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3月の中三へ-後編-

今回も、4月から高校生となる人達へ向けて高校数学を学ぶために知ってたらいいなと思うことを書いていこうと思います。
今回でラストです。
前回と同様に今回も、机に向かって読んで欲しいとは思いません
なにかの片手間にでも、気楽に読んでみて欲しいと思います。
ただし、ノートとペンを使ってやって欲しいことがあります。
この部分は、ぜひやってみてください

一次関数の変域

今回は一次関数の変域を扱います。
次の、(1)から(5)までのグラフを書き$${ y}$$の変域を求めてください。
$${ x}$$の変域は$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$とし、$${ a,b}$$は定数とします。
(1)$${ y=2x+1}$$
(2)$${ y=2x-4}$$
(3)$${ y=-3x+1}$$
(4)$${ y=2x+b}$$
(5)$${ y=ax+1}$$
(1)のみ例として、最初に解きます。
この後に(2)から(5)を解いてみてください。

では、(1)を解いてみましょう。
(1)は$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、$${ y=2x+1}$$なのでグラフを書くと、

となります。
グラフから$${ x=-3}$$のとき$${ y}$$が最小、$${ x=1}$$のとき$${ y}$$が最大となります。
$${ x=-3}$$のとき$${ y=2 \times (-3)+1=-5}$$
$${ x=1}$$のとき$${ y=2 \times 1+1=3}$$
となるので$${ y}$$の変域は、
$${ -5 \leqq y \leqq 3}$$
となります。

では、$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、$${ a,b}$$は定数とし、
(2)$${ y=2x-4}$$
(3)$${ y=-3x+1}$$
(4)$${ y=2x+b}$$
(5)$${ y=ax+1}$$
の$${ y}$$の変域を求めてみてください。
ここで、(3)までは必ずできます
(4),(5)は、できなくても良いので、考えてみて自分なりの答えを出してみてください。
特に、(5)はできなくても良い問題です。

できましたか?
できれば(4)までは、できて欲しいなとは思っています。

では、(2)から解いていきましょう。
(2),(3)は(1)と同じようになるので、答えのみ書きます。
(2)は$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、$${ y=2x-4}$$なのでグラフを書くと、

となり$${ y}$$の変域は、
$${ -10 \leqq y \leqq -2}$$
(3)は$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、$${ y=-3x+1}$$なのでグラフを書くと、

となり$${ y}$$の変域は、
$${ -2 \leqq y \leqq 10}$$
ここまではできたと思います。
(4),(5)は、まず答えのみを書きます。

(4)は$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、$${ y=2x+b}$$なので$${ y}$$の変域は、
$${ b-6 \leqq y \leqq b+2}$$
(5)は$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、$${ y=ax+1}$$なので$${ y}$$の変域は、
$${ a>0}$$のとき$${ -3a+1 \leqq y \leqq a+1}$$
$${ a=0}$$のとき$${ y=1}$$
$${ a<0}$$のとき$${ a+1 \leqq y \leqq -3a+1}$$

(4)は、それでいいのかと思ったでしょう。
(5)は、意味がわからないと思います。
以下で、(4),(5)のような関数の式に$${ a,b}$$のような文字を含む場合の解説をします。
特に(5)は、わからなくてもいいので読んでみてください

文字を含む場合

まず(4)のような、$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、
$${ y=2x+b}$$の場合を考えてみましょう。
この場合は、
(1)$${ y=2x+1}$$
(2)$${ y=2x-4}$$
答えがどうだったかを思い出してみましょう。
(1),(2)は$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$で、$${ y=2x+1}$$を黒線、$${y=2x-4}$$を赤線でグラフを書くと、

となり、$${ y=2x+1,y=2x-4}$$の$${ y}$$の変域はそれぞれ、
$${ -5 \leqq y \leqq 3,-10 \leqq y \leqq -2}$$
となります。
(1),(2)の$${ y}$$の変域からわかることは、切片が変化したとき、$${ y}$$が最小・最大となるときの$${ x}$$の値が変わらないことです。
また(1),(2)のグラフからわかることは、切片が変化したとき、そのままの形で上下に動いているだけとなっていることです。
これらから$${ y=2x+b}$$を考えてみると、文字となっているところは切片$${ b}$$なので、(1),(2)と同様に考えることができます。
以上から、$${ y=2x+b}$$は$${ b}$$が変化したとき、$${y }$$が最小となるのは$${ x=-3}$$、最大となるのは$${ x=1}$$のときとなります。
また$${ y=2x+b}$$のグラフは、そのままの形で上下に動くだけとなります。
これらより、$${ y=2x+b}$$の$${ y}$$の変域は、
$${ x=-3}$$のとき$${ y=2 \times (-3)+b=b-6}$$
$${ x=1}$$のとき$${ y=2 \times 1+b=b+2}$$
となるので、
$${ b-6 \leqq y \leqq b+2}$$
となります。

