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ストーリーカテゴリー5「ディザスター・ムービー」

物語は、「主人公の行動」によってストーリーのカテゴリーが分類されます。そのカテゴリーごとにさらに具体的な主人公の行動の種類によってストーリーのタイプ(性質、面白さ、内容、構成)が決定されるのです。
今回は、主人公がとんでもないことに巻き込まれる物語である「ディザスター・ムービー」について、ご紹介したいと思います。

「ディザスター・ムービー」とはどんな物語か

「ディザスター・ムービー」の“ディザスター”とは厄災、災害、不幸などを意味する言葉であり、「ディザスター・ムービー」の物語は、日常で平和に暮らしていたのに突如「とんでもないこと」に巻き込まれてしまった主人公を描く物語です。
主人公を襲う「とんでもないこと」の内容によって、次のような3種類のストーリータイプに分類できます。

[5]「ディザスター・ムービー」
 タイプ22「大災害、大事故に立ち向かう人々」
 タイプ23「大切な日に大事件に遭うツイてないヤツ」
 タイプ24「人生のチャレンジ」

タイプ22「大災害、大事故に立ち向かう人々」は、「大災害」や「大事故」に巻き込まれる主人公を描く物語です。

タイプ23「大切な日に大事件に遭うツイてないヤツ」は、主人公の人生にとって大事な日、大切な日に運悪く「大事件」に巻き込まれてしまう、そんなツイてない主人公を描く物語です。

タイプ24「人生のチャレンジ」は、病気や怪我、対人関係の破綻、失業や貧困など、人生で降りかかるさまざまな試練に遭う主人公を描く物語です。

大災害や大事故、あるいは大事件をモチーフにしたストーリーが思い浮かんでいる、または人生の試練に遭う主人公の姿が浮かんでいるならば、この「ディザスター・ムービー」の物語がピッタリです。

「ディザスター・ムービー」のストーリー構造

このディザスター・ムービーは、主人公が「とんでもないことに巻き込まれる」物語ですが、ストーリーをつくる場合はとんでもない事に巻き込まれた状況の主人公が何をしようとするのか、その結果どうなるのかを描く必要があります。
ですから、この物語を構想する場合は、「大災害に襲われた主人公が何をする物語なのか」「大事故に巻き込まれた主人公は、何をするのか」「大事件に巻き込まれた主人公は、どうするのか」「人生のチャレンジが降り掛かってきたとき、主人公はどんな対応を取るのか」といった、自分が被った厄災に対して「主人公が何をする物語なのか」をまず決めましょう。

このディザスター・ムービーのストーリーは、「主人公が厄災に巻き込まれるところ」「巻き込まれた厄災に対して行う主人公の行動の経過、その行方」という2つの要素を描く構造になるのです。

「ディザスター・ムービー」のつくり方

このカテゴリーの物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにします。

ディザスター・ムービーに必要な3つの要素
1.「主人公」
2.「とんでもない出来事」
3.「主人公の行動」

ディザスター・ムービーの面白さの1つは、「どんな主人公が、どんな出来事に巻き込まれるか、その状況で何をするのか」の組み合わせにあります。

どんな「厄災」に巻き込まれるかで物語の内容は決まりますが、どんな人物が巻き込まれるかでも、物語で描かれる内容が変化するのです。
たとえば、「地球に隕石が落下する」という災害に巻き込まれる物語を描くとして、主人公が「街の一般的な市民」と「大統領」とでは、現れる物語が変わってきます。
また、巻き込まれる厄災がどんなものか、巻き込まれた主人公がどんな人物かによって、その状況で主人公の取る行動はおのずと決まってきます。「火山の噴火」に襲われる物語では、主人公が「学者や科学者」であれば、噴火の前兆を察知して危険性を訴える行動の物語が描かれ、「レスキュー隊員」であれば、噴火の被害者たちを救出する物語になるでしょう。

厄災、主人公の人物像、主人公の行動、どこから発想しても構いません。それらの3つの組み合わせにおいて、面白いと思う組み合わせを心がけてみてください。
もし面白さが足りないと思ったら、「厄災はそのままで主人公を変えてみる」とか「主人公はそのままで巻き込まれる厄災を別のものにしてみる」などの、3つの組み合わせのうちの1つを試しに変えてみると、思わぬ面白さを発見できるかもしれません。

クライマックスでは、とにかく絶体絶命の大ピンチを!

他の物語と同様に、ディザスター・ムービーでもクライマックスでは、主人公が「絶体絶命の大ピンチ」に陥ります。
ディザスター・ムービーにおける最大のピンチは、大きく次の3つになります。

・「厄災の最大被害の発生、最後の破滅」
・「厄災を解決するための対策のトラブルや危機or打つ手がなくなる」
・「避難、救出に関する機器」

ディザスター・ムービーのクライマックスは、「厄災の種類、その被害」と「主人公の行動」によって、描かれるピンチの種類が変わります。
厄災や行動に即して、厄災の最大の破壊、被害、危機と、主人公の行動の結末を、クライマックスでは描くようにしましょう。

また主人公は、厄災に遭うこと、またはそれを乗り越えることによって、大切なことを学んで、成長します。この成長の要素もしっかり設定しましょう。

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