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正弦定理

正弦定理は、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}=2R}$$
となります。
この正弦定理は、長い式に感じるかもしれませんが、意外に簡単に覚えることができます。
丸暗記しなきゃと思う必要はありません。
特に、久しぶりに正弦定理を使うときに、
$${ \sin A}$$って分子?分母?
右辺は$${ 2R}$$?$${\dfrac{1}{2R}}$$?
となったことありませんか?
もし、このようなことがあっても問題ありません
正弦定理の覚え方について、話をしていきます。
まずは外接円を考えない、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}}$$
の場合を考えてから、外接円を含めた場合を考えていきます。

外接円なしの場合

まずは図形を、

とします。
このとき普通は、各点を大文字で表し、各点の正面となる辺の長さは、点を表す文字の小文字を使います
つまり、$${ AB=c,BC=a,CA=b}$$とします。
よく使う表現なので覚えておきましょう。
このとき正弦定理は、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}}$$
となります。
「結論としては、
$${\dfrac{\sin A}{a}}$$または$${\dfrac{a}{\sin A}}$$
という形が全て等しいということを覚えるだけです。」

つまり、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}}$$
または、
$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{\sin B}{b}=\dfrac{\sin C}{c}}$$
となります。
このことを解説していきます。
正弦定理の式の形で、重要なのは、

  • 正弦定理という名前の通りサインを使うこと

  •  図で点$${ A}$$とこれの正面にある辺の長さである$${ a}$$、同様に$${B}$$と$${ b}$$、$${C}$$と$${ c}$$がセットになっていること

  • $${a}$$と$${ \sin A}$$、$${b}$$と$${ \sin B}$$、$${c}$$と$${ \sin C}$$が分数になっていること

という三点です。
重要なのは、「$${a}$$や$${ \sin A}$$が分子と分母どちらなのかは、覚える必要ありません。」
特に重要なことは長さである$${ a,b,c}$$が、全て分子または分母であることです。
これは正弦定理の式、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}}$$
と、これらを全て逆数にした、
$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{\sin B}{b}=\dfrac{\sin C}{c}}$$
は、どちらでも成り立つからです。
これらをまとめると、
$${\dfrac{\sin A}{a}}$$または$${\dfrac{a}{\sin A}}$$
という形が全て等しい。
つまり、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}}$$
または
$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{\sin B}{b}=\dfrac{\sin C}{c}}$$
となり、最初に書いた結論になります。

外接円ありの場合

まずは図形を、

とします。
さっきの図に、半径$${R }$$の外接円を加えた図です。
このとき正弦定理は、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}=2R}$$
となります。
$${ R}$$の部分を除いた、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}}$$
は、さっきと同じなので、一部を取り出した、
$${\dfrac{a}{\sin A}=2R,\dfrac{b}{\sin B}=2R,\dfrac{c}{\sin C}=2R}$$
を考えてみましょう。
さらに、式の形が同じなので、
$${\dfrac{a}{\sin A}=2R}$$
についてのみ考えます。
結論としては左辺を、
$${\dfrac{a}{\sin A}}$$または$${\dfrac{\sin A}{a}}$$
としたとき、左辺の$${ a}$$を分子にしたとき、右辺の$${ 2R}$$も同じ分子にする。
左辺の$${ a}$$を分母にしたとき、右辺の$${ 2R}$$も同じ分母にする。
というように、「左辺の$${ a}$$と右辺の$${ 2R}$$の分母と分子の位置を、同じにすれば良いだけです。」
つまり、
$${\dfrac{a}{\sin A}=2R}$$または$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{1}{2R}}$$
となります。
このことを解説していきます。
まずは「$${ R}$$ではなく、$${ 2R}$$であることに注意」しましょう。
正弦定理の式、
$${\dfrac{a}{\sin A}=2R}$$
は両辺の逆数をとった、
$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{1}{2R}}$$
でも成り立ちます。
このことから、さっきと同じように左辺の分子と分母がどちらなのかは、覚える必要ありません
ですが、
$${\dfrac{a}{\sin A}=2R}$$または$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{1}{2R}}$$
は正しいが、
$${\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{1}{2R}}$$または$${\dfrac{\sin A}{a}=2R}$$
は間違いとなります。
つまり左辺によって、右辺が決まります
では、正しいほうを選べるようにするには、どうすれば良いでしょうか。
このためには、両辺の単位を考えることです。
数式では、両辺の単位が同じになります。
例えば、左辺が距離を表しているのに、右辺が速さを表しているということは、あり得ません。
式の中にある$${a, \sin A,2R}$$の単位を見てみましょう。
これらの単位は「$${a,2R}$$はメートルなどの長さ」になります。
$${\sin A}$$は三角比の値、つまり比を表しているので、単位なしとなります。
また、「$${\dfrac{1}{2R}}$$は長さの逆数」になります。
これらにより、「$${\sin A}$$は単位なし」となることに注意して考えると、「$${\dfrac{a}{\sin A}}$$の単位は長さ」となるので、
$${\dfrac{a}{\sin A}=2R}$$
というように、「右辺は単位が長さとなる$${ 2R}$$」となります。
また、「$${\dfrac{\sin A}{a}}$$の単位は長さの逆数」となるので、
$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{1}{2R}}$$
というように、「右辺は単位が長さの逆数となる$${\dfrac{1}{2R}}$$」となります。
以上により、
$${\dfrac{a}{\sin A}=2R}$$または$${\dfrac{\sin A}{a}=\dfrac{1}{2R}}$$
という正しいほうを選べるようなります。

まとめ

今回は、正弦定理の覚え方について書きました。
正弦定理の式は、見た目より覚えることが少ないと思います。
他にも、公式や定理はよく考えてみると、全て丸暗記をしなきゃいけないというわけではありません。
私自身、正弦定理は$${ a}$$や$${ 2R}$$が分母にくるのか、分子にくるのかは覚えていません。
必要がないからです。
また公式や定理を覚えるとき、単位のことを考えてみても良いと思います。
覚えるための、良い手助けになってくれる場合があります。
今回の正弦定理のように、公式や定理などは丸暗記しようとしないで、覚え方を工夫してみましょう。
暗記が得意で公式や定理などを、すぐに覚えられるような方も、今回のような内容は、知っておいて損はないと思います。
定期テストや受験など緊張したときに、正弦定理を例とするなら、「$${ 2R}$$が分母か分子か迷ったとき」に、単位を考えれば、確実に$${ 2R}$$が分子か分母どちらかがわかります。

これを見て参考になったかたは、試してみてください。




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