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『虫かぶり姫』は少数に向けたメディアだったのだろうに… ~大人によって資本主義の犬になったアニメ

近年にしては珍しく少女向けアニメということで、『虫かぶり姫』というアニメを見ていた。まあ、あまり面白くはなかった。
ただ、これは少女向けアニメだからではなく、何処まで真摯にアニメを作っているから分からないからである。

まず、アニメの制作陣がこの作品を盛大に勘違いしていると感じる。

それは女性向け恋愛ゲームのように多くの男性陣に囲まれた作品としているからだ。公式サイトのキャスト、キャラクターからもこの点は確認できるが、実際アニメを見ていれば分かることだが、男性よりも女性の方が物語を回し、作り出している。

確かに悪役令嬢モノのテンプレに近いとはいえ、原作者は架空の歴史物をやりたいのだろうなとはアニメを見ていても感じ取れた。でも、アニメとして推すのは男性陣に囲まれた作品。

それはアニメ外の展開、スピンオフコンテンツでも多くの男性陣に囲まれた作品にしたいのは明確に見えてくる。

原作・由唯書き下ろしのスピンオフ動画

ただ、少女向けアニメ作品にしても、この流れは正解だろうし、架空の歴史物の方が邪道であろうが。

そして、作者がやりたい架空の歴史物としてみても、この作品には大きな穴がある。この作品では「側室」、「後宮」という言葉が出てくるからだ。

高校、大学レベルの知識があれば分かることだが、キリスト教ヨーロッパ諸国では「側室」、「後宮」は表だって存在しない。それに準ずるモノはあっても、宗教的価値観で公言などできない。

ヨーロッパの世界観を元にしたファンタジー、ナーロツパでも宗教観をしっかりと明示しないと「側室」、「後宮」は高校、大学レベルの授業内容で破綻していることが分かってしまう。

それだけにこの作品は架空の歴史物であっても、中、高校生向けの知識レベル作品である。これは原作からも読み取れる内容である。
しっかりと整合性を取らないと、大人もターゲットにしたコンテンツ、アニメ化などする事はできない。アニメ化されているのに、この有様である。

この作品がこういったカバが多く存在するのは、小説投稿サイト『小説家になろう』から出てきたことよりも、老若男女、大多数が見るコンテンツ、商業作品として再構成していないからだろう。

こういった中、高校生に向けたコンテンツというのは、今までは少数に向けたメディア、同人誌などで成立していたのだと思う。今もそういった少数に向けた作品はネットで見かけることができる。大多数が見るネットであっても、そういったコンテンツであると明示して棲み分けができていた。

しかし、書籍化はそういった棲み分けを無視して、そのままの形で商業作品をしている。このアニメを見ていても、嫌というほどそれが感じ取れた。

また、アニメだけを見ていても原作の良さというか、内容が入ってこず、原作を読んで内容を補完しないといけなかったほど脚本も変。

本来は中、高校生に向けたコンテンツだったモノだとしても、アニメ化までされては言い訳はあまり成り立たない。これは商業化していながら、今日まで整合性を犠牲にした、関係者の責任ではないだろうか。

そう、大人によって、資本主義の犬になったアニメというのが感想である。


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過去にも同様の話題を「どうのつるぎ」から見て、語っています。


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