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最後くらいまた春めくような綺麗なさようならしましょう

春の日差しが暮れ始めた頃、国道で渋滞に捕まった。
特別帰路を急いでいるわけでもないし、と動き出した車列を気にしつつ、フと反対車線に目を向けた一瞬目が離せなかった。
散々な別れというよりも一方的に向こうから切ってきた男がいた。と思う。
同じ車種、同じ色を見るたびなんとも言えない気持ちになる見覚えのありすぎる車、眼鏡が曇るからと運転中は鼻マスクの顔。
良いのだか悪いのだか分からない記憶力と動体視力では車のナンバーまでは見えなかった。動き出した車に意識を取られつつもサイドミラーで目で追った。
多分あの人、間違いないと思う、どうして?仕事で外回り中?なんて車を走らせながらぐるぐる考えてる間に交差点に差し掛かる。ここで反対車線に進入して追いかける?

……いや、何で?

追いかけてどうするんだ。どうしたいんだ?謝られたいのか?わたしの存在を知らせたいのか?それともぶん殴るか?
途方もない感情に苛まれながら車を運転しながら思ったのが、世の中の人って街中とかで昔の恋人(あの男を恋人の括りにするには些かおかしな話だが)に会った時の感情ってどうしてるの?

ヨリを戻したいわけでもないし、顔も見たくないのにそれでも気になるのは執着だろうか。何も気に留めてない顔を見たところで怒りで腸が煮えくりかえるのは俄然わたしなのに。
SNSに上げた2021年よく聴いた曲のレコメンドにも書いたのだが、イマイチ恋愛感情というものがよく分からないが恋愛ってこういうことなのか!と若干暴走気味でもあった恋だった。浮ついているように見えないと言われたが内心かなり浮ついてた。本当に好きになるってこういうことかと。落ち着け、今だから言えるが始まってすらない。
いつからか、この人とはいつまでの付き合いだろうとかそういうのを直感的に思うようになって初めて会った瞬間にこの人だって思ったのは、ただ会う約束をしたのはこの人で間違いないって思っただけで。現に告白されたというよりかは言わせたに近いあの日から多分ずっとは居れないなんてわかっていた。会った後帰路に向かう車で米津玄師のPale Blueをいつも流していた。ずっと ずっとずっと恋をしていた。気のせいだよ。こんなつまらない映画などもうおしまい。

そもそもあんな一方的な別れで圧倒的に向こうに非があって、ここまであの男に執着する必要はあるのかという話で。
考えてみると、己のプライドが高い故の、どうしてわたしが切られなきゃいけないの?っていう気持ちと自分自身の自信の無さに結びついた。
お前また自信の無さの話かよって感じですけど、自信の無さによる経験及び思考をもっての今現在なのでこれに関しては切っても切れないのだ。
かわいい女を演じていたのにと言えばそこまでだが、主観で言うとあんなにも献身的に、時にはLINEの返事が来なさ過ぎて(最長10日間未読)不安ながらも何故か我慢をしながらも相手に合わせて、時には励まし、時には本当に全く面白くもないギャグに笑っていたのにこの仕打ち、許せない!(某ドッキリ番組のアイドル音声)まあこの時点で駄目ですよね。
わたしが彼女で大丈夫だろうか、みたいな自信の無さの気持ちが少なからずあって引け目を感じながらも相手に合わす、駄目な典型ですね。

他人に対しての執着は人より強いと思う。
依存性も強い。
それこそ学生時代のクラスメイトからの急な無視というか、軽いイジメがあっての環境、経験における要因なのかなとか緩く思うこともあるけれど、恋愛の気持ちを執着に変えてしまうのは良くないとここ数ヶ月思った。
そう思えるきっかけにもなったのも出会った人のおかげなんだけど。あなたといる時の自分が好きです。いつかきちんと面と向かって話せますように。今は自信があるよ。相手のことを信じられるから、自信に繋がっていけますように。


これでさよなら
あなたのことが
何よりも大切でした
望み通りの終わりじゃなかった
あなたはどうですか?

綺麗に終わらすことなく切られたことに執着してるんだろうな。尽くしたのに、あんなに好きでいたのに。
その程度の男だったんだよ。そもそも恋すら始まってない。もう忘れよう。気のせいだったんだよ。

今年は初めて桜の開花を待ち侘びてる。

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