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ストーリータイプ12「組織の腐敗と闘う一匹狼」

物語のストーリーは、「主人公の行動」によって7つのカテゴリー分類ごとに、計24の「ストーリータイプ(物語類型)」があります。

今回は「主人公が戦う、争う、問題を解決する」バトル/トラブルシューティングのカテゴリーに属するストーリータイプ12「組織の腐敗と闘う一匹狼」をご紹介したいと思います。

「組織の腐敗と闘う一匹狼」はどんな物語か?

「組織の腐敗と闘う一匹狼」は、バトル/トラブルシューティングのカテゴリーのストーリータイプの中では、他のストーリータイプとは大きく異る特徴を持っている物語です。

このストーリータイプは、主人公にとって「倒すべき敵」とは別に、もう1つの「本当の敵」が登場し、その敵との戦いの物語が描かれます。

この「もう1つの本当の敵」とは「主人公が所属する組織の上層部」となります。この上層部は「腐敗」しており、主人公と「倒すべきの戦い」によって自分たちの腐敗と不正、悪事が明るみに出ることを恐れて、主人公の戦いを妨害します。
そのため、主人公は「倒すべき敵」を倒すためには、本当の敵である「主人公が所属する組織の腐敗した上層部」とも戦わなければならないのです。

本当の敵である組織の上層部にたった1人で挑んでいく主人公の姿は、同じようにたった1人で正しいことのために戦ったり、行動する読者の共感を呼び、大きな支持を得られるストーリータイプです。

このストーリータイプでつくられている代表的な作品

このストーリータイプでつくられている既存の作品には、次のようなものがあります。

・TVドラマ、映画『相棒』シリーズ(一部エピソード)


・映画『機動警察パトレイバー 劇場版』『機動警察パトレイバー2 the Movie』


小説『吉敷竹史』シリーズ


ゲーム『FINAL FANTASY TACTICS 獅子戦争』

……などなど。

「組織の腐敗と闘う一匹狼」のつくり方

この物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにしましょう。

1.「一匹狼」の主人公。
2.主人公の「倒すべき敵」と「主人公の組織との関わり」。
3.主人公が所属する組織の「腐敗した上層部」と、過去に上層部が犯した「不正や悪行」、「主人公に対する妨害、圧力」。

このストーリータイプの主人公は「何らかの組織に所属している人物」であり、かつその組織内である意味「浮いている」、誰とも群れない、長いものには決して巻かれない確固としている「一匹狼的人物」になります。
この主人公は不正を許さず、たった1人でも正しいことを貫き通す人物です。それ故に、腐敗した組織にとっては天敵のような存在であり、組織上層部から煙たがられ、冷遇されています。
そんな組織の一員でありながら、ちょっとはみ出したような主人公を設定しましょう。

また主人公と主人公が所属する組織にとって「倒すべき敵」も設定しましょう。この敵との戦いから、ストーリーが始まります。
この「倒すべき敵」は、じつは「主人公が所属する組織の上層部が過去に犯した悪事」と何らかの関係性を持っている存在であり、そのことが原因で現在この敵が事件を引き起こしていきます。
この「倒すべき敵」との関わりは、主人公の所属する組織にとって絶対にバレてはいけない機密事項であり、それが明るみに出ることで「過去に組織の行った悪事」が暴露されてしまうのです。
そんな組織と関係性を持ち、さらに事件を引き起こす「主人公が倒すべき敵」を設定しましょう。

先に述べましたが、このストーリータイプでの「本当の敵」は「主人公が所属する組織の腐敗した上層部」となります。
この腐敗した上層部は、過去に大きな不正や悪事を犯しており、それをずっと隠蔽しています。また、その隠蔽のために口封じのための殺人など、さらなる悪事を働いている場合もあります。
もちろん、主人公を含めた組織の下位の構成員たちは悪事には加担していません。
この「本当の敵」である組織の「腐った上層部やその腐りきったトップ」がどんな存在なのか、またこれらの者たちが「過去に犯した不正や悪行」、そして、そのことに気づく主人公に対する「妨害工作」がどんなものなのかを設定しましょう。

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この「組織の腐敗と闘う一匹狼」についてさらにお知りになりたいという方は、拙著『ストーリータイプコレクション[3]「バトル/トラブルシューティング編(下)」3種 「プロット力」向上トレーニング』にて、くわしく解説されています。
今回ご紹介した「組織の腐敗と闘う一匹狼」の特徴や作成のコツ、そしてこのストーリータイプの物語を組み立てるうえで土台として使える汎用プロットテンプレート「ストーリーフレーム」も収録しています。
ご興味のある方は、ぜひ合わせてご一読ください。



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