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イタリアでの差別について思うこと

Twitterで物議

イタリアの大学生3人が電車の中で、近くに座っていたアジア人をバカにして騒いでる件がTwitterで物議をかもしている。2回映像を見たけれど、自分に向けてされたら、と考えると悲しくて苦しい気持ちになったのでもう見ない。ここにリンクを載せるのもやめておく。あれはヘイトの連鎖が起きてしまう。

でも実は残念なことに、イタリアでは子どもだけじゃなくて、大人もお酒の場で冗談でやったりする。そういうのを日常で目にしてるから子どもも何も考えず公の場でやる。その連鎖なんだろうと思う。無念。それしか出てこない。

ヨーロッパでほぼ言われる「チネ」

わたしは、高校生や大学生くらいの子たちにチネーゼって大声で言われたことは何度かある。バスの中とか、街中で。先日は、公園で遊んでいる娘を見ていたら、ちょっと距離を置いた場所から10歳くらいの男の子が『チネーゼがいるから見て!』と言いまくってたけど無視した。学生を通り越した大のおとなからは、さすがに大声で言われたことはない。視線で感じる事は日常茶飯事だけど笑。

気にしすぎだ、とイタリア人の夫には言われる。だけど思っていても、口に出すかどうかは雲泥の差。違うな、と思うことなんて世の中にあふれている。でもそれを『排除』の対象にするのは、どう考えても間違っている。あ、この場面は自分のスタンダードとは違うんだな。それでいいやん。

実際に出くわしたら、どうしよう

Twitterで、イタリア在住歴の長い方が、次のイタリア語を差別した人に向けて言うように覚えとこう、と言っていた。なるほど。と思って早速メモしといた。

Ti denuncio alla violenza per il motivo di discriminazione razziale, Codice Penale l'articolo 604 (Seicentoquattro) bis.

刑法第604条2項、人種差別を理由とする暴力で、あなたを非難します(訴えます)。

Codice Penaleというのは刑法のことで、粛々とこれを述べるのはインパクトあるとは思う。相手がどんな反応をするかは、わからないけれど。

今後、実際に言う場面に出くわしたくもないし、出くわしたとしても、ちゃんとビビらずに自分の口から言えるかどうかもわからない。イタリア語だし噛みそう。発音悪くて意味わからん、とも言い返されそう。

見下されていると思う状況って、とても怖くて思考停止するから。でもこれ知ってるだけで、その瞬間のとっても嫌な気持ちは少しだけ鎮まると思うから。

同時に「ああ知らないんだな」と意識を変えるようにしよう。すぐに差別されたと決めつけるのも、精神的によろしくない。欧州でアジアンはマイノリティであることは、事実ではある。

あの大学生を見て悲しくなる理由

イタリア人でも困っていたら助けてくれたり、日本が大好きだと言って旅行したことを話してくれたり。『また日本に行きたい』と言ってくれたり。

バカにしたり排除しようとする人だけじゃないのをわたしは知ってる。
だからこそ彼女たちのあの悪意な無邪気さは怖い。あの笑い声と冷え切った視線がどれだけ人を傷つけるか。

自分の見ている世界の狭さをどうやって知って学んでいったらいいんだろう。イタリアの大学生は、ちょっと幼いところがあるとは思う。それくらいの分別つくでしょ、って思うけどね。

彼女たちは、ミラノのカソリック大学で学んでいるらしい。大学からは厳罰は無くて「再教育」がなされると耳にした。カソリックなので、罰よりも受け入れることを重視しているのだろう。それにしても、隣人を愛せの教えは学んでこなかったのかな。隣人は、イタリア人だけではないよ。世界に目を向ければ、自分とは全く違う人々であふれている。

違いだらけすぎて

むしろ、違いだらけすぎて、共通項が見えないくらい。

それを、子どもにどう教えてあげたらいいのだろう。
それをずっと考えている。

実際に自分がいわゆる“差別”をされていると感じたことがなければ、その相手の気持ちなどわからない。でもそれを知ってもらうには、どうしたら?

ジョンレノンはイマジンでこう唄った。

Imagine all the people
Living for today

Imagine all the people
Sharing all the world

やっぱり想像力なんだと思う。人間が、人間である意味って。

実際に見たこともないことを、想像してみる。
それは、本で読んだり、人から聞いたことだっていい。

相手がどんな思いで受け止めるだろう、という想像。この力は、6歳くらいから養われるそうだ。ならば、ハタチにもなる大学生がなんで想像できない?きっと外国人の知り合いや友人はまわりに居ないのだろう。

もっと本を読んだり、映像を見てみたり、実際に国境を越えてみたり。

そういう機会を持ち続けたい。子どもにも、本を読んで『あなたは、どう思う?この子は、どう感じたと思う?』って聞き続けたい。子どもと一緒に、自分も考え続けていきたい。

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海外在住14年、元ロンドンの銀行員。いまはイタリア在住。
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