「短歌人」2018年4月号掲載作品

居住者様

京都府から葉書来ており漢字ばかり十八個並び息つぎできず

宛名には我の名は無く生きてきてはじめて「居住者様」と呼ばるる

「労働力調査のお願い」調査せねば分からぬほどの労働力か

同棲は「配偶者あり」になるのかととりとめもなく迷いつづける

ボールペンも万年筆も許されぬ紙には何も書きたくはなし

折り曲げてはならぬ用紙を折り曲げて我はいかなる罰を受くるや

ありのままが記入されたる労働力調査票すき間風にて飛びぬ

労働力調査の対象になり、調査されていた。調査員の方が調査票を家まで配付しに来られ、マークシートを塗りつぶしていろいろ書き込んで郵送。今どき。

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