次に(5)のような、$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$、
$${ y=ax+1}$$の場合を考えてみましょう。
この場合は、
(1)$${ y=2x+1}$$
(3)$${ y=-3x+1}$$
答えがどうだったかを思い出してみましょう。
(1),(3)は$${ x}$$の変域が$${ -3 \leqq x \leqq 1}$$で、$${ y=2x+1}$$を黒線、$${y=-3x+1}$$を赤線でグラフを書くと、

となり、$${ y=2x+1,y=-3x+1}$$の$${ y}$$の変域はそれぞれ、
$${ -5 \leqq y \leqq 3,-2 \leqq y \leqq 10}$$
となります。
(1),(3)の$${ y}$$の変域からわかることは、傾きが変化したとき、$${ y}$$が最小・最大となるときの$${ x}$$の値が変わることです。
また(1),(3)のグラフからわかることは、傾きが変化したとき、そのままの形で動いているだけではないことです。
これらから$${ y=ax+1}$$を考えてみると、文字となっているところは傾き$${ a}$$なので、(1),(3)と同様に考えることができます。
以上から$${ y=ax+1}$$は、

  • $${ a>0}$$のとき(1)と同様右上がりのグラフになり、$${y }$$が最小となるのは$${ x=-3}$$のとき、最大となるのは$${ x=1}$$のとき

  • $${ a<0}$$のとき(3)と同様右下がりのグラフになり、$${y }$$が最小となるのは$${ x=1}$$のとき、最大となるのは$${ x=-3}$$のとき

となります。
また$${ a=0}$$のとき、
$${ y=ax+1=0 \times x+1=1}$$
となります。
これらをまとめると、$${ y=ax+1}$$の$${ y}$$の変域は、
$${ x=-3}$$のとき$${ y=a \times (-3)+1=-3a+1}$$
$${ x=1}$$のとき$${ y=a \times 1+1=a+1}$$
となるので、
$${ a>0}$$のとき$${ -3a+1 \leqq y \leqq a+1}$$
$${ a=0}$$のとき$${ y=1}$$
$${ a<0}$$のとき$${ a+1 \leqq y \leqq -3a+1}$$
となります。

ここで、一次関数の変域を扱った理由について書きます。
この理由は、
(1)$${ y=2x+1}$$
(2)$${ y=2x-4}$$
(3)$${ y=-3x+1}$$
を誘導の問題として、
(4)$${ y=2x+b}$$
(5)$${ y=ax+1}$$
のような文字を含む場合の問題体験してもらいたかったからです。
特に(5)の答え、
$${ a>0}$$のとき$${ -3a+1 \leqq y \leqq a+1}$$
$${ a=0}$$のとき$${ y=1}$$
$${ a<0}$$のとき$${ a+1 \leqq y \leqq -3a+1}$$
のような問題は、場合分けと呼ばれる問題になります。
場合分けとは、文字通りある場合に分けて考えることです。
この場合分けは、特に高校で数学がわからなくなるところだと思います。
また、この場合分けは(4),(5)の例のように文字があれば必ずするものではありません
どこに文字があるのか、文字がどのような値になれば、どのような結果になるのか等、いろいろと考える必要があります。
このようなときは、文字にいろいろな数字を代入してみると、わかりやすくなります

まとめ

今回は、場合分けの第一歩として、一次関数の変域を扱いました。
この理由は、高校の数学を始めて全員と言えるほど急に難しくなったと感じるところだからです。
今回の記事を読んで、よくわからなかったかもしれません。
まだわからなくても良いと思います。
今すぐ理解する必要はないと思います。
この場合分けについて書いた狙いは、実際に高校で学ぶときに、
難しいところだから、特に集中して授業を受けなきゃ
と思って欲しいところです。
まずは早く体験をして欲しいと思い、場合分けについて書きました。

今後、高校で学ぶ数学は難しく感じるでしょう。
しかし、楽しさもあります。
さらに深いことを知ることができます。
数学を楽しんでいきましょう!

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