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国際協力の経験から、学生の留学を後押し。“とにかく、いってらっしゃい!”

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今回は国際交流関係のお仕事をされているグローバル教育院の横森先生にインタビューしました。

<プロフィール>
お名前:横森佳世先生
所属学科:グローバル教育院(府中キャンパス)
趣味:御朱印集め、登山、ピアノ


国際協力の道へ


―横森先生のこれまでについて教えてください。

これまで 色んな立場からアジア、アフリカ、南米等で国際協力に携わってきました。例えば、NGOでは現地の方々と一緒の視点からの草の根活動、JICAや外務省では保健医療等の人道支援プロジェクトや、災害時緊急救援、紛争終結直後の国でODAの事業の再開、民主化した被援助国の国づくりの根幹となる国家・国際機関レベルでの援助協調*などに取り組んできました。
(*援助の効果を増大させるために支援国や国際機関が議論して、援助の戦略策定や開発課題毎の計画・実施などを取り決めていくこと。)

―国際協力に関心を持ったきっかけを教えてください。

子どものころから話すと、2、3年おきに親の転勤で日本全国を回ってたんですよね。
それで、小学2年で 転校したときに、同じ日本なのに方言が違って言葉が通じなかっんです。米軍基地があってアメリカ人の方が多いところだったのですが、私は当時、髪の毛が茶色くて言葉も通じないから、「外人」っていきなりいじめられて、それが原体験になっています。その「外人」っていう響きが当時はすごく嫌だったんですね。

それで、外国人の差別とかも嫌になったし、難民問題とかに関心がいくようになり、中学のころに読んだダグ・ハマーショルドさん(第2代国連事務総長)の本を読み、自分も何か支援ができないかな、国際協力できないかな、と思うようになりました。
 
―小学生のときの経験が原体験になっているのですね。
実際に国際協力に携わるようになったきっかけは何ですか?
 
大学を卒業してからは、社会の動きを知るにはお金の動きを知ることが大切かな、と思って銀行に就職しました。

そして銀行で働き始めて数年後に、「キャンプサダコ募集」という新聞記事を見つけました。当時、国連難民高等弁務官をされていた緒方貞子さんが企画されたUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のインターンですね。

その記事を見たときに、「これは自分がずっとやりたいと思ってた事だから、今行かないと自分の人生、後悔するな」と思いました。
その試験を受けて銀行をやめ、ネパールのブータン難民キャンプに派遣されたのがきっかけで、この道に足を踏み入れてしまいました(笑)緒方さんは心の師匠です。

―ネパールでの初めての国際協力の場は、どうでしたか?
 
現場に行ったら、現地の言葉も喋れないし、日本人で耐性無くて体も弱いから病気にもなるし。
援助と思っていたけど、それは単に自分が先進国に生まれて、そういう状況を見てなんとかしなきゃと思っているだけで、裸になったら全然弱いなと思いました。

それで自分の武器が何かを考えたときに何も無かったので、帰国後にもう一度大学院に行って国際公共政策、その後にケニアで公衆衛生と疫学を学びました。

大学院卒業後は国際NGOに就職し、ミャンマーやケニア、ガイアナやその周辺国で、病院や学校の建設のプロジェクトや災害時の緊急支援、人身売買の被害者支援、難民キャンプの支援等のプロジェクトを行ってきました。

―現地ではどのような日々を過ごされましたか?

現地では、例えば人身売買の被害者支援のプロジェクトだと、政府としては隠したいからあまり協力的ではないし、担当省庁や警察などを通さないといけないんですね。
そうした様々な交渉も、警察とか軍の人たちが銃を持っていて、現地の言葉を使ってというように、本当にどうなるか分からないから日々作戦を練って、やりがいがあって、毎日が玉手箱のように貴重で、楽しかったですね。実際にはそこの人々の強さや優しさにこちらが学ぶことが多く、人と人との繋がりが大切で、今でも大切にしています。

農工大から世界へ!


―私が留学したとき横森先生のサポートがとてもとても心強かったです!農工大でのお仕事にはどのような思いがありますか?
 
自分自身の経験から現地での体験で得られることがとても大きいと分かっているので、「とにかく皆さん、行ってください!」みたいな、そういう後押しをすることが楽しいですね。

その学生たちがどんな未来を作っていくのか本当に楽しみで、これからは海外に出る農工大生の母数を広げたいです。そして将来は、世界中に散らばった教え子や友人を訪ねて、旅をしたいです!同時に、被災地の支援活動も継続していきたいですね。

―最後に、高校生にメッセージをお願いします!
 
どんどん外に出て、自分の枠を広げましょう!
引き出しを広げて枠を広げると、楽しい世界が待っていると思います。
特に日本にいると、「自分はこうあらねばならない」という規範のようなものを感じることが多いと思うんですよね。
でも、そうじゃないんだよと。世界には色んな人がいて、日々起こっていることなんて、さざ波みたいなもので、こうあらねばならないなんてことはないんです。

結局は身近な家族や友だちとか世界の人々が平和に幸せに暮らすことが大切だから、そのための農学や工学の勉強や研究、ということさえブレなければ、興味を追求し、本当に楽しく生きられると思います。
それを知るためにもぜひ海外に出ていただければなあ~と思います。

ご興味があれば、「International Cooperation Studies(国際協力論)」の授業でも、ぜひお会いしましょう!
 
-横森先生、今日はありがとうございました!

農工大の留学制度については農工大学グローバル教育院ホームページからご覧いただけます。


文章:だっち
インタビュー日時: 2022年5月6日
インタビュアー:だっち
記事再編集日時:2024年 3月 10日

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