるうえで道幅の確保や路肩補強のためなどに、丸太をつかって「木組み」というものを施工します。

丸太を埋めるスペースの作成、仮止めとして釘を打ち込むときの固定補助など、ここでもバックホーが活躍します。


⑦伐倒補助
支障木の伐採をチェーンソーで行うとき、他の木に寄りかかって倒れない場合が往々にしてあります(「掛かり木」と呼びます)。これを人力で倒すにはかなりの労力、そしてテクニックが必要。

一方、バックホーの持つエンジンと油圧の力は非常に強力です。バックホーが近くにいる場合、バケットのフックにロープをかけて引っ張ったり、直接バケットで押し倒すなど、木を倒す補助ができます。


⑧アタッチメント機能
バックホーのアーム先端はアタッチメントになっています。そこにバケット以外の専用機械を装着することで、まったく別の機能を発揮できます。

・ブレーカー(砕くことに特化した機械)

・グラップル(つかむことに特化した機械)

・・・

以上がバックホーの基本的な役割。作業道づくりには欠かせない重機です。


キャタトラ(不整地運搬車)

こちらはスポット的に活躍する機械。

キャタトラは小型のダンプカーです。荷台に土や石を積んで、別の場所へダンプ(荷台を傾けて落とすこと)できます。

バックホーは1度にバケット1杯分しか土を動かせませんが、キャタトラに積むことで大量の土(バケット14杯分くらい)を一度に遠くまで移動できます。

土を削り取って勾配を下げたいとき、土を盛ってレベル上げしたいとき、バラス(砕いた石)を路面に撒きたいとき、などなど道を仕上げていくときにとても重宝します。

ちなみにキャタトラの車幅は約160cm、小型バックホーの履帯幅とほぼ同じです。


林内作業車

こちらもスポット的に活躍する機械。名前のとおり、林業での使用に特化した重機です。

道を伸ばすために切った支障木は、造材(枝を落として必要な長さに切ること)して原木市場へ出荷したり、道を補強する木組みとして使ったりします。

この切った丸太を移動させたり集めたりするのに、林内作業車が活躍します。

①丸太の運搬
林内作業車のボディの半分は荷台になっています。ここに丸太を積み重ねて運搬できます。ただし走行速度はバックホーやキャタトラより遅め。


②集材
林内作業車にはウインチが付いています。ウインチのワイヤーを使って巻き取れば、林内で切り倒した丸太を集めることができます。

ワイヤーは非常に長いので、バックホーの腕がとどかない位置でも林内作業車なら引っ張れます。


目標とする作業道とは?

これら3つの重機には共通点があります。それは足回りがキャタピラだということ。

キャタピラは整地されていない悪路でも走破性が非常に高いです。凸凹の路面、石がゴロゴロの路面、水でグチャグチャの路面、そんな場所をものともしません。

では何のために、これらの重機が大量の土を移動させ、丸太を運び、路面を整え、頑丈な道をつくっているのか?

それは最終的に「2tダンプが丸太を積んで走行できる作業道」を目指しているからです。


簡単にまとめると、下記の感じになります。

・バックホー:土の移動、道の成形
・キャタトラ:土の運搬
・林内作業車:丸太の運搬、集材
・2tダンプ:丸太の搬出(林内〜出荷先まで)


・・・

ヤモリーズが作業道づくりに使っている機械についてでした。


書いたひと:4期生大賀


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