【真】黒服物語〜金と女と欲望の世界〜10
この店に働いてから2週間が経ちある程度の業務を覚え気が付けばシャンパンの抜栓など簡単に出来るようになっていた。
高額なシャンパンにも臆する事なくその場の空気を盛り上げながらシャンパンを開ける事に少しだけ自信を持ち始めていた。
(いや〜お客さんからのの急な面白いことしてよってノリにも慣れてきたしこのまま俺気に入られてそのままチップとか貰っちゃうんじゃない??笑笑)
人の気持ちが緩む瞬間はいくつもある。その一つの中で自分自身の中に傲りが出て来た時によくその瞬間は産まれる。
面白いものでその傲りに人は気付くことは少ない。
気づいた時には時すでに遅い事が殆どの中で人はまた同じ過ちを繰り返していく。
陽気にお客様の席を盛り上げる勘太郎。
その一方で裏の方では少しいつもと違った空気が流れていた。
仲野が急にインカムを持ち柿原を呼ぶ。
(ズーッズ柿原副店長、柿原副店長〜ちょっとこっちきて〜ズーッズ)
(ズーッズはい、柿原です。仲野店長どうしましたどうしました?すぐ向かいますズーッズ)
仲野「柿原副店長さぁ〜今日ひな指名の〜さんどう思う?」
柿原「どう思うとは?」
仲野「たしかにいつも高いシャンパンおろしてくれるし酒癖もいつもはいいお客様なんだけどさ〜」
柿原「なんか問題でもありましたか?」
仲野「ん〜大丈夫ならいんだけど今日少し雰囲気違うなぁ〜って感じてるだけ!ちょっとだけいつもと雰囲気違うな〜って思ってたの!」
柿原「そんな事ないと思いますけどねぇ〜!勘太郎がうまいこと盛り上げてるみたいですし!!そこが唯一気になるとこって言ったら気になるとこですかね〜」
仲野「なるほどね、とりあえずさ柿原副店長から勘太郎に一言言っといてよ!」
柿原「了解です!」
ごく僅かな空気のズレをこの時に感じていたのは仲野だけだった。
仲野も空気のズレを感じていたがその実態は何なのかを掴めずにいるままだった。
今思うとその時に感じていた空気を全体へと伝えていれば少しは結果は変わっていたのかもしれない。
(ズーッズ勘太郎、勘太郎ちょっとこっち来れるかなー?メインホールの5番の前来てズーッズ)
(ズーッズ了解です了解ですズーッズ)
柿原「勘太郎〜!席盛り上げてくれてありがとうね〜!」
僕「いえ、そんな事ないですができる力全部使ってがんばりますよ自分!!」
柿原「うん、ありがとうね!!けど、そろそろ他の業務にも集中して貰いたいからまた機会あったらにしようか!!今はVIPじゃなくてメインに集中する時間にしようか!」
僕「、、、わかりました!そうします!!」
(なんだよ、今凄いいい感じで盛り上げてたのにな〜ま、また行く時あったらその時は盛り上げれるように頑張ろかな)
お酒に飲んでも飲まれるななんて言葉は本当に軽い言葉だと思う。
みんなわかってる。
お酒で逃げれる事やお酒で解決できる事などとんでもなく少ないと思う。
みんなわかってる。
わかっているからこそお酒に逃げたくなるのだと思う。
仕事での悩みは仕事でしか解決出来ないし私生活の悩みは自分自身が変わる事でしか改善はできない。
みんなわかってる。
だが酒はその悩みを一定期間だけ著しく低くすることは出来る。
みんなわかってる。
客「おい!ひなさっきの黒服のあんちゃんどこいったんだ?あいつ呼んでこいよ!」
ひな「あ〜さっきの子ね!じゃああの子呼ぶついでにもう一本同じのいっちゃってもいい??」
客「おぉいいぞいいぞ!その代わりあのあんちゃんに持ってきてもらって開けてもらうからな!あの副店長はもう呼ばなくていいからよぉ!」
ひな「きゃ〜!〜さん4本目は本当に好きになりそうだよ!〜さんありがとうね!じゃあ同じのもう1本と黒服君呼んでくるね〜!」
次回へと続く、、、。
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