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悲劇と喜劇の坦々麺

私が痛い目に遭わされることが多い友人がいる。
いや、遭わされるのではなく
痛い目に遭うときに
必ずといっていいほど一緒にいる人。

私のイニシャルはMだけど、私はMではない。
彼女のイニシャルはAだから、正真正銘のAさん。
(匿名なんかじゃなく笑)

このnoteを書き始めたきっかけは彼女。
「いいから書きなよ!」のみ。
まったく不躾なヤツだ、ナニサマだ。

私:      「じゃ、サポートしてくれる?」
Aさん: 「やだ」
私:      「わたしがお金払うから」
Aさん: 「わかった」 

歳下なのにおばさんみたいに
大げさに指をブルンブルン振りまわして
小慣れた画面で"サポートする"まで進むと
手を出す。
「おかね。先にちょうだい」
なんてやつだ。


私:      「¥100でいいから」
Aさん: 「じゃあ¥100ちょうだい」
なんてやつだ。


Aさん: 「絶対書いた方がいいよ。
            自分のこと書くの好きでしょ?」
私:      「べつに」

秋でもないのに夜長な私たちは
まったくもってくだらない会話を続ける。

「このまま独り身で、歳とって
体が動かなくなったら指動かして
楽しみつくるしかないかも知れないよ?」

えらそうなことを言うけど、おまえもな!と
心の中で言い返す。

公園でくだらない話をして
そのまま帰路を散歩してもくだらない会話は続く。

Aさん:  「ねーどーすんの?書くんでしょ?」
私:       「書くからサポートしてよ、¥100でいいから」
Aさん:  「じゃ、¥100先にちょーだい」
足どりほども前に進まない会話。
応援する気が見受けられない。

歩くのが好きなわたしは10キロでも歩きたい人種。
Aさんは1センチも歩きたがらない人種。
まったくもって正反対のわたしたちは
どーして仲良いのか意味がわからない。

口を開くと「あーつかれた」

私はただおしゃべりしながら
"歩きたいだけ"
Aさんはどちらかというと
このおしゃべり虫とバイバイして
"帰りたいだけ“

すべり込みで入ったらーめん屋さんは
とてもおいしかった。
カウンターだけのそのお店で
わたしの右隣に美人が座っていた。

喜劇は始まった。
いや、Aさんといる以上、これは悲劇。
右隣の美人が食べているのは坦々麺
私たちはチャーシュー麺
それが悲劇を呼び起こした?わけではない。

外国人の店員さんは右隣の美人にだけ声をかける。
「オミズ、ツイデナクテ スミマセン」
はっきり言ってコップに半分は残っている
またその声が大きい、イヤでも聞こえる。

また来た!
「オミズ、オソクナッテ スミマセン!」
坦々麺がそんなに辛いのか?と思う
ちがった、彼女が美人だからだ。

まったくオソクナッテないし!

ちらっと左隣のAさんを見ると案の定
「あんたもオミズ、飲み干してみて?」
と、目が言っている。
口の中はらーめんでいっぱいなのに
笑いをこらえるからひどい顔になっている

わたしは「もちろんそのつもり!」と飲み干した。

誰も来ない。ミズモナイ。


しばらくしてしれーっとつがれた水。
わたしに言葉はかけてくれない。

冷酷な判断を下すものだ、外国人スタッフ。
つがれる度に飲み干してみたけど
3回目からはもうついでもくれない。

食事を終えて店を出た。
これ以上自分を辛い目に遭わせることはない。
店を出てからはAさんはもう帰りたいとは言わなかった。
なぜならものすごくおもしろかったから
水を注いでもらえなかったわたしが。

やっぱりこの人といると悲劇が起きる。

そこから先はひとりで帰った。
初めてのnoteを書きながら2キロくらい歩いた。

書き終えてメッセージをした
私:     「初めてのnote投稿したよ!」
Aさん:「やったね、読んでみる!」

それからしばらくしてnoteを開いら
"たち吉の記事がサポートされました"とある。
ひゃくえん。

ミズを注いでもらえなかった私に
哀れみと応援を込めて¥100
まだお金渡していないのにサポートしてくれた。

まじで¥100かよ、とおもったけど
私はうれしかった。書いてよかった。

私のイニシャルはMだけど
中身もMかもしれない、とおもった。
Aさんはほんとは優しいのかもしれない、ともおもった。

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