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なぜ椎葉村図書館「ぶん文Bun」の著名人コラボイベントは「地元のため」になるのか

🖊作家・原田ひ香さんと、小説紹介クリエイター・けんごさんにお越しいただきます

この記事を書こうとしている10月26日、僕は湧き立ち浮き足立っている。なんと言ったって、明後日10月28日には作家・原田ひ香さんと、小説紹介クリエイター・けんごさんが椎葉村にやってくるのだ。

椎葉村図書館「ぶん文Bun」(宮崎県・椎葉村の公共図書館)では、10月28日15時からお二人のトークショー「なぜ小説に生きるのか」を開催する。

原田ひ香さんとは、第4回宮崎本大賞にて『三千円の使いかた』が大賞に輝いて以来のご縁だ。僕が第5回宮崎本大賞の実行委員長を務めていることもあり、椎葉村へのご来村を熱意高くお願いした。

けんごさんについては、原田ひ香さんとのトークショーテーマを「なぜ小説に生きるのか」に設定したかったことや、宮崎本大賞のコンセプトが描く「新たに本を手に取ってほしい読者層」が若年層であることなどがあって、この機会に飛び込みでお声がけをさせていただいた。

(宮崎本大賞の「ねらい」はnoteにちょびちょび書いています)

企画から実現までの期間も短いなか、何よりもスケジュールご多用のなかこんな日本一級の山奥までお越しいただくお二方には、まだイベント本番が始まってすらいないのだけれど既に頭が上がらない。

さらに言えば「こんな日本一級の山奥」であるのは、ゲストのお二方のみならずご来場のお客さまにとってもそうだ。既にご予約をいただいている多くの皆様におかれては、どうかご無事に椎葉村までお越しいただきたいと願う。
(事前のメールで、台風被害に伴う迂回路のことやら夕食を食べる場所がないやらATMがないやら、いろいろと脅かすようなことを申し上げてすみません(笑))

「多くの皆様」と申し上げたが、そりゃもう、当然、都会で開催されるイベントとは比べ物にならないくらいにご来客が少ない。桁が違う。

そうするとどうしても費用対効果というか「ご来客が少ないのになぜやるのか?」みたいな話になってくるのだけれど、僕はこの点において「一人でも多くの方にご覧いただきたく・・・」という思考は持ち合わせていない。それは平和で温厚で幸せで有意義な考えではあるけれど、それだけではなかなか「いい仕事」にはならないからだ。そうすると、ゲストの方々にもちょっと物足りないところを感じさせてしまうことになるだろう。

今回のトークショー「なぜ小説に生きるのか」は、日本三大秘境椎葉村で開催するという難点を克服するためにインスタグラムライブでの同時配信も決行する。椎葉村が遠すぎて来られないという方にとっても、このようなかたちであれば現場の興奮をお伝えすることができるだろう。

インスタグラムライブの配信は10月28日15時から。小説紹介クリエイター・けんごさんのアカウントか、交流拠点施設Katerieのアカウントをフォローしてお待ちください。

📷けんごさんインスタグラム

📷Katerieインスタグラム

・・・でも、こんな声が聞こえてきそうでもある。

公共図書館なんだから、地元の方の参加数だけを考えるべきではないか。自治体の税金で運営されているんだから。

実際、公共図書館のイベントというのはいつだって地元の方優先であるし、それはそれで「地元の方」がたくさんいらっしゃる土地の満席御礼イベントの場合はいいんだろうと思う。

しかし我が村椎葉村はそうではない。

もうとにかくアクセスが悪い。最寄りのコンビニまでは車で40分だ。買い物に行くために車で2時間走るのはZARA、あ、最寄りのZARAまでは2時間かかる。マクドナルドは1.5時間程度。スターバックスもそれくらいだ。

人口は約2,300人とまあまあいるけれど、これが東京23区くらいの広さの村に住んでいるから村内ですらアクセスが悪い。端から端まで車ですると、ひどい場合は2時間くらいかかる。そんな村の96%程度が「ヤマ」であり、つまりは人が住むことができる面積は5%以下なのだ。

日本三大秘境。日本最高レベルの過疎の村。

そんな場所で「地元の方だけのための」イベントを開催しようとしたら、当然のことながら作家さんやTikTokerさんにお越しいただくことは難しい。そもそも、コンテンツマーケティングの観点からして大外れだ。

🖊生みたいのは「お前の村すごいな」

じゃあ僕たちは二日後、10月28日に大外れなことを開催しようとしているのか。

そりゃ司会を務める僕がおおやらかしをしたりしたら(フラグやめろ!)大変なことになってしまうけれど、このトークショーはある意味もうすでに成功しているのだと僕は思っている。

大事なのは、秘境の村の図書館でこのようなイベントを開催することそのものなのだ。それがウェブに載り、SNSに載り、原田ひ香さんやけんごさんのファンの方々に届く。イベントの様子がインスタライブで放送され、けんごさんのフォロワーさんたちに届く。

若年層を中心とした、これまで椎葉村のことを知らなかった方々に新たな情報として「ド田舎だけど楽し気な、なぜかイケてる図書館をつくってる村」の情報は届く。

こうした情報は、もちろん近隣市町村(宮崎市、日向市、諸塚村、五ヶ瀬町、美郷町、日之影町などなど椎葉村へよくいらっしゃるお客さまのエリア)に届くことで新たな来客が生まれるという効果も生む。

しかし、それははっきり言って「本筋ではない」のだ。

僕が狙うのは、東京や大阪や名古屋など、椎葉村を遠きにありて思う椎葉村出身・椎葉村に縁のある方々である。そうした方々に、著名な作家さんや著名人が楽し気に椎葉でお話しされている様子をお届けする。

そうすることで、ひとつには「うちの村、やっぱすごいんだなぁ」と思っていただけるだろう。

そしてそれ以上に僕が狙うのが、そうした都会に住まう椎葉ルーツの方々の周辺を取り巻く人々の口をつく「お前の村すごいな」という言葉や想いである。

それはまさに、椎葉村図書館「ぶん文Bun」を発生装置としたコンテンツマーケティングによる「うちの村すごいかもしれん」という、シビック・プライドの醸成である。

自分でも密かに抱えている「地元愛」が、普段仲良くしている都会のイケてる友人たちからも認められるというのは、嬉しい。最近だと、椎葉村図書館発のキャッチコピーコンテストに「あの」QuizKnockさんが応募されていたというYouTube動画のコメント欄でもそんな現象が起きていた。

自分の村の図書館の企画がQuizKnockさんに取り上げられて、さらにはコメント欄で全国様々な方々から言及されている。やっぱり、うちの村はすごいかもしれん。そんな風に思うきっかけになるに十分なコンテンツだった。

椎葉プライド、もっていこうぜ。

そんなことを伝えるために、僕は公共図書館を使っていかに話題創出を図るかを狙いながら企画仕事をすすめている。

演出するのは「遠くて身近な椎葉村」。

いつだってどこだって届く時代だからこそ、届けたい人に届けたいことを考え続けるのが僕の仕事なのだから。

・・・

10/28の準備もあるのでいかんせん拙速気味な書きぶりになってしまったが、とにかく皆様にはインスタライブでもなんでもいいから「椎葉村という秘境の村には文化度の高い個性的でイケてる語り場がある」という事実を広めてほしい。

というか単純に、原田ひ香さんとけんごさんが対談しているという超レアなシーンを無料で拝めてしまうイベントをご用意しましたのでぜひ観てほしい。

遠方の方、ご予約をされていない方はぜひ、けんごさんのインスタグラム交流拠点施設Katerieのインスタグラムからご覧ください!