見出し画像

語り継ぐとするか……3月16日(水)の「ラヴィット!」OPをな……

3月16日(水)の「ラヴィット!」OPは神懸っていた。

百聞は一見にしかずなので、未見の方にはとりあえず見ていただきたい。
まず、「渋沢栄一の誕生日だから」という理由で突如開催される「1万円ぶんのプレゼント交換会」っていう企画にもジワる。そもそもどういうことなんだ……? と、若干の腑に落ちなさを感じながらも、まあまあ和気あいあいと交換会は進行する。細かいツッコミどころはその都度回収され、その面で、特にいつもの「ラヴィット!」と相違ないように思えた。
のだが……。
雲行きが怪しくなってきたのは森田さんのターンから。
森田さんがデカいジャケットを着ていること、そしてポロっと口走ってしまうあるひとことが伏線になるとはな……!

そこからは非常に美しい流れで、運命の数奇を感じた。森田さんのひとことがトリガーになり、その言葉を悪戯好きの神様にうっかり聞かれてしまったので、あの結末に着地したような気すらする。

全国民必ずご覧いただきたいのだが、平子さんのターンの際、違和感が蓄積され続けていたこのプレゼント交換会は、あるひとつのクライマックスを迎える。
森田さんのターン以降、どの出来事が欠けてもあの結末に着地しなかっただろうし、バタフライエフェクトってこういうことか!(違うかw)というのをまざまざと見せつけられて鳥肌がたった。
一見、露悪的な森田さんの振る舞いと、紳士的な平子さんの振る舞いのコントラストで、単純な対比のように思えたにもかかわらず、その振る舞いとは矛盾した【事件】をジェントルマンであるがゆえに悪意なく起こしてしまう平子さん……(しかもあの結末に至る前の最後の台詞は、妻への愛を語っていた。紳士モードが臨界点を越えたのでああなってしまったのか?)という展開は、もう完璧な美しさだった。

くじはどの順番で引いてもおなじ確率になるのだが、もちろんそれは心理的な駆け引きがない、普通にランダムに引いた場合のことである。まさかくじがこんな心理戦になるとは。そしてその心理戦が軋轢wを生み、とんでもない結末に着地するとは……。緊張が決壊した瞬間だ。

私は、笑いの神は賞レースにしかいないと思っていた。神様に会える場所は、「ガチ」がぶつかり合う賞レースだけだと。その神聖さが漫才に吹き込まれ、出場者は誇り高き存在となる……。
しかしそんな考えは3月16日(水)の朝には砕け散った。

スタジオにもいるのね? 神様。
で、ちょっと(かなり)、悪戯好きなのね??

それぞれがそれぞれの役割を演じることで、シビアではないがある意味での「ガチ」が拮抗し、コントロールできない状況となり、出来事が勝手に動きだすこの感じ。運命のピースがハマっていく感じ。
そしてこれが生放送、リアルタイムで進行するさまを見せられて、感動しない国民はいないだろう。
いや……本当に神懸っていました。ミラクルっすわ……。

そしてあの着地点の素晴らしいところは、出演者によるこれまでのドタバタ系のお笑いの経験(劇場的なコメディ)を現実で応用し、それにより一気にこの異常かつ、少し怖い奇跡的な展開を、現実へと引き戻したことである。こうして全員が物語の外にはじき出され、だからこそあのヤバイ結末をリセットできるというロジックだ。自席からフレームインすることで、デウスエクスマキナとして自らの身体(とデカすぎる服)を使う。
で、これを本能的に計算して行ったのは、見取り図、森田さん、柴田さん、そして川島さんという芸人たちである。私が特に気になったのが、我先に飛び出してきたリリーさん、そしてフレームインした盛山さんがカメラを見つめていたことだ。よくやられているボケであるが、カメラを意識するのを見せることで「これでもう、ここで行われていることはベタなものではなくメタな物語であるので、怖い結末だけど大丈夫ですよ」というメッセージになる。
体に染みついた基礎をとっさに実践し、見事収束させる彼らの手法に感激した。

好きだから特にそう思うのだが、見取り図はバラエティを物語に書き換えていると思う。
ともするとただの出来事として通り過ぎそうなバラエティを(別にそれで本来はいいのだけれど)、物語としてより強固なものに書き換える力がある。
もちろんロケも、そしてスタジオも。

今回はもちろん、神様に悪戯されてしまった流れであったが、それを収束させたのは彼らの人力であり、磨き上げたスキルのたまものだ。

何が言いたいかって、そりゃあもう、見取り図好き~、水曜大好き~~ってことっすわ!
そしてこの企画のきっかけの渋沢栄一、あざっす!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?