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だから僕は、Dragon Ashに「ありがとう」を伝え続けたい。

「ロック」とは、何だろう。

時代が変わるたびに、新しいムーブメントが生まれ、再定義が為され、その確立を前にして、カウンターによる揺り戻しが起きる。一つのディケイドが幕を閉じるたびに、その価値観は、思想は、存在意義はリセットされ、また、荒涼たる地点から、次の物語が始まる。

色も、形も、その正しさの根拠も分からない。それでも、その得体の知れない何かを、僕たちは「ロック」と呼び、求める。

そして、その本能が正しいことを、その歩みこそが誇らしいものであることを、僕たちリスナーに懸命に伝え続けてくれるバンドがいる。僕にとって、そんなロックバンドの一つがDragon Ashだ。


言うまでもなく、彼らの物語は、決して順風満帆だったわけではない。ヒップホップ、R&B、そしてパンクからラテンまで。他ジャンルとの新結合を繰り返しながら、日本の音楽シーンに「ミクスチャー・ロック」の精神を定着させる。その道のりには、数え切れないほどの苦難や葛藤があったはずだ。そして何より、2012年にはIKUZONEとの永遠の別れもあった。

それでも、彼らは"The Show Must Go On"の精神を高らかに掲げ続けた。迷い、傷付き、挫け、泥だらけになっても、それでも「続いていく」ことにこそ一つの使命を見出し、その足を止めなかった。(20年連続で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」のGRASS STAGEに立ち続けてきたバンドは、Dragon Ashの他にいない。)

きっと、これからもDragon Ashの「ロック」は続いていく。いつだって、今日という日が、革命前夜。ここから始まる新章を、僕はいつまでもリアルタイムで見届け続けたい。

そして願わくば、一人でも多くの人に彼らの「ロック」に出会って欲しい。だからこそ、今回のサブスク解禁の報せが、たまらなく嬉しいのだ。

いつでも、ボタン一つで、あらゆる過去作に瞬時にアクセスできる。その内の一曲が、その人の音楽人生を不可逆的に変えてしまうことがあるかもしれない。一人の音楽リスナーとして、こんなにも素晴らしい時代はないと思う。


そして、それでも。

Dragon Ashは、孤高のロックバンドとして、これからもステージの上で闘い続けるだろう。その生き様、その闘魂こそが、いつだって「ロック」を進化させていくことを、全身全霊で証明くれるだろう。

「ロック」とは、何だろう。

また、いつの日か道に迷いかけた時、僕たちロックリスナーを照らしてくれるのは、きっと彼らだ。

だから僕は、Dragon Ashに、最大限の愛と敬意、そして感謝を伝え続けていきたい。





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