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「ブルーアーカイブ」で日本コンテンツの「守破離」を見た話

■インターネットミーム製造機「ブルーアーカイブ」

何かあるごとにインターネットミームを製造する気配があるコンテンツ、「ブルーアーカイブ」。それは運営側の仕込みのネタであることもあるが、ユーザー側によって作られる場合もある。そして、ユーザー側が作ったネタに対しても、運営は一応把握しているらしく、公式の場でも隠しながらもネタとして披露している。

ただ、「ブルーアーカイブ」はインターネットミームを抜きにしても、他のアプリゲームと変わらず可愛らしい女の子が出てくる作品…に見えて、実際の作中は重々しい内容だったりする。
本来の意味での"過酷"が潜む世界観なのに、インターネットミームではこの作品の"過酷"さが違っている。

そんな「ブルーアーカイブ」の物語も今、最終章、そして、各プレイヤーが集結して挑むレイド形式の最終決戦も終えたところ。
まあ、物語では絶望が渦巻く最終決戦であっても、ここもアプリゲームの宿命でレアドロップを数多く得る機会、採集決戦となっていた。それだけに如何に絶望的状況でも、心情はアイテム回収と悲壮感は少し薄くなっていた。

そんな最中、先日トレンド入りしていたのが、"覚悟"である。

その背景に関しては「ブルーアーカイブ」のストーリーも少し把握していないと理解しがたい部分も存在するが、簡潔に語ると決戦の場面でシスターであり、清楚なキャラがハイレグ衣装を着て、「覚悟」と語った事から登場人物、果てはユーザーからも突っ込みをいられられシーンがインターネットミーム化した。

■記号としての「シスター×ハイレグ」

だが、この「シスター×ハイレグ」といった組み合わせは、イラストを始めとして古くから記号化した要素である。もはや、お約束、様式美。
他作品であっても、突っ込まれない限りは違和感の無い存在として描かれることも少なくない。

それだけにハイレグ衣装であっても"覚悟"と語れば、それだけでシリアスと納得するだけの流れとすることも可能ではあった。

実際、過去の「ブルーアーカイブ」のPVなどからも「シスター×ハイレグ」は何度か出ており、ここを真にギャグとしてみる雰囲気はなかった。

それが最終決戦の最中で、この世界観でも「シスター×ハイレグ」は破廉恥、ギャグと認識を変えていった。
そのインパクトゆえに"覚悟"がインターネットミーム化していったのだろう。

■「守破離」としての記号破壊

しかし、「ブルーアーカイブ」というお話を抜きにしても、この展開というか発想は面白かった。

最近、テンプレ重視の展開が多い昨今では、様式美に疑いの目を向け、見つめ直し、その本質を再度探る行為自体は少ないと感じていた。
それだけに「シスター×ハイレグ」の異質さを突っ込むこともまた"覚悟"と言えるのかもしれない。

この流れを一言で表せば、「守破離」といえよう。

「ブルーアーカイブ」の開発は日本ではない。そして、グローバルに展開している。それだけに「シスター×ハイレグ」という様式美もグローバルの中ではガラパゴス化した図式ともいえる。
多方面に知ってもらうには言語化、ギャグとして紹介することもグローバルな展開では必要だったのかも知れない。

そういった配慮は「ブルーアーカイブ」内で色々と確認出来る。

よく分かるのが、過去からのPVである。最新の4th PVでも様々な映像的なオマージュが描かれている。それはエヴァンゲリオン、新海誠、クレヨンしんちゃんなど、一目で分かる物ばかりから小ネタまで。

しかし、これらの作品は作家性の強いだけに、単体でのオマージュは結構見てきたが、ここまで混ざりきつた作品はほぼほぼ見たことは無いのが印象である。

それを「ブルーアーカイブ」は違和感なく取り込んでいる。ここも開発が海外だからなのかも知れない。これはパクりだどうこうという話でなく、日本人が気が付かない点を分かっているという意味である。

様式美に対して、客観視することで、その本質を見つめ直す。

今の日本の様々なコンテンツでは様式美でないと反感を買うケースもある。これは一部での話なのか、割と多くであり得る話なのかはよく分からないが、体感的には多い方だと思う。

そういった中で「シスター×ハイレグ」はおかしい、でも、そこに乗るという展開は様式美を守りながら、独自の解釈を入れ込んでいて見事と感じた。それが海外だから、グローバルだからという些細な話ではきっとなく、日本コンテンツから巣立った形なんだと思う。

最後に新しいついでに、ChatGPTにこの件を聞いてみたので、これで締めたいと思う。


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