見出し画像

社会で使われている数学-数値解析の世界-③関数の近似

関数の近似

近似という言葉は、あまり聞き慣れないだろうか。
この近似というものは、有用なものである。
ここでは近似・関数の近似の意味と、関数の近似の簡単な使用例からなぜ有用なものかの理由について書く。

近似の意味

近似とは簡単に言えば、正確ではない近いもの・似ているものである。
近似した値は、主に四捨五入を使って求める
関数の近似は例えば、
$${ y=\dfrac{1}{3}x}$$
という関係式があるとき、
$${ \dfrac{1}{3}=0.3333 \cdots \fallingdotseq 0.3}$$
より、
$${ y=0.3x}$$
とするように、関係式の数字の部分を近似した値にしたものである。
この関数の近似は、数学もだが物理の計算でもよく使われている。
では、この正確ではない関数の近似が、なぜ有用なものなのか
これについて、例題を使って書いていく。

例題

前回と同じように家を買おうと思い、土地を買うことを考える。
今回は$${ 1m^2}$$あたり$${ 20}$$万円の土地、$${ 1}$$坪あたり$${ 70}$$万円の土地のどちらが高いかを求める。
これを求めるため、関数・関数の近似を使って考えてみよう。
以下で、買いたい土地の広さを$${ x[m^2]}$$、土地の代金を$${ y[}$$十万円$${ ]}$$とする。
また、$${ 1}$$坪あたり$${ \dfrac{400}{121}[m^2]}$$とする。

使用例

まず$${ 1m^2}$$あたり$${ 20}$$万円の土地は、前回と同じようにして関係式は、
$${ y=2x}$$
となりグラフは、

となる。
次に、$${ 1}$$坪あたり$${ 70}$$万円の土地について考えよう。
$${ 1}$$坪あたり$${ \dfrac{400}{121}[m^2]}$$なので、
$${ \dfrac{400}{121}[m^2]}$$あたり$${ 7[}$$十万円$${ ]}$$(70万円)となり、
$${ 1[m^2]}$$あたり$${\dfrac{847}{400}[}$$十万円$${ ]}$$となるので関係式は、
$${ y=\dfrac{847}{400} x}$$
となる。
これをグラフに青線で書き加えると、

となる。
このグラフから、青線が黒線より上にあるので、$${ 1}$$坪あたり$${ 70}$$万円の土地のほうが高いことがわかる
この$${ 1}$$坪あたり$${ 70}$$万円の土地について考えるとき、近似を使って計算を簡単にしてみよう。
$${ 1}$$坪あたり$${ \dfrac{400}{121}[m^2]}$$なので、
$${ \dfrac{400}{121}=3.3057 \cdots \fallingdotseq 3.3 }$$
より、$${ 1}$$坪あたり$${ 3.3[m^2]}$$と近似する
このとき、$${ 3.3[m^2]}$$あたり$${ 7[}$$十万円$${ ]}$$(70万円)となり、
$${ 1[m^2]}$$あたり$${\dfrac{7}{3.3}[}$$十万円$${ ]}$$となる。
$${\dfrac{7}{3.3}=2.1212 \cdots \fallingdotseq 2.1 }$$
となるので、ここでも近似をして、
$${ 1[m^2]}$$あたり$${2.1[}$$十万円$${ ]}$$となる。
よって関係式は、
$${ y=2.1 x}$$
となる。
これをグラフに赤の点線で書き加えると、

となる。
このグラフからも、赤の点線が黒線より上にあるので、$${ 1}$$坪あたり$${ 70}$$万円の土地のほうが高いことがわかる
さらに青線と赤の点線が、ほぼ重なっているので、近似をしてもほとんど変わらないことがわかる。
このことから、近似をして計算を簡単にすることができるため、有用なものである

まとめ

ここでは近似・関数の近似の意味、関数の近似の簡単な使用例について書いた。
ここを読んでわかって欲しいことは、関数の近似が有用なものであることである。
理由は、近似をすると計算を簡単にすることができるからである。
今回の簡単な例からでも、近似をすると計算が簡単になる。
複雑な関係式のときは、近似をしないと計算ができない場合もある。

ここでは、関数の近似が有用なものであるを覚え、次回以降を読んでいただきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?