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真の男女平等についての所感

昨今、社会全体で男女平等の実現に向けた議論や取り組みがされているが、その中で特に最近見かける主張が、「権利だけでなく責任や負担も男女平等にしろ、女性を甘やかすな」という真の男女平等思想だ。

これは世間における男女平等が、フェミニズム思想を基にした女性の保護に偏り、権利面では平等なのに負担は従来どおり男性に科せられる事へのカウンターとして繰り出される事が多い。主張するのも多くは男性で、フェミニズムの世間での横行に比例する形でこの主張も盛り上がりを見せている。

だが正直言うと、筆者としてはあまりこの風潮について乗り気になれないでいる。というのも、根本的には男は仕事で女は家庭といった性役割を分担する社会の方が個人の生活、社会の安定の双方で良いと思っているからだ。

企業の管理職が男性ばかりだったり、女性の方が家事育児をメインでやっているのは、その方が上手くいくケースが多いからであり、決して「ジェンダーバイアスだ!」「規範の押し付けだ!」で切り捨てられるものではない。これまでの社会でそうした文化が続いてきたのも、それで上手くいっていたからである。

故に、「平等は絶対だ」みたいな形で無理やり女性に負担を求める事は誰も得しないと思っており、真の平等を強力に進めようとする人達にも複雑な気分になる。フェミニズムは論外だが、真の平等にもあまり賛同はできない。


・平等を進めるなら


とはいえ、人手不足で女性も働かないと社会が回らない、男性側で真の平等志向が広まり性役割を受け入れづらくなっている事を考えると、「今すぐ性役割制に戻せ」と言っても合意は得られないのだろう(また、これまで通り男性が負担を背負う事を続けてもフェミニズム的な主張が続くだけで埒が明かないという主張も一理あるとは思う)。故に男女平等が推進される前提でどうするか?それも考えるしかない。

女性も負担を負わせる平等と男性が女性並みにしか負担を負わない平等(所謂寝そべり)のどちらがマシかと言えば、無論女性が負担を負う平等だ。後者だと確実に社会が滅茶苦茶になるからである。

なので、女性にも負担を求めつつ、今のようなことに取り組んでみてはどうだろうか。

・子供産んだ人は負担免除


イスラエルでは女性にも兵役義務が課される一方で、出産した女性は免除される制度が存在する。これがイスラエルが経済発展しつつも高出生率を維持出来ている一因ではないか、と推測されている。

この仕組みを参考に、日本でも子供を持った女性は時短勤務や負担の少ない職場へ優先して配置し、男性並みの負担がかからないよう融通を利かせるのである。それは子供の人数が増えるほど手厚くなるようにする。

少子化の根本的な解決を目指すには、「子供を産んで育てた奴が偉い」という価値観作りと、それを実感できるインセンティブを付与する事が重要と筆者は考えている。その上で「ゆるい」仕事に優先して就けるようにすることは効果があると思う。

現状では「子持ち様」というワードが出る等、独身者からの子育て世帯への風当たりは強い。仕事等の面で負担をさせられる理不尽は当然あるのだろうが、そうした風潮から子育て当事者が肩身が狭い思いをしたり、子育てへのマイナスイメージが補強されてしまってる面もあるだろう。上記の取り組みでこれも是正できれば、より少子化対策としての効果が期待できる。

・女性も地方配置を求める


日本では都心に就職した女性は地方への転勤を嫌がる傾向が強い。それにより男性に地方配属の負担が回る事や、地方での女性の流出(転出超過)が続く問題を引き起こしている。

女性は仕事にもキラキラを求める人が多く、いくら出世コースでもキラキラを得られない地方への配置は拒否する。無理に配置転換すれば会社自体をやめてしまう。そんな訳で会社は女性を都会に留まらせた上で女性のキャリア育成を行おうとしている訳だが、これでは更なる都心への人口集中や男性への負担増大を容認する事になってしまう。

故に、「ジェンダー平等を進めるなら女性でも地方配属を受け入れるべきだ」としっかり主張し、それを行わない企業は批判していくべきである。出世ルートの公平性も勿論だが、誰かが地方業務を引き受けなければ地方部署での仕事が回らない。故に「女性には配慮を」と言っていてはいけないし、負担を押し付けられている男性側の主張を拡散していくべきだ。

これについては恐らく「男女問わず地方に行かなくても出世出来るようにすればいい」といった反論や、地方での住みづらさを理由にした批判が来るかもしれないが、諸問題を解決していく上でこうした姿勢を取っていくしかないだろう。


・手打ちや揺り戻しの可能性も考慮する


最初こそ真の平等を実践する方向になっても、最終的には職場や家庭での混乱を経て「やっぱり男女で役割分担したほうがいい」「男女平等なんて思ってたほどいいもんじゃなかった」と振り戻しがやって来る可能性は十分にある。

そして振り戻しを始め従来の言説が否定される事象が起きた時には、真の平等を掲げている人も対応を変えるべきだと思っている。早い話が、どういう状況になったら手打ちにするかを決めておく必要がある。

何故なら、手打ちを決めておかないと社会の問題解決、一方的な負担の押し付けの解消といった所から逸脱してしまい、フェミニズムとは別方向のイデオロギーの押し付けになってしまう可能性があるからである。「真の平等が正義だ、絶対だ」と考えるあまり、揺り戻しの兆候が起きても転換することができない、結果社会が疲弊する、になっては本末転倒だ。

筆者が考えるのは、どこかの業界(例えば教職や医療といった分野)で男女平等を無理に進めた結果問題が生じたら、すぐにエビデンスとして活用し「今の男女平等施策は問題が大きいから辞めよう」と訴えていく事だ。

実際に進めたら問題が起きたというのが可視化されれば、言説の説得力が大きくなり、社会の風潮も変わりやすくなる。そして無理な男女平等施策が社会全体に広がる前に言説を広めることで影響を最小限に留めることができる。もしここでも尚真の平等を進めようとする者が現れたら、そこは流石に「やりすぎだ」と咎めるべきだろう。

若干加速主義的な発想となってしまうが、ミクロで出た結果を提示して「もう辞めよう」と発信する事は、問題解決と手打ちのラインの明確化、その二点で一番いい落としどころになるのではなかろうか。


・専業主夫は考えないほうが良い


上記のことを踏まえた上で個人でも対処すべきことがある。ひとつはいくら男女平等といっても、男性は女性に養ってもらうこと、自分が専業主夫になる道は選ばない方がいいという事だ。

理由は単純でその道を選ぼうとして最終的に破綻している事例があまりにも多いからである。

女性は自分より上の男性としかパートナーにはなりたがらない。無理に下方婚をしても相手の男性を「尊敬」出来ず良好な関係を継続出来ない。女性の本能に根差した性質であるため、それを批判しても是正するのは難しい。

故に、真の平等を求める男性も、女性に養って貰おうという考えは極力避けるべきである。あくまで自分の方が上に立つか、最低でも女性と同等の稼ぎは確保しておいた方がいい。


・女性はキャリアよりも子育て優先


これまでに書いた通り、真の男女平等を進める中では女性も仕事で負担を負うことが求められる。

しかし仕事やキャリア進出を子育てより優先した女性は、年齢により結婚の難易度が上がる一方で上昇婚志向から自分が結婚したいと思える男性も減ってしまう二重苦に陥る。実際それで失敗した女性が少なくない事を指摘する意見は多い。また、統計上でも女性は高年収の人程未婚率が高いという結果が出ている。

その為、女性は若いうちは婚活や子育ての方を優先して、それが一段落してからキャリア進出を進める方が無難である。また、この話も事実として発信を続けていくべきである。

・余談


男性の間で真の男女平等を求める声が増えている理由について、参考になりそうなポストがあった。

女性と関係を持つ事を望んでいない、そこまで積極的でないからこそ真の平等志向が出てくるという考えだが、確かに一理あるなとは思った。

何故女性を保護する形での男女平等が多いかと言えば、そこには「女性からの好感度を高めたい、モテたい」という心理が絡んでいるのも大きい。最終的にモテを求めているからこそ、女性の気を引く為の施策を優先し、男性や社会全体から見て不均衡な形にしてしまう訳だ。

しかし、現代社会では娯楽や性欲発散手段の充実により、女性と関係を持たなくても(表面上は)快適な生活が送れるようになった。また、恋愛自体も競争の先鋭化によって並みの男性では交際に辿り着くハードルが上がってしまった。

そうした状況で生きる若い男性にとっては、女性の気を引く為に不平等や不均衡を受け入れる事に意味を感じられないのではないだろうか。勿論、「平等が当たり前」という環境で育った背景もあるだろうが、それ以上に不平等によって恩恵を得られるイメージがないのかもしれない。

上のポストで言えば、「性欲発散するだけなら一人でもできるから、どうせ優しくしたってイケメンでもハイスペでもない自分には縁がないから、女性を保護する形での男女平等に納得できない」という背景があると考えれば色々と腑に落ちる。

女性とパートナー関係を作る為の環境が近年急激に変化した事が、真の男女平等の広まりに影響している可能性は考えるべきである。

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