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いつか、嵐の5人について書く時が来たら

【嵐/活動休止発表】

いつか、嵐についての記事を書く時が来たら、その時は必然的に、僕の自分史を振り返ることになるだろうと思っていた。それぐらい、嵐というアーティストは、僕の人生において切っても切り離せない存在であり続けている。

そして、その「いつか」が、こんなにも早く訪れるとは思っていなかった。


1991年10月生まれ、現在27歳の僕は、5人がハワイの船上でデビューを果たした時のことは、正直、記憶には残ってはいない。それでも、彼らの楽曲はどれもDNAレベルにまで深く刻み込まれている。特に、学生時代に聴いていたシングル曲は、僕にとって青春の輝きそのものだ。

《切りとったメロディー繰り返した/忘れないように/言葉よりも大切なもの  ここにはあるから》("言葉より大切なもの")
《止まった時間は夕暮れ  僕らの未来を照らす/二度と戻れない夜の中で/いつまでも語り続ける  永久と希望の歌を/たとえ今だけと分かっていても》("PIKA★★NCHI DOUBLE")
《伝えきれぬ愛しさは/花になって  街に降って/どこにいても君を"ここ"に感じてる》("Love so sweet")

こんなにもでっかい「愛」と「希望」を、約20年にわたって歌い続けてきたグループは、広い世界を見渡しても、長い歴史を振り返っても、きっと嵐だけだ。そのあまりにも大きな存在に、一言で言えば、憧れていた。


そして、今回の一件を受けて、自分がなぜ編集者になろうと思ったのか、思い出した。

2013年、就職活動を行なっていた時、僕は、テレビ局や映画会社を中心に選考を進めていた。(フジテレビのインターンに参加した時、主演・相葉雅紀のテレビドラマ『ラストホープ』の撮影現場にお邪魔させて頂いたことは、一生忘れられない思い出になった。)

決して、はじめから編集者を目指していたわけではなかった。それでも、エンターテイメント業界に進みたいという思いを固めた後、一社だけ選考を進めていた出版社があった。

それが、僕が新卒で入社することになるロッキング・オンだった。学生時代の僕は、映画雑誌「CUT」「H」を愛読していた。特に心を掴まれたのが、嵐のメンバーへのインタビュー記事。本人の無意識にまで深く切り込んでいく批評性。ファンの想いを代弁して伝えながら、心からの言葉を引き出していく取材過程は、もはやスリリングでさえあった。そして、確かな信頼関係のもと、国民的スターである嵐のメンバーと対等に渡り合う編集者に、自分もなってみたいと思った。

結果として、入社後は、邦楽ロック雑誌の編集を担当。現在は、新しいキャリアパスを目指して、ロッキング・オンを退職してしまったけれど、嵐の5人への憧れに突き動かされて、編集者の道を目指したことは、一切後悔していない。むしろ今も、編集者/ライターとしてのキャリアを深めていく先に、いつかチャンスが巡ってくると信じながら、一日一日を大切にしたいと思っている。


そして日曜、記者会見を見て、5人の決断について知った。冒頭にも述べたように、こんな形で「いつか」が来るとは思っていなかった。

しかし、語弊を恐れずに言えば、その時、心の奥底から込み上げてきた感情は、とても温かな安心感だった。寂しさや、驚きや、切なさや、悲しみ、いろいろな感情が一気に押し寄せてきたのに、なぜだか不思議と安心した。更に言ってしまえば、今回の記者会見を笑顔で見ることができて、涙が出るほど嬉しかった。それはきっと、嵐の5人が、嘘も偽りもないありのままの言葉を、いつもと同じように誠実に届けてくれたから。

何より心を動かされたのは、「過去最大に、嵐の絆は太くなったと思います。」という櫻井翔の言葉。気付けば、心の中の不安は綺麗に拭い去られていた。

聡明でいて、誰よりも謙虚、冷静さの中にも親近感とユーモアを感じさせる5人の佇まいは、やはりどこまでも信頼できる。あまりにも完璧で、どこまでも彼ららしい記者会見に、ただただ心が震えた。


2020年末までの約2年間。嵐の5人が出した結論を受け入れるまでの時間が、僕たちには与えられている。

ゆっくりでいいから、人生を彩り、称え、導いてくれた彼らへの感謝の気持ちを、こうして言葉にして伝えていきたい。

そして、何年後になるかは分からないけれど、いつか、5人が笑顔で再出発を果たす時が来たら、またこうして自分史と重ねながら、彼らの輝かしい歩みについて書きたい。



※本記事は、2019年1月30日に「tsuyopongram」に掲載された記事を転載したものです。

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