見出し画像

夏フェス、完全復活。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023」を振り返る。

【8/5(土)6(日)11(木)12(金)13(土)「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023」@ 蘇我スポーツ公園】

僕は、2021年以降、コロナ禍で開催されてきたJフェス(春の「JAPAN JAM」、夏の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」、年末の「COUNTDOWN JAPAN」の総称)に毎回足を運び続けてきました。

振り返れば、一昨年の「JAPAN JAM 2021」は、開催の是非を巡って様々な立場から意見が飛び交う中での4日間となり、会場には一定の緊張感が漂っていました。その年の夏フェスは中止となり、年末の「COUNTDOWN JAPAN 21/22」は、例年とは異なる1ステージでの開催でした。ただ会場には、出演アーティストやスタッフたちの「音楽を止めない」「フェスを止めない」という力強い意志がみなぎっていました。

そして、次第にコロナ禍におけるフェスのスタンダードが世の中に広く確立されていく中で、2022年の各フェスにおいては、フェス独自の祝祭感が会場に戻り始めていきました。いまだに新型コロナウイルスは完全に収束してはいませんが、様々な制限が徐々に撤廃されていき、日本のライブシーンは少しずつポスト・コロナ時代へ向けて懸命に前進し続けてきました。

このように定点観測し続けてきた身からすると、今年の「JAPAN JAM 2023」で、ついに観客の声出しが全面解禁されたことは本当に感動的なことでしたし、その流れの中で開催された今夏の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023」では、2019年以来4年ぶりに、いつもの夏フェスの光景が戻ってくる形となりました。

一人ひとりの観客がそれぞれの生活の中で大切に聴き込んできた歌に、たくさんの歓声や歌声が重なっていく。その光景がいかに尊いものであるか。コロナ禍を過ごしてきた音楽リスナーであれば、きっと誰もが切実な実感をもって感じていると思います。だからこそ今年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023」は、「いつもの夏フェスを取り戻す」以上に、深く輝かしい意義があったのだと思います。

この夏をもってして、2020年から始まった「コロナとの闘い」というテーマには一つの区切りをつけ、これから音楽シーン/ライブシーンは、「2020年代をどのようなディケイドにしていくか」という次の大きなテーマへと向かっていきます。

この夏、初めて夏フェスに参加したという新しい世代の観客も非常に多く、それは出演アーティストも同様です。僕は、8月5日、6日のHILLSIDE STAGE、11日のPARK STAGEに出演するアーティストのライブレポートを担当しました。(現在発売中の雑誌「ROCKIN'ON JAPAN」10月号の別冊付録に掲載されています。ぜひ、ご覧頂けたら嬉しいです。)その3日間を含めた全5日間を通して、たくさんの新世代アーティストたちの躍進を肌で感じることができました。

既にメインステージを堂々と掌握しているアーティストがいれば、来年はメインステージに立つことを高らかに宣言するアーティストもいました。そしてそのアクトにはたくさんの新しい世代の観客が集まっていて、2020年代のシーンは、このようにして力強く更新されていくのだと感じました。コロナによって足止めをくらいましたが、まだ2020年代は始まったばかり。これから先の未来が楽しみで仕方ありません。

20年以上の歴史を誇る「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」においては、伝説として語り継がれるアクトがいくつも生まれてきました。今年のラインナップの中で特筆すべきは、やはり、初出演を果たした関ジャニ∞だと思います。彼らは本来、昨年に初出演する予定でしたが、出演予定日の開催が台風で中止となってしまいました。中止の報せを受けた直後、急遽インスタライブで「ふりむくわけにはいかないぜ」を歌い届けてくれたあの日から約1年、今年、ついに5人は悲願の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」のステージに立ちました。

超超超満員のGRASS STAGE。13曲中11曲はバンドスタイルでのパフォーマンス。バンドマンとしての熱き気概と、アイドルとしての揺るがぬ矜持。5人はその両方を高らかに示しながら、初めて関ジャニ∞のライブを観る観客がほとんどだった状況にもかかわらず、エンターテイナーとしての地力で完全なホーム戦にもっていきました。何より、安田章大の「あなたたちは大切なメンバーだ!」という熱く温かな言葉が忘れられません。総じて、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の歴史に刻まれるべき、本当に素晴らしいアクトだったと思います。

最後に、5日間で、僕がTwitterに投稿した各日のトリのアクトの現場レポートをまとめてお届けします。当日の会場の空気が、少しでもリアルな手触りをもって伝わったら嬉しいです。


●back number

あらゆる人々の期待に全て応えていく全力のセットリスト。彼らが誇る国民的ソングの多さたるや。真夏にもかかわらず、「クリスマスソング」も歌ってくれた。コロナ禍を経た今、改めて歌われた「水平線」、本当に感動的だった。


●Ado

真夏の野外に轟く時代の声、時代の唄。圧巻。僕自身、ステージを観たのは昨年末のCDJに続き2度目だったけど、今回も終始、何かとんでもないものを目撃しているという高揚感が止まらなかった。「世界へ挑戦していく」という宣言、痺れました。


●RADWIMPS

北米&ヨーロッパツアー、国内ライブハウスツアー、アジアツアーを経て、ライブバンドとして完全に覚醒した状態で臨んだステージ、圧巻でした。特に「ハイパーベンチレイション」では、その壮絶さのあまり会場が何度もどよめいた。


●あいみょん

昨年の出演時と同じく、今回もほとんどMCなし。喋る代わりに次々と新旧の大ヒット曲を歌い届けていき、それがちゃんと観客との豊かなライブコミュニケーションになっていた。これこそ、楽曲の力。新曲「愛の花」も満開でした。


●YOASOBI

満を持して、ついにアンコールで披露された「アイドル」。先日のワンマンの時も凄かったけど、フェスのステージにおける爆発力はまた格別だった。どよめきや悲鳴にも似た歓声が巻き起こりまくる会場を鮮やかに完全制圧していました。



【関連記事】


最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。 これからも引き続き、「音楽」と「映画」を「言葉」にして綴っていきます。共感してくださった方は、フォロー/サポートをして頂けたら嬉しいです。 もしサポートを頂けた場合は、新しく「言葉」を綴ることで、全力でご期待に応えていきます